市場調査のタイプ別アンケート票の質問例 (顧客満足度調査とブランドイメージ調査)

市場調査を目的とするアンケート調査を設計する場合、マーケティングの方法論にもとづき適切な質問項目や回答形式を検討することが有益な調査結果を得ることにつながります。

市場調査の種類のなかでも顧客満足度調査とブランドイメージ調査を取り上げて、アンケート票の目的に沿った質問項目の設定方法について解説します。

顧客満足度調査

顧客満足度調査(詳しい情報が知りたい方はこちらの記事をご確認ください)は、自社の商品やサービスに対する顧客からのフィードバックを得るために行います。フィードバックをもとに改善・改良を重ねることで顧客ロイヤルティを高め、収益の増加と企業価値の向上に結びつけることが最終的な目的です。

顧客満足につながる要因は商品やサービスの種類や個別の企業によって異なり、質問票の質問項目も独自に設計する必要があります。

質問票を設計するにあたり、参考となるのが公益財団法人日本生産性本部がまとめた日本版顧客満足度指数(JCSI:Japanese Customer Satisfaction Index)です。

JCSIは経済産業省が中心となり、国内企業の生産性を測る指標のひとつとして開発された主にサービス産業を対象とした顧客満足度を測定するための指標です。

JCSIはさまざまな業種を横断的に比較できる6つの指標から顧客満足度を測るもので、経営目標として活用することも視野に入れています。

JSCIでは、顧客満足そのものと満足・不満足の要因、満足を得た結果としてのロイヤルティの形成に分け、6つの要素を顧客満足の指標としています。

公益財団法人日本生産性本部サービス産業生産性協議会「JCSI日本版顧客満足度指数 第4回調査 詳細資料」より引用

満足の原因

顧客満足の原因は、顧客期待、知覚品質、知覚価値で構成されます。それぞれの内容と質問の例は以下のようになります。

以下の質問例は、公益財団法人日本生産性本部サービス産業生産性協議会のJCSIの資料から引用したものです。

顧客期値

満足度は事前の期待と消費した時点の印象との相対的な比較であるという観点から、事前に抱く商品やサービスへの期待度を明らかにするのが顧客期待です。

【質問例】

(全体期待)商品やサービス、店舗やウェブページ、情報提供等、従業員(以下◯◯)などさまざまな観点から見て、当社の総合的な質について、どれくらい期待していましたか
(ニーズへの期待)あなたの個人的な要望に対して、当社はどの程度、応えてくれると思っていましたか
(信頼性)〇〇など、さまざまな観点から見て、当ジャンルとして不可欠な商品がなかったり、サービスが利用できなかったりすることが、当社で、どの程度起きると思っていましたか

知覚品質

知覚品質は商品やサービスそのものの、品質、機能、デザイン、設備、従業員などの要素に対する顧客の主観的な評価のことです。

【質問例】

(全体評価)過去1年間にあなたが利用した経験から判断して、当社はどの程度優れていると思いますか
(バラツキ)過去1年間の利用経験を振り返って、当社の商品・サービスは、いつも問題なく安心して利用できましたか
(ニーズへの合致)当社は、あなた自身の要望にどの程度応えていると思いますか
(信頼性)〇〇などの観点から見て、等ジャンルとして不可欠な商品がなかったり、サービスが利用できなかったりしたことが当社でありましたか

知覚価値

顧客が要したコストに対して、提供された商品やサービスの価値を、顧客がどう感じるかを表すものです。

【質問例】

(品質対価格)あなたが当社で支払った金額を考えた場合、〇〇などの点からから見た、当社の総合的な質をどのように評価しますか
(価格対品質)当社の総合的な質を考えた場合、あなたがかけた手間ひまや金額に見合っていましたか
(お得感)他社と比べて、当社の方がお得感がありましたか

顧客満足

顧客満足度を全体満足、選択満足、生活満足の3つに分けて評価します。全体満足は商品やサービス全体に関する総合的な満足度、選択満足はその商品やサービスを選択した結果に対する満足度、生活満足度は商品やサービスがどの程度役に立ったかどうかに対する満足度です。

【質問例】

(全体満足)過去1年間の利用経験を踏まえて、当社にどの程度満足していますか
(選択満足)過去1年間を振り返って、当社を利用したことは、あなたにとって良い選択だったと思いますか
(生活満足)当社を利用することは、あなたの生活を豊かにすることに、どの程度役立っていますか

満足の結果

商品やサービスを利用した結果としての満足度が、その後の行動にどのようにつながるかを指標化するものです。満足・不満足の結果が好ましい話題につながるか、好ましくない話題につながるかを判断するための推奨意向、リピート購入や再利用につながるかを判断するロイヤルティに分けられます。

推奨意向

SNSが普及した現在では商品サービスの評価や評判は口コミとして拡散しやすい傾向にあり、顧客満足度の向上を図り、不満足となる要因をなくしていくことが売上に大きく影響します。

【質問例】

あなたが当社について人と話しをする際、以下の点を好ましい話題としますが、それとも好ましくない話題として話そうとしますか
1.商品の魅力・基本サービス
2.会社としてのサービス(サービス環境)
3.従業員・窓口対応
4.情報提供・説明案内

ロイヤルティ

ロイヤルティを高めることがリピート率の向上やクロスセル・アップセルの増加、解約率を低水準に抑えることにつながりLTV(顧客生涯価値)を向上させます。

【質問例】

(頻度拡大)これから3ヶ月の間に、当社を今までより頻繁に利用したいと思いますか
(関連購買)今後1年間で、これまでよりも幅広い目的で当社を利用したいと思いますか
(持続期間)これからも当社を利用し続けたいと思いますか
(第一候補)次回、同ジャンルを利用する場合、当社を第一候補にしますか

