調査票作成の基礎、注意点と決まり事|Webアンケート作成まるわかり解説1

インターネットアンケートで必要となる調査票作成について、注意点から実際の調査票づくりまで、全7回にわけてご紹介します。

初回は超基礎編として、調査票作成の注意点と決まり事についての内容です。QiQUMOなど既存アンケートツールを利用して、自身でリサーチを実施する方は必見。

調査票(質問項目)作成の注意点とコツについて理解し、効果的なアンケートリサーチに成功しましょう。

【本連載が参考となる人】

  • 自社で調査票を作成する必要があり、実践的にポイントを学びたいと思っている方
  • 調査票作成はリサーチ会社に依頼しているが、基本知識など理解したうえで依頼したいと感じている方
  • リサーチ担当者がおらず、既存のアンケートツールを使って自社でリサーチを行っているが、この機会に基本を学び精度をあげたいと思っている方

【本連載で学べる内容】

Webアンケートに必須、抑えておくべき調査票の作り方

アンケート調査を実施する際に、回答してもらう質問の作り方には、基本となるルールがあります。やみくもに質問するだけでは、欲しい回答結果が得られない可能性も。

調査票を作成するにあたっての注意事項と基礎を理解していただければ、セルフアンケートでも、正確な調査結果を得ることができます。

ルール1:質問の順番

ルール2:質問項目の設計ポイント

ルール3:領域の包含関係

ルール4:調査票の構成

調査票の作り方、まず初めに質問の順番を考える

Webアンケートの作成で重要なのは、設問の順序です。いきなり質問内容を書き出すのではなく、初めに質問の順番を整理することを強くお勧めします。

Webアンケートの基本的な質問、4つの順序

Webアンケートを設計する際には、以下の順番で質問を並べていくと、回答者にとってストレスが少なく、かつ適切な回答結果が得られる可能性が高まります。

導入→テーマに関する背景情報→テーマの核となる質問→補足情報

(1)属性質問から始める

Webアンケートにおいて、一番最初に設定したい設問は「導入」です。導入部分での具体的な質問は、「属性」などの回答し易い一般的な内容が該当します。

属性質問の例としては、性別/年齢・世代/最終学歴/職業/住居/年収/世帯年収/居住地域などが挙げられます。

回答者によっては、「月給がいくらだから、年収にすると……」と少し考えてしまうかもしれませんが、回答に対して大きなストレスにはなり難いでしょう。どれも基本的な質問であり、あまり悩まずに回答できることがわかります。

(2)テーマに関する背景情報を聞く

属性質問で回答者の緊張を和らげたら、徐々にアンケートのテーマに近づいた質問を設置していきましょう。

「テーマに関する背景情報」を得るための質問を設置していきます。回答者とテーマの関係について「事実・行動・実態」を把握する質問を行ない、続いて、同じく回答者の「意識・意見・理由」を理解できる質問を行ないます。

(3)テーマの核となる質問をする

Webアンケートの設問設計において重要なのは、属性質問からスタートして、テーマに関する背景情報を取得した後に、テーマの核となる質問をすることです。易しい質問から徐々に、本質へと迫る順番が重要。

テーマの核となる質問では、コンセプトの提示やデザインの提示、テスト品を使用するなど、最も知りたかった回答を得るための設問を作成します。

(4)必要であれば補足情報を質問する

(3)までで、求めたかった回答の大部分は取得することができました。最後に補足情報を取得したい場合は、いくつかの問いを設けることも検討ください。

大部分の回答をいただいたところで、やや答え難いであろう質問をするケースもあります。自由記述で多少手間の発生する質問や、選択式でも多少考える時間が必要な質問などを設定しましょう。

ただし、必ずしも補足情報の質問が必要なわけではありませんので、調査票の全体を見直した上で、本当に回答させるべきかを熟考することを忘れないようにしてください。

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質問項目の設計ポイント5つを理解する

質問項目の順番について解説したところで、いよいよ設問を設計していくわけですが、ここで設計のポイントについてのご紹介です。5個に絞って、Webアンケートの設問設計のポイントを解説します。

