コンセプトテストとは|簡単解説
コンセプトテストのカンタン語句解説
コンセプトテストとは、商品・サービスのコンセプトが市場に受け入れられる可能性を評価することです。企画やアイディアを商品化する前の段階でマーケットからの反応を確認し、新規参入、新商品上市の可否判断、または、商品の改善・改良を目的に行われるマーケティングリサーチを指します。
コンセプトテストの概要
コンセプトテストは受容性調査の一つであり、商品やサービスが持つ本質的な価値が消費者に受け入れられるかどうかを確認するための調査です。新商品開発や商品のリニューアルにあたり、商品の仕様やマーケティングの方向性を決めるために行われます。
商品コンセプトとは
コンセプトには「概念」「構想」「考え方」といった意味があり、商品コンセプトは消費者に提供する価値についての一貫した考え方や方向性を表現したものです。
消費者側から見た商品を構成する要素は、素材、技術、機能、価格などの商品そのものの仕様に加え、デザイン、品質、パッケージ、プロモーション、販売方法、アフターサービス、ブランドイメージなどがすべて含まれます。商品を構成する一つひとつの要素を総合した結果として、消費者にとっての価値や便益、満足の本質を表現したものが商品コンセプトといえます。
商品コンセプト以外にも、商品の提供に関わる事業活動やマーケティング活動の方向性や考え方を決める場合には以下のようなコンセプトを策定します。
- 事業コンセプト
- ブランドコンセプト
- デザインコンセプト
- 広告コンセプト
- サービスコンセプト
商品コンセプトは考え方や方向性を文章や図案などで表したコンセプトシート(企画案)としてまとめられます。
コンセプトシートに記載される内容は、「誰に」「何を」「どのように」提供するかを基本とし、以下の内容を文章化したものです。
- 想定するターゲット
- ターゲットのニーズ
- ニーズに対するベネフィット
- ベネフィットを実現するためのソリューション
- 実現できる根拠
コンセプトテストは受容性調査のひとつ
企業側が生み出す新技術やアイデア、新しい切り口や考え方は、概念や構想といった段階に留まり、実際に消費者に受け入れられるかどうかは未知数です。
それをコンセプトの段階で文章やイメージ、試作品などに具体化させて消費者に評価してもらい、反応を見るのがコンセプトテストの目的です。
商品コンセプトを具体化していく段階で、それぞれの要素についての消費者からの評価を確認することを受容性調査といいます。
受容性調査には以下のような種類があります。
受容性調査の種類
- コンセプトテスト
- 製品テスト
- ユーザビリティテスト
- 価格受容性調査
- 広告テスト
- パッケージテスト
- ネーミングテスト
製品テストやユーザビリティテストは、製品やWebサイトなどの機能や仕様、UIを具体的に提示して行うものです、新製品や改良品などの受容性調査のほか、現行品の満足度調査などでも実施されます。
広告テストやパッケージテストも受容性調査のひとつです。クリエイティブの評価やブランドイメージとの整合性などの確認を目的とします。
価格受容性調査は、価格を左右する仕様や機能などを具体的に提示できる段階で、消費者の知覚価値にもとづき製品の仕様やコストを検討する場合に実施します。
コンセプトテストの実施
コンセプトテストで具体的に何を評価するために、どんな方法で行うのかは、コンセプトの種類と中味によって異なります。
コンセプトテストの評価軸
商品コンセプトの場合は一般的に以下のような評価基準を設定してコンセプトテストを行います。
理解度
商品コンセプトの意図する消費者にとっての価値が、メッセージとして消費者側に伝わっているかどうかを確認する必要があります。
これまでになかった新しい商品やアイデアは、消費者にとっては新しい体験であり、使用シーンや使い心地を判断することが困難です。わかりやすい言葉と図案などのイメージで補う形で消費者に提示し、それを理解してもらえたかどうかを確認します。
新規性
差別化要因やオリジナリティという点で、これまでになかった新しさやインパクトを消費者に与えられるかどうかが商品コンセプトの重要な要素です。従来品や競合商品との比較のなかでの評価を検証します。
信頼度
新しいもの、未知のものに対する現実性を裏付ける根拠があるかどうか、それが納得できるかどうかを確認する項目です。
新規性が高くてもリアリティがなければ興味関心や商品の購入には結びつきません。コンセプトに示した内容が信用できるものであるかどうかを評価してもらいます。
興味・関心・魅力
消費者の心理的態度を問う項目です。コンセプトに消費者を引き付ける要素があるかどうか、ネガティブな面があるとしたらどんな要素かを把握することを目的とします。
その理由や背景を明確にできれば、商品化に反映させることができます。
購入意向
商品に対する興味関心があっても、必ずしも実際の購入につながるとは限らず、また、新規性に対する高い評価が購買意欲にマイナスに作用するケースも少なくありません。
商品コンセプトの段階で購入意向を確認することは、商品の市場性をダイレクトに評価することにつながります。
定性的評価
上記の評価は客観性のある判断基準とするためにも定量的に把握することが妥当です。
さらに、受容性調査ではこれらの評価軸に対する消費者側からの想定外の意見や感想、評価の理由、背景を発見できるケースがあります。
アンケート調査の自由回答やグループインタビューなどの調査方法で消費者の発する言葉を拾うことも受容性調査では重要な意味を持っています。
コンセプトテストの調査手法
コンセプトテストをどういった手法で実施するかは、コンセプトの種類とコンセプトの内容によって適切な調査手法を選択します。商品コンセプトの場合は以下の調査手法が一般的です。
グループインタビュー
コンセプト策定の初期の段階で、より幅広く消費者からの意見を求めたい場合には、質問項目と回答が限定されないグループインタビューが適しています。
グループインタビューでは数人の調査対象を一同に集め、座談会形式でコンセプトに対する評価を聞き取ります。消費者側の反応に応じて、さまざまな角度から質問できることが、対面形式の調査方法の大きなメリットです。
アンケート調査
コンセプトを固めるための意思決定の判断材料とする場合には、アンケート調査で定量的な分析を行うほうが効果的です。
コンセプトシートを前述の評価軸に落とし込み、質問項目を作成します。さまざまな分析方法を活用できることも定量調査のメリットです。
コンセプトでターゲット層を想定する場合にはその属性に該当する調査対象を選定することが必要です。また、コンセプトの段階でターゲット層を絞り込めない場合には、アンケート調査の結果からターゲット層を決定することも行われます。
CLT(会場テスト)・HUT(ホームユーステスト)
コンセプトを具現化した試作品やモックアップを作成する段階では、CLTやHUTを行います。具体的な形のあるものを消費者の眼の前に提示することができるため、受容性調査の反応を見るという点では、実際の市場投入に近い結果を得ることができます。
アンケート調査に比べて調査対象が限られることから、流通段階まで含めた関係者や企業独自のコミュニティサイト登録者などを調査対象として行われるケースがあります。
CLTは会場という環境下で同一条件のもとに商品に対する評価を得られる点がメリットです。商品によっては実際の使用環境と異なる点に注意が必要です。HUTは実際の使用環境での評価を得られますが、評価には家族の意見などがノイズとして作用することもあり、調べたいポイントを踏まえて選択する必要があります。
コンセプトテストで失敗の確率を下げる
新規参入や商品開発の際にコンセプトテストが実施されます。いずれも段階を踏んだ意思決定プロセスが必要であり、初期の段階から市場からの評価を確認し、取り入れることは失敗の確率を下げるために不可欠です。
商品開発やマーケティングを具体化させるためのコンセプトテストは適切な方法を選択することがカギとなります。