ここまでに挙げた質問は、ロイヤルティの質問は7段階、それ以外は10段階のリッカート尺度の回答形式を設定します。

公益財団法人日本生産性本部サービス産業生産性協議会では上記の6つの指標に加え、業種に応じたサービス品質に関する質問、感情指標、口コミ経験、次回選択候補、自由意見などの質問項目を加えた100問程度のアンケートをもとに、30以上の業種・業態、約400の企業を対象に定期的に顧客満足度調査を実施してその結果を公表しています。

企業やブランドの認知度・イメージ調査

企業そのものやブランドを消費者に知ってもらうことは、顧客獲得のための第一歩であり、企業やブランドに消費者が抱くイメージは商品やサービスの理解度を示す指標となります。

認知度を高めて良いイメージを醸成することは、顧客獲得だけにとどまらず資金調達や人材獲得、従業員エンゲージメントの向上など経営全般にプラスの影響をもたらします。

自社の認知度やイメージを継続的に調査して経営に活かすことが、長期的な成長につながります。

企業認知度

企業名の認知度を測定するための質問項目です。信頼性や使用価値が重視される商品やサービスでは企業名の認知度が購買に影響を与える要因となります。

他社との比較を行い、認知の度合いを4段階に分けることでコミュニケーション戦略のどこに力点を置く必要があるのかを明確にすることができます。

【質問例】以下の企業について知っている度合いを次の4段階でお答えください(SA)

製品・サービスの内容を詳しく知っている製品・サービスの内容について大まかに知っている製品・サービスの内容について大まかに知っている社名は知っている
A社
B社
D社
E社

ブランド認知

消費者のブランド認知は、商品カテゴリーについて手がかりなしに想起することができる純粋想起(ブランド再生)と、ブランド名やロゴなどを示されればわかる助成想起(ブランド再認)に分けられます。さらに純粋想起のなかで第一番目に想起されたものを第一再生と呼び、第一再生を獲得することができるブランドは購買に結びつく可能性が高いとされています。

自動車や家電などブランドの成熟度が高く、既に知名度が高いブランドの場合は、再生順位の競合との比較が意味を持ちます。

飲食品や雑貨など、店頭で選択行動が行われることが多い日用消費財の場合は、助成想起(再認)される銘柄であるかどうかが重要です。

純粋想起(再生)と助成想起(再認)を使い分けする場合のほか、両者の測定結果を比較し、再生と再認のギャップを明らかにする場合もあります。

【質問例】

《純粋想起》〇〇で知っているブランド名を3つお答えください(FA)

1番目( )
2番目( )
3番目( )

《助成想起》以下の〇〇の銘柄について知っているかどうかをお答えください(SA)

知っている見たり聞いたりした気がする知らない
ブランドA
ブランドB
ブランドC
ブランド認知・利用実態把握調査の作り方|Webアンケート作成まるわかり解説3

インターネットアンケートで必要となる調査票作成について、注意点から実際の調査票づくりまで、全7回にわけてご紹介します。 第3回となる本稿では、ブランド認知調査や利…

ブランドイメージ

ブランドイメージは消費者に形成されるブランドの構成概念であり、ブランド連想とも呼ばれます。イメージは商品やブランドの特性をよく表すキーワードに象徴され、企業側が意図するものを消費者に受け取ってもらえることが望まれます。

ブランドイメージを測定することは、商品コンセプトが意図するものや広告が発信するメッセージが正しく消費者に伝わっているかどうかを判断する指標となります。

質問票では自社単独、または、競合も含めたブランドについて、当てはまるキーワードを選択してもらう回答形式が一般的です。

選択肢に設定するキーワードは、商品コンセプトをいくつかのキーワードに集約したものを含めるほか、商品やサービスが持つ機能やベネフィット、企業側の経営方針や取り組みなどさまざまな切り口からリストアップすることが考えられます。

以下の質問例はペットボトルのお茶についてのイメージを挙げたものです。

【質問例】以下のお茶ペットボトル飲料のイメージとして当てはまると思うものいくつでも選んでください。(MA)

飲みやすいすっきりしたあと味が良い本格的な味わい美容に良いダイエット効果がある健康に良いリラックスできる品質が良い売れている今どきの感じがする話題性がある
ブランドA
ブランドB
ブランドC
ブランドD

広告認知度

企業認知・ブランド認知に関連して広告についての認知度を測定します。自社が出稿している広告メディアを聴取することで、広告の到達度を測ることができます。

【質問例】あなたは、(商品カテゴリ)の広告で3ヶ月以内に見たことがあるものをすべてお答えください(MA)

テレビ新聞ネット広告SNS交通広告看板見たことがない
ブランドA
ブランドB
ブランドC

調査の目的に応じたしっかりした調査設計が成功のカギ

一般的となったネットリサーチとセルフ型アンケートツールの普及により、アンケート調査を実施するためのハードルは低くなりました。用意されたテンプレートを流用して質問票を設計するケースも多く見られますが、それだけでは課題解決につながるアンケート調査にはなりません。

マーケティングリサーチとは|基礎から応用まで徹底解説

マーケティングリサーチの意味、目的、条件、方法、必要なことなどを詳細解説。マーケティングリサーチの必須情報が詰まっています。

ひとつひとつの質問が何を明らかにするための質問なのかを理解して、自社の商品やサービスに適した質問票を作成することが良いアンケート調査を行うためのカギとなります。

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