ネットアンケートの活用シーン|インターネット調査の目的別活用法

ネットアンケートの活用シーン インターネット調査の目的別活用法

ネットアンケートはアンケートフォームのURLにアクセスすることができれば、誰でもアンケートに回答することができます。訪問調査や郵送調査などの調査手法と比較すると、実査の労力や期間、コストという点では圧倒的なメリットのあるアンケートの手法です。

ネットアンケートは実施されているアンケート調査の大きな割合を占めており、さまざまな目的やテーマをもった調査に活用されていますが、調査の目的や種類によってサンプルの集め方や実施方法に違いがあることを知っておく必要があります。

ネットアンケートの実施を検討されている方に向けて、ネットアンケートの活用方法について解説します。

ネットアンケートの活用目的

アンケート調査はさまざまな目的を持って行われ、その目的ごとに「誰を」対象とし「何を」聞く必要があるのかが異なります。

ネットアンケートは「手軽」といわれることが多いアンケート調査の手法ですが、実効性のある調査結果を得るためには、調査の目的に合わせた調査対象と実施方法を検討することが重要です。

マーケティングリサーチ

アンケートの典型的な調査ニーズとして挙げられるのがマーケティングリサーチです。マーケティングリサーチの一環として行われるアンケートでは、さまざまな商品やサービスの市場が調査テーマの起点であり、市場を理解するための方法のひとつとしてアンケート調査が用いられます。

マーケティングリサーチを目的とするアンケート調査の調査対象は消費者・生活者であり、調査の種類によって次のような違いがあります。

マーケティングリサーチの種類を3つにわけて解説した記事もご覧ください。

顧客満足度調査

顧客満足度調査はユーザーからの評価を知ることを目的とし、主に商品やサービスの改善・改良や顧客ニーズの分析に活かされます。

調査対象は購入者や利用者であり、既に調査対象との接点が存在しているケースが想定されます。顧客満足度調査をわかりやすく解説したカンタン語句解説はこちらからご覧いただけます。

新製品開発のための受容性調査

受容性調査にはコンセプト調査、ネーミング調査、パッケージ調査などが含まれ、新たに市場に送り出す商品やサービスが消費者に受け入れられるかどうかを確かめること、また、市場投入後の販売予測を目的に行います。受容性調査の調査対象には、不特定多数のなかから想定するターゲット層の属性を持つ人を選ぶ必要があります。

受容性調査のひとつ、コンセプトテストについてこちらの記事でわかりやすいカンタン語句解説を実施しています。

市場浸透率調査・ブランド浸透率調査

市場浸透率はマーケットシェアのことであり、対象とする市場全体に対してどれだけの顧客を獲得できたかを測るものです。競合他社の商品も含めた購入経験やブランド認知について調べることが目的となるため、不特定多数の幅広い層が調査対象となります。

ブランド認知調査について、実例を交えて調査票の作り方をこちらの記事で解説しています。調査票作成の参考にご覧ください。

広告・キャンペーン効果測定

広告やキャンペーンなどのマーケティング施策を実施した後に、広告の認知度、商品・サービスの認知度、購入に結びついた割合などを調べるために実施するのが効果測定です。

広告やキャンペーンを行った範囲が調査対象であり、不特定多数のサンプルを集める必要があります。

企業やブランドのイメージ調査

企業やブランドのポジショニングを検討するための調査です。顧客満足度調査や受容性調査の調査項目に含められることもありますが、不特定多数の幅広い層を調査対象とします。

社会調査・世論調査

社会調査は行政の施策に資するものをはじめとして公的な性格を持つものが多く、特定の企業や商品と結びついたマーケティングリサーチとは目的が異なります。社会全体の意識や行動実態などを明らかにすることが目的であり、社会課題や時流の変化が調査テーマの起点です。

世論調査は、より時事的なテーマについての意識や選択などを問うことが目的であり、テレビや新聞などのマスメディアが調査主体となるものを多く目にすることができます。

どちらの調査も、テーマによっては調査対象が特定の社会階層に限られるものもありますが、不特定多数の幅広い層を調査対象とするケースがほとんどです。

社会調査や世論調査では、調査結果が社会全体の実態を反映しているかどうかという代表性がマーケティングリサーチよりも重要視されます。

マーケティングリサーチでも調査サンプルが母集団を代表していることが軽視されるわけではありません。しかし、マーケティングリサーチは企業の意思決定の判断材料であり、調査の代表性が劣っても、有益なインサイトが得られることで最終的な意思決定が良い結果に結びつけば調査の意義は認められます。

一方、社会調査や世論調査では標本調査としての代表性が疑われる場合、調査自体の意味がなくなってしまいます。この点で、社会調査や世論調査の性格を持つアンケート調査を実施する場合には標本調査としての精度を高めるサンプリング手法を用いることが一般的です。

社内アンケート

社内アンケートの作成方法

社内アンケートは従業員満足度やエンゲージメントの向上、組織課題の解決といった目的を持ち、会社という閉じられた組織を調査対象とします。この点が不特定多数の調査対象を集めなければならないマーケティングリサーチや社会調査と明確に異なります。

マーケティングリサーチや社会調査で不特定多数の調査対象を集める場合、調査対象は調査に協力してもらう第三者であり、アンケートに回答するインセンティブは謝礼以外には働きにくいことが挙げられます。調査への協力を依頼してもすべてに回答が得られるわけではないため、回収率を高める工夫が必要です。

