ブランド認知・利用実態把握調査の作り方|Webアンケート作成まるわかり解説3

インターネットアンケートで必要となる調査票作成について、注意点から実際の調査票づくりまで、全7回にわけてご紹介します。

第3回となる本稿では、ブランド認知調査や利用実態把握調査を実施する際にポイントとなる調査票作成の注意点。QiQUMOなど既存アンケートツールを利用して、自身でリサーチを実施する方は必見の講座です。

調査票(質問項目)作成の注意点とコツについて理解し、効果的なアンケートリサーチに成功しましょう。

【本連載が参考となる人】

  • 自社で調査票を作成する必要があり、実践的にポイントを学びたいと思っている方
  • 調査票作成はリサーチ会社に依頼しているが、基本知識など理解したうえで依頼したいと感じている方
  • リサーチ担当者がおらず、既存のアンケートツールを使って自社でリサーチを行っているが、この機会に基本を学び精度をあげたいと思っている方

【本連載で学べる内容】

商品開発プロセスに応じた調査の種類

ブランド認知度・利用実態把握調査について解説する前に、企業活動における商品開発プロセスに応じた調査を整理してみました。

今回の講座で取り上げるブランド認知調査・利用実態把握調査は、開発プロセス工程の中では、市場分析に該当します。

市場分析とは、自社の商品やサービスを展開する業界の動向を把握し、顧客ニーズを掴み、将来を見据えて市場の成長率を調査・分析することです。新規事業や新プロダクトを開発する際に実施されることが多い分析になります。

商品開発プロセスと調査

開発プロセス貴社調査機会明らかにすべきこと
市場分析ターゲットニーズ、競合利用実態調査・市場での浸透状況(自社、競合)
・セグメント、ターゲティング、ポジショニング
コンセプト開発・評価コンセプト受容性調査・コンセプトの方向性
・コンセプトの受容性(開発するに足るか)
製品開発試作品調査/ホームユーステスト・効果の確認(自社商品、競合商品との比較)
ネーミング、パッケージ開発ネーミング、パッケージデザイン調査・ネーミング、パッケージングの改善点
・ネーミング、パッケージングの決定
受容性評価ホームユーステスト・試作品調査後改良品の効果確認(自社商品、競合商品との比較)
広告開発広告受容性調査・広告表現の受容性、評価の確認
・改善点の把握
上市
上市後モニタリング各種トラッキング調査・発売後商品の評価、改善点の把握
・競合との比較、期待と満足のギャップの把握

市場調査でのブランド認知調査・実態把握は、マーケティング戦略の要となる

市場分析フェーズでは、製品・サービスについてのターゲットニーズや市場での浸透状況を調査することで、自社ブランドが市場でどの程度認知され、また利用されているのかを明らかにします。

この際に、自社だけではなく競合他社についても調査することで、自分達がとるべき戦略=セグメントやターゲティング、ポジショニングを把握する助けになります。

調査票をつくるにあたって、調査課題や目的がとても大切です。調査目的と課題を仮に設定して、調査票の作り方を考えていきましょう。

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調査課題に対して、明らかにしたいポイントを明確にする

お題は「ブランドAの市場での浸透状況、評価を把握したい

明らかにしたいポイントは、

1)自社ブランド【A】の市場での浸透状況を確認する
・競合含めた中でのマインドシェアはどの程度か?
・認知はどの程度か?

2)競合ブランド含め、主使用商品の優位・劣位点の把握
・自社ブランドの強みと弱みの整理
・競合ブランドの強みと弱みの整理 

自社ブランドAについて、市場での浸透状況と評価を確認することを目的の場合を例題に解説していきます。調査によって明らかにしたいポイントを二つ設定しました。

一つ目は、競合を含めた中で、自社ブランドのマインドシェアがどの程度か把握すること。また、自社ブランドの認知率がどの程度、市場の中で構成されているのか明らかにしたいと設定します。

明らかにしたいことの二つ目は、競合ブランドを含めた、主使用商品の優位点と劣位点を明確にすること。

自社ブランドの強み弱みを整理するとともに、他の競合ブランドの強み弱みも整理して、自分たちが何をしたらいいか、何が足りないか把握するためにこちらの調査を企画したと設定しました。

調査課題から導く調査項目の設定と設問の分け方

調査票の作成にあたり、課題に対してどのような調査項目が必要かを整理しました。

スクリーニング調査で対象者を選定する

まずは、条件に当てはまる方を見つけるためのスクリーニング項目です。

1)製品・銘柄認知

2)使用(購入)経験

3)対象カテゴリーのタッチポイント

4)対象カテゴリー選択重視点

5)ブランドイメージ

製品・銘柄の認知からブランドイメージまでの5点をスクリーニング設問で抑えます。回答結果から条件に当てはまる回答者に対して、本調査を実施するという設計です。

本調査で調査課題に関する質問をする

本調査の項目に設定したのは、主使用銘柄について深掘りする7つの質問です。

6)主使用銘柄:購入状況(1)場所/頻度

7)主使用銘柄:購入状況(2)購入理由

8)主使用銘柄:使用状況(1)頻度/使用者

9)主使用銘柄:使用評価(1)利用目的

10)主使用銘柄:使用評価(1)満足度/理由

11)主使用銘柄:使用評価(2)要素別満足

12)今後の意向:購入意向/NPS

ブランド認知調査は、調査項目を明確にし具体的な質問項目を決める

調査したい項目が定まったところで、課題解決のために明らかにしたいことがわかるように、質問項目を検討します。

調査項目ごとの質問項目は以下の表でまとめてみました。

調査項目質問項目
1)製品・銘柄認知・ブランド認知(純粋想起)
・ブランド認知(助成想起)
2)使用(購入)経験・購入経験ブランド
・使用ブランド(MA/SA)
3)対象カテゴリーのタッチポイント・対象カテゴリーの情報の集め方
4)対象カテゴリー選択重視点・対象カテゴリーを選ぶ際に重視すること(MA/3LA)
5)ブランドイメージ・(認知者)ブランドイメージ
6)主使用銘柄 購入状況①場所/頻度・購入場所
・購入頻度
7)主使用銘柄 購入状況②購入理由・購入理由
8)主使用銘柄 使用状況①頻度/使用者・利用頻度/利用者
・利用シーン/時間帯
9)主使用銘柄 使用評価③利用目的・利用目的
10)主使用銘柄 使用評価①満足度/理由・利用満足度評価
・満足/不満理由
11)主使用銘柄 使用評価②要素別満足・要素別満足度評価
12)今後の意向 購入意向/NPS・今後の購入意向評価
・推奨度評価(NPS)

ブランド認知調査・利用実態把握調査の質問で注意するポイント

このような質問をつくるわけですが、実際に利用実態把握調査の質問をつくる上で、注意するポイントは以下の2つになります。

まずは前提として、回答者が回答しやすい流れにすること。その上で、純粋想起を調査して、次に助成想起を調査するという順番です。

また、マインドシェアを測るところであるように、競合ブランドを含めた自社との優劣を測るために、満足点や重視点を把握できるように調査項目をつくることです。

課題や目的を念頭に置いて、足りているのか不足しているのかを精査しながら質問をどうつくるかに気をつけて考えてください。

次回の第4回では、ブランド認知・利用実態把握調査の調査票作成における、実践的なキーポイントを解説していきます。

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