WebマーケティングにSNSを活用|ソーシャルメディアでのアンケートの作り方
SNSの効果的な運用はマーケティングの手法として定着してきました。製品やサービスの認知を高めるとともに、ユーザーと対話を図りフィードバックを得るためのチャンネルとしてSNSは有効に機能します。
ユーザーとの接点となるSNSの活用方法の1つがアンケートの配信です。SNSユーザーにアンケートを配信することで、リアルタイムなコミュニケーションを促し、フィードバックを可視化して共有することができます。
アンケートの配信方法の1つとしてのSNSに着目し、その実施方法についてご紹介します。
企業が着目するSNSの特性
手軽に情報を発信できるSNSは、情報収集のためのメディアとしても広く利用されており、企業にとっては、新たなユーザーにアプローチしコミュニケーションを生み出すためのチャンネルとして活用できます。
認知度の向上・ブランディング
SNSはユーザー数の多いメディアです。主要なプラットフォーム別の国内月間利用者数(MAU)は2023年5月現在で、LINEが9,500万人、YouTubeが7,000万人、X(旧Twitter)が6,000万人など、日常的にSNSに接しているユーザーは膨大な数にのぼります。
情報収集のための手段としてのSNSはその比重を高めており、SNSから得られる情報がユーザーの購買行動に大きく影響することが指摘されています。
SNSユーザーに向けて商品やサービスについての情報を発信することが、新たなユーザーを獲得することにつながり、また、コンテンツとして発信される情報は広告とは異なる形でユーザーにアプローチするための手段となります。
レコメンドと拡散・共有
SNSはユーザーの興味や関心の傾向にあったコンテンツを配信する仕組みを持っています。この機能があることで、作成したコンテンツの内容とそれに対するユーザーの反応次第で、特定のユーザー層にリーチする確率を高めることが期待できます。
さらに、コンテンツを共有したり拡散したりするためのSNSが持つ機能により、同じ興味や関心を持つユーザー同士のやり取りが発生し、同質なユーザーへ情報が伝わっていきます。
これらのSNSが持つ特性により、製品やサービスがターゲットとするユーザー層により広く情報を届けることができます。
ダイレクトなレスポンス
SNSに配信されたコンテンツに対して、ユーザーはコメント、いいね、共有といった形ですぐにリアクションを取ります。
投稿したコンテンツに対してコメント数やいいねの数が多いことはユーザーからの関心の高さをあらわし、コメントの内容から配信したコンテンツに対するダイレクトな感想や意見などのフィードバックを得ることができます。
SNSアカウント運用で成果を出すためのポイント
SNSでのアンケートやコンテンツ配信を効果的に活用するためには、アカウントの適切な運用が不可欠です。定期的な更新やユーザーとの積極的な対話を通じて、フォロワーとの信頼関係を築くことが重要です。
また、SNSごとの特性を理解し、ターゲットに合わせたコンテンツを発信することで、エンゲージメントを高めることができます。ここでは、SNSアカウント運用で意識すべきポイントを3つご紹介します。
継続的なコンテンツ配信でユーザーとの接点を強化
SNSの運用において、継続的な情報発信はフォロワーとの関係を強化し、ブランドへの信頼感を築く基盤となります。投稿頻度が低いと、アカウントが埋もれてしまい、フォロワーから忘れられてしまうリスクがあります。
そのため、週に2〜3回は定期的に投稿することで、ユーザーのフィードに表示される機会を増やし、エンゲージメントの向上を図りましょう。
また、投稿内容は一貫性を持たせつつも、キャンペーン情報や商品紹介、アンケート、インフォグラフィックなど多様なフォーマットを取り入れることが効果的です。視覚的に魅力のあるコンテンツは、フォロワーの興味を引き、リーチの拡大にもつながります。
ポイント
• 週に複数回の投稿でアクティブなアカウントを維持
• 画像や動画を活用し、視覚的に訴えるコンテンツを意識
• ユーザーの関心が高いテーマをリサーチし、投稿に反映
インタラクティブな投稿でフォロワーと積極的に交流