それに対し、社内アンケートの回答者は当事者であり、場合によっては調査への回答に強制力を持たせることもできるため、回収率が問題となることは少ないと考えられます。また、当事者という点では第三者に調査への協力を依頼する場合と比べて、回答誤差が生じる割合も低いことが想定されます。

組織内で実施されるものとしては、360度評価やストレスチェックにもアンケートが用いられます。360度評価は人事評価のためのものであり、ストレスチェックは診断が目的です。

定量情報を集計・分析することが目的のアンケートとは異なり、社内アンケートの種類としては目的と用途が限定されているものといえます。

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ネットアンケートを行う際の調査対象

ここまでアンケート調査の目的と調査対象の違いについて述べてきました。

それぞれを調査対象の違いで大別すると、顧客満足度調査や社内アンケートのような調査対象との間に何らかの接点があり、それをもとにアンケート調査を依頼することが可能な場合と、性別や年代、地域などの属性を基準として不特定多数の回答者を集める必要があるものに分けられます。

ネットアンケートを前提とすると、前者の場合は回答を得たい調査対象がアンケートフォームのリンクをスマートフォンやPCなどのデバイス上でクリックできることが実施の条件です。

後者の場合はアクセスパネル対象としてアンケート調査を実施することができる調査会社に依頼するのが現実的な選択肢です。

アンケートフォームのURLにアクセスできる人が調査対象

冒頭に挙げたとおりネットアンケートでは、回答者がアンケートフォームのURLにアクセスすることでアンケート票への回答を行います。目的とする調査対象に対してURLを送ることができるかどうか、さらに、どの程度の回収率が見込めるかはそれぞれのケースごとに異なります。

商品購入者・サービス利用者を対象とする場合

顧客満足度調査の場合、商品やサービスの購入者・利用者が対象であり、商品の購入やサービスの利用後にメールやメッセージングアプリなどを通じたやり取りができることがネットアンケートの前提となります。購入手続き時に購入者のメールアドレスを取得できる商品や会員登録が必要なサービスなどの場合に可能な方法です。

それ以外の方法としては商品にQRコードを同梱して、スマートフォンからアクセスしてもらう方法があります。メールを送る方法に比べて回答者の手間が増えることで回収率が低くなるため、謝礼や特典を厚くするなどインセンティブに工夫を加える必要があります。

SNSでアンケートへの協力者を募る場合

URLをからワンクリックでアンケートフォームに誘導できるという点では、SNSやWebサイト上でURLを公開しアンケート調査への協力者を募る方法が考えられます。

SNSを使う場合は公開される範囲が、基本的にアカウントのフォロワーに限られます。企業アカウントはキャンペーンやクーポンなどによるメリットを目的としているフォロワーが多いとされ、自社の商品やサービスに関心の高いユーザーを対象にアンケートを集めることができます。

キャンペーンや商品の告知などに合わせてインセンティブを付け加えることで、ある程度の回収率が見込めるネットアンケートの実施方法です。

Webサイトでアンケートへの協力者を募る場合

コーポレートサイトやECサイト などのWebページからアンケートを集めることを考えると、企業名や商品名などで検索するユーザーがアンケートを依頼する対象となります。

アンケート以外の目的を持ってサイトを訪れる人が対象となることから、ページのどこかにアンケートの告知があったとしても、バナーやリンクを置いただけでは積極的にアンケートに協力する人は少ないことが想定されます。

コーポレートサイトやECサイトとは異なるMROC(Marketing Reserch Online Community)と呼ばれる企業のコミュニティサイトも知名度の高い大手企業を中心にマーケティングに活用されています。

MROCは企業のコミュニティサイトやSNSのオンラインサロンへの会員を集め、ユーザーとの対話や会員同士の交流のなかからインサイトを得ようという取り組みで、商品開発やユーザー同士の情報交換、商品やサービスの評価を得るための場としての機能を果たしています。

会員はSNSの企業アカウントのフォロワーと同様にブランドやサービスに対する関与度が高いと想定され、アンケートへの協力を得られやすい環境があるといえます。

属性別の不特定多数が調査対象

アンケート調査は目的によってサンプルとすべき対象が異なります。ネットアンケートの活用目的で挙げた調査の種類の多くが不特定多数のサンプルを調査対象とするものです。

自社でネットアンケートを行う場合、年代別に一定規模のサンプルを集めるなど、特定の属性を持つ層を調査対象とすることが難しいことが挙げられます。

ネットリサーチ会社はネットアンケートに回答することを前提に登録したアクセスパネルを保有し、登録者それぞれの詳細な属性をデータベースとして把握しています。そのため、調査の目的に合ったサンプルを必要な数だけ集めることが可能です。

さらに、調査結果の集計・分析に関するノウハウにも専門的な知見を有しており、因子分析クラスター分析といった統計手法を活用して、より多くの情報を調査結果から引き出すことができます。

効果的なアンケート調査を実施するために

ひとくちにネットアンケートといってもさまざまな種類があり、それぞれに調査結果の活用目的や取るべき手法、制約となる条件などが異なります。

効果的なネットアンケートを実施するためにアンケートの目的と条件を整理し、実績のあるネットリサーチの会社に相談してみることをおすすめします。ネットリサーチ会社の比較検討をしたい場合は、こちらの記事(Webアンケート調査ができる調査会社7選!)を参考にしてください。

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