回答誤差とは|簡単解説
回答誤差のカンタン語句解説
回答誤差とは、言葉の通り回答結果に生じる誤差のことです。主に、曖昧な回答や回答の誤りなどが原因で発生してしまいます。回答誤差が発生してしまうと正しい調査結果を得られないため、設問の内容や構成などに工夫が必要です。
回答誤差の詳細解説
回答誤差は回答結果に生じる誤差のことで、バラツキとバイアス(偏り)に大別することができます。それぞれの代表例を挙げると、バラツキは標本誤差、バイアス(偏り)は無回答による誤差です。
※標本誤差:母集団から一部の標本を抽出して行なう調査=標本調査において、母集団値を推定する際に生じる、標本値と母集団値との差。
回答誤差が生じる原因はさまざまですが、回答者の心理と深く結びついていることには間違いありません。
質問の仕方によっては、回答者が「自分をよく見せたい」や「デリケートな質問だから正直に回答したくない」などと思い、本当の回答をしない可能性があります。
また、設問があまりにも長いと回答者の集中力が途切れて曖昧な回答となってしまう場合もあります。
設問内容や構成などの工夫も大切ですが、できるだけ正しい調査結果を得られるよう、集計方法に注意することも大切です。
回答誤差が発生する原因と解決法
では、回答誤差はどうしたら防げるのでしょうか。以下では、回答誤差が発生する原因とその解決法を詳しく解説します。
アンケートの回収率が低い
アンケートの回収率が低いと、回答誤差が発生しやすくなります。
たとえば、サンプルサイズ10万人で回答数1万人(回収率10%)の「調査A」と、サンプルサイズ1,000人で回答数900人(回答数90%)の「調査B」があったとします。
サンプルサイズと回答数はどちらも「調査A」のほうが充実していますが、仮に未回収の9万人が回答した場合、以下のように調査結果が大きく異なってしまう可能性があるのです。
「調査A」で回答した1万人(10%)のうち、9,000人(90%)がある設問で「はい」と答えたとすると、この問いに対する支持率は90%
仮に回答しなかった9万人(90%)のうち9,000人(10%)が「はい」と回答したとすると、10万人中1万8,000人が支持しているので支持率は18%
一方で、回答率の高い「調査B」は結果に誤差が出にくくなります。
・「調査B」で回答した900人(90%)のうち、810人(90%)がある設問で「はい」と答えたとすると、この問いに対する支持率は90%
・仮に回答しなかった100人(10%)のうち、10人(10%)がある設問で「はい」と答えたとすると、1,000人中820人が支持しているので、この問いに対する支持率は82%
解決方法
アンケートの回収率を上げるには以下のような工夫が必要です。
- 最初にアンケートの趣旨を伝える
- 設問数はできる限り少なくする
- 回答にかかる目安時間を提示する
- 直感的に回答できる設問を用意する
- 回答者に謝礼を準備する など
回答者に不信感を抱かれてしまうと、なかなか回収率につながりません。
そのため、まずは「何を目的にした調査なのか」や「アンケート結果をどのように使うのか」などのアンケートの趣旨を伝えることが大切です。
また、一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会が実施した「インターネット調査品質ガイドライン(2020年5月)」によると、設問数が20問程度(回答所要時間が約10~15分)で離脱率が10%を超える場合があるとわかっています。
この調査では、回答所要時間を10分以内に収めることが推奨されているため、これを1つの目安として設問を作成しましょう。
結果が偏るような質問になっている
質問の仕方によって得られる回答が異なります。
たとえば、「新商品の〇〇を食べてみたいですか?」や「虫は嫌いですか?」など、論点を一方向に提示すると肯定的な回答になりやすい傾向があります。(黙従傾向・イエステンデンシー)
また、「ワーケーションは人気ですが、やってみたいですか?」のような質問は回答者が「人気ならやってみたいな」と思う可能性があり、誘導となってしまうでしょう。
このように、質問の仕方で回答結果に偏りが生じてしまうため、注意する必要があります。
解決方法
アンケートの質問方法にはいくつかのコツがあります。
- 1つの質問には1つの要素のみ入れる
- プライバシーを傷つけるような質問は避ける(夫婦関係、資産関係など)
- 答えを誘導するような質問は避ける
- できる限り具体的に質問する など
たとえば、「現在使用している洗濯機はご家庭にふさわしいと思いますか?」という質問だと、回答者によってサイズ・機能・価格など「ふさわしい」という認識が異なるため、誤差が生じる可能性があります。
このことから、「現在使用している洗濯機のサイズはご家庭にふさわしいと思いますか?」と聞くのがよりよい質問方法と言えます。
必要なサンプル数の割り出し方
必要なサンプル数は「標本誤差早見表」を見て求めるか、もしくは「サンプルサイズ計算ツール」を使用するのが最も効率的でおすすめです。
必要サンプル数の算出には 「許容誤差」と「信頼水準」を決める必要がありますが、一般的に許容誤差は5%、信頼度は95%で統計上は十分意味があると言われています。
回答誤差のまとめ
最後に、改めて回答誤差の語句説明は、回答結果に生じる誤差のことです。回答誤差は回答者の心理と大きく結びついているため、質問方法や構成の工夫などで防ぐことができます。
「アンケートの回収数が少ない」「結果が偏る質問になっている」場合に、回答誤差が発生しやすくなります。
「Webアンケートの回収数が増える工夫」「曖昧な語句を排除した質問で、回答が偏らない工夫」をすることで、回答誤差を防いでいきましょう。