質問設計のポイント1:論理的な順番

質問を設計する際に意識したいポイントのひとつめは、論理的な順番に並んでいること。質問時のヒントの有り/無しをイメージすると理解し易いでしょう。

たとえば、選択肢によっていくつかブランド名を見せたあとに、自由回答で「好きなブランドは?」と質問すると、すでに見た選択肢の中から選ばれることが多いことが想像できます。

認知度調査を実施する場合には、純粋想起(選択肢を設けずに自由に回答してもらう)の質問をした後に助成想起(選択肢を用意して回答してもらう)の質問を実施しましょう。自由回答の質問をした後に選択式の質問をすることが論理的な質問項目・順序となります。

質問設計のポイント2:時間軸

次に意識したいのが、質問の時間軸を揃えること。例えば「過去の経験」→「現在のこと」→「未来のこと」のように、時間の流れに沿って質問を投げかけることで、回答者のストレスは少なくなります。

同じ事象に対しての質問であったとしても、「現在のこと」を聞いた後に、「未来のこと」→「過去のこと」のように時間軸が行ったり来たりすることは避けると良いでしょう。

質問設計のポイント3:答えやすさ

ポイントの3つ目は、回答のし易さを意識することです。

最初に回答し易い質問
易しい質問の例:一般的なこと、回答者が知っていることを聞く事
次に回答が難しい質問
難しい質問の例:評価、予想、展望など回答者の考えを聞く事

アンケートの最初から難しい質問を投げかけると、回答者にとっては唐突感があり、深く考えてから回答するというストレスが発生します。回答者によってはアンケートの継続を諦めたり、項目を埋めるための適当な回答をするリスクが伴います。

質問をする場合はできるだけ気軽に答えられる「易しい質問」から始めることを意識してください。

質問設計のポイント4:テーマに対する優先度

続いてのポイントは、そのアンケートで回答を得たい重要な質問ほど前半に質問すること。回答負担や分析を見据えてテーマに対する優先度を整理した上で、質問項目を設計しましょう。

テーマの核となる質問を優先的に設定し、補足的な質問は不要であれば除外。必要な場合でも、テーマに沿った質問よりも後に配置することが重要です。

質問設計のポイント5:思考回路

Webアンケートの設問設計ポイントの最後は、回答者の思考回路を意識することです。複数の質問をする場合には、できるだけ関連性のある問いをまとめて聞くようにしましょう。

Aについての質問をしたあとに、BやCの質問をして、再びA関連の質問を投げかけると、回答者の思考回路を混乱させる可能性があります。

ポイント1〜5までの共通した目的は、いずれも回答者にストレスを発生させないこと。論理的、時間軸、答え易さ、優先度、思考回路に配慮することで、質問設計の質がぐっと高まります。

領域の包含関係を整理する

領域の包含関係を整理するとは、カテゴリ分類を明確にすることです。Webアンケートの設問設計のポイントで解説した「時間軸」に近しい考え方ですが、質問する領域の大小を整理するイメージをしてみてください。

例えば、焼酎市場に関するリサーチであれば、焼酎を細かくしたときに「乙類」「甲類」があり、焼酎をより大きなカテゴリに入れた場合は「アルコール」領域であり、アルコールの更に大きな領域に「飲料」と整理することです。

ライフスタイル調査を実施する場合であれば、「個人(本人)のこと」→「家族のこと」→「地域のこと」。商品に関する調査であれば、「業界」→「企業」→「商品(サービス)」とすることで、大きなカテゴリから中規模のカテゴリ、最後に小さなカテゴリへと整理することができます。

アンケート調査において領域の包含関係を整理する際、どこまでの粒度で設定するかは、調査・分析の目的および予算と照らし合わせて考えるようにしましょう。


インターネットアンケートで必要となる調査票作成について、注意点から実際の調査票づくりまでを解説するシリーズ「第1回:調査票を作る上での注意点と決まり事1」をお届けしました。

次回の「第2回:調査票作成の最重要ポイント、構成づくり」では、Webアンケートの調査票作成で最重要となる『構成の考え方』をご紹介します。