自由回答(FA、OAとは)|簡単解説

自由回答の語句説明

自由回答(FA、OA)のカンタン語句解説

自由回答(FA、OA)とはアンケート調査の回答形式のひとつで、質問に対する答えを回答者に自分の言葉で書き込んでもらうものです。自由回答は集計段階で何らかの基準で分類して定量化して分析する方法や、含まれるキーワードを抽出して分析する方法、定量化せずに文章そのものから有益な情報を見つけ出すなどの活用方法があります。

自由回答(FA、OA)の概要

アンケート調査は選択肢を選ぶ形式の質問を行うことで、回答者全体の傾向を定量化して集計を行います。

それに対し、あらかじめ回答を想定できないことを聞きたい場合、あるいは、回答を選択肢に限定せず、事実や考えなどをより幅広く、具体的に聞きたい場合に自由回答の回答形式を用います。

実務では自由回答を表す言葉としてFA(フリーアンサー)やOA(オープンアンサー)が使われます。

自由回答を求める質問のことをOpen-ended Question(オープンエンデッドクエスチョン)、選択肢を選ぶ回答形式の質問を、回答を制限しているという意味でClose-ended Question(クローズエンデッドクエスチョン)と呼びます。

自由回答の例

自由回答にはいくつかのバリエーションがあります。

広く意見や要望を求める

【例】
「〇〇について、お気づきの点やご要望がございましたらご自由にお聞かせください」

商品やサービスの評価や満足度を調査するアンケートでよく使われる自由回答です。選択式設問で想定する以外の事柄や事実、意見などを収集することができます。

選択式設問の回答理由を尋ねる

【例】
「〇〇にどの程度満足していますか?」(大変満足  やや満足  どちらでもない  やや不満  大変不満)
「上記のように評価した理由をお聞かせください 」

前の質問と関連付けて、評価や判断の理由を自由に記述してもらいます。前の質問の尺度と紐づけて分析することが可能になります。

純粋想起で認知度を測定する

【例】
「〇〇商品のブランド名で思いつくものを記入してください」
①(    )  ②(    ) ③(    ) ④(    )

純粋想起はブランド再生ともいわれ、銘柄や広告などの認知の度合いを測る場合の質問方法です。

選択肢によるヒントなしに想起できるものを回答することになるため、純粋想起で挙げられた銘柄は、より認知の度合いが高いと考えられます。これに対し銘柄名を挙げて順位付けするような質問方法を助成想起と言われます。

文章を完成してもらうことでキーワードを抽出する

【例】
「以下の文章に続けて、ビールを飲むときの状況についてお聞かせください」 
 →私がビールを飲みたくなるのは、(         )のとき。
「以下の( )に入る理想の家についてお答えください」
→新築の家に住むとしたら(        )な家に住みたい。

文章を補う形で完成させてもらう自由回答の記入方法です。提示する文章の文脈に応じて回答を制限する形で、幅広く事柄やキーワードを挙げてもらうことができます。

数値を記入してもらう

【例】
「飲み会の費用として高すぎると感じる金額はいくらですか」(    )円

回数や金額などを質問する場合は数値を区切って選択肢とする方法もありますが、適切な数値の区切りを想定できないケースや、平均や中央値標準偏差などの統計量を求めたい場合は数値を記入してもらいます。

自由回答(FA、OA)の分析方法

一般的に、自由回答に記入されたテキストは、同じ意味を表す複数の言葉や解釈の幅が広い言い回しなど情報の混在性が高く、情報の密度という点でも回答者それぞれに異なる点で定量化することは難しくなります。

逆に言えばその点に情報としての価値があるという見方もできます。この点を踏まえた上で自由回答を分析することが重要です。

基本的には自由回答を読んだ上で、何らかの基準を設けて分類したりコード化するという作業が必要になりますが、サンプル数が膨大である場合にはソフトウエアを使ってテキストマイニングを行う方法があります。

アフターコーディング

自由回答に記述された内容を何らかの基準で分類することで定量化することが可能になります。評価についてポジティブな内容とネガティブな内容に分ける、特定のキーワードにもとづいて分類する、同様な内容をまとめるなど、さまざまな方法があります。

人の手でアフターコーディングを行う場合は一覧表を作成します。一覧表を作成する際には自由回答の記述内容と属性情報や、自由回答との関連性が高いと考えられるクローズドクエスチョンの回答結果などを付け加えます。

エクセルなどを使って一覧表にまとめることで、コーディングしない場合でも属性情報別や関連する回答結果ごとにまとめて傾向を把握することができるようになります。

テキストマイニング

テキストマイニングはアンケート調査の自由回答に限らず、SNSの投稿やコールセンターで集められる問い合わせ内容など、テキスト形式で集積されるデータを分析する際の方法です。

SPSSやRなどの統計解析ソフトでもテキストマイニングを行うことができるほか、マーケティングリサーチ分野でテキストマイニングのサービスが数多く提供されています。

テキストマイニングでは形態素解析という技術が使われます。文章を品詞ごとに分解し、単語の出現頻度や単語間の係り受けを解析して言葉や単語の関係性を可視化します。

上記の例はSNSの投稿について共起キーワードマップとして可視化したもので、「味」「香り」「食感」という単語と同時に使われている単語のつながりとそれぞれの出現数を把握することができます。

さらに、性別や年代別などの属性情報や他の質問項目の選択肢と結びつけて分析することも可能です。

自由回答(FA、OA)の語句解説まとめ

自由回答(FA、OA)はアンケート調査の数値化された集計結果だけでは見えてこない、回答者の生の声を拾うための手段となります。場合によっては記述された文章のなかの一言が、課題を解決する決定的な手がかりになるケースもあり得ます。

テキストマイニングを活用して分析の効率化を図ると同時に、実際に回答者ひとりひとりが書いた文章を読むことで得られるインサイトがあることも踏まえ、自由回答の分析に取り組むことが必要です。

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