SNSは一方的に情報を発信するだけではなく、ユーザーと双方向のコミュニケーションが可能な場です。アンケート機能や質問箱を活用することで、フォロワーの声を収集し、ブランドへの関心を高めることができます。
たとえば、「どの商品が好きですか?」「次に試したいサービスは?」といった質問は、ユーザーに参加感を与え、エンゲージメントの増加につながります。
さらに、コメントやDMへの迅速な対応も信頼関係を築くポイントです。ユーザーがコメントを残した場合は、可能な限り早く返信し、関心を示してくれたことへの感謝を伝えましょう。こうした積極的な交流は、アカウントのファン化を促し、ロイヤルティ向上につながります。
ポイント
• アンケート機能や質問箱を活用してユーザーと交流
• コメントには迅速かつ丁寧に対応し、信頼感を強化
• 定期的にユーザー参加型のキャンペーンを実施
SNS運用を外注する場合
自社でSNS運用を続けるのが難しい場合は、SNS運用代行サービスを利用するのも一つの方法です。SNS運用を外注することで、専門的な知識を持つプロがコンテンツ企画から投稿、フォロワー管理まで一括して対応してくれます。特にリソースが限られている企業や、複数のSNSプラットフォームを同時に運用したい場合には効果的です。
外注を検討する際は、代行業者の実績や得意分野を事前にリサーチし、自社のターゲット層や業界に合った運用ができるかを見極めることが重要です。また、定期的なレポート提出やフィードバックの共有を求めることで、進捗状況を可視化し、目標に対して着実にアプローチできます。
SNS運用代行の詳細については、以下のページをご参照ください。
👉 SNS運用を外注する場合の詳細はこちら
ポイント
• SNS運用のプロが戦略的に運用し、効率的な成果を実現
• 自社リソースの負担を軽減し、本業に集中できる
• 専門知識を活かしたターゲット戦略でフォロワーを拡大
SNSでのアンケート配信
SNSが持つこれらの特性に着目し、SNSユーザーを対象としてアンケートを取ることもマーケティングリサーチの有効な手段です。
SNSでアンケートを実施する方法としては、各SNSプラットフォームのアンケート機能を利用する方法と、SNSのコンテンツからアンケートフォームに誘導する方法の2つが考えられます。
SNSのアンケート機能の活用
主要なSNSのプラットフォームはアンケート機能を備えています。しかし、フォーム作成ツールやセルフ型アンケートツールのような高度な機能は搭載されておらず、設定できる質問数は1つ、選択肢の数は2〜4つに限られ、投票のような形で選ばれた選択肢の数を知ることしかできません。
そのため、SNSの機能だけを使って本格的なアンケート調査を行うことには無理がありますが、単純に2~4つの選択肢のなかからユーザーに支持されるものを知りたいといったケースでは十分に利用価値のあるアンケートの方法であるといえます。
SNSからアンケートフォームへの誘導
SNSへの投稿にアンケートフォームにリンクするURLやQRコードを設置し、そこから別途作成したアンケートフォームに誘導し回答してもらうという方法です。
SNSのアンケート機能から回答する場合に比べて、リンクをたどり回答に時間をかけなければならないため回答負荷が高まり、回答してもらえる確率は低くなります。そのため、回答したユーザーに懸賞やプレゼントを進呈するキャンペーンの形で実施するケースがよく見られます。
【X(旧Twitter)でアンケートを実施する例】
SNSでアンケートを配信する場合の注意点
アンケートのサンプルを集める手段としてSNSを利用する場合、調査会社が実施しているような形でのサンプルの集め方とは異なる点を知っておくことが重要です。
プラットフォームごとのユーザー層が異なり、アンケートに回答するかどうかはSNSユーザー次第であるため、必要な属性を持つサンプルを集めることができないといった点を知っておく必要があります。
プラットフォームごとのユーザー層の確認
国内でユーザー層が多いSNSプラットフォームはいくつか挙げられますが、それぞれのユーザーの属性が異なっています。
例えば、LINEとYouTube、Facebookの年代別構成比は40〜50代が高いのに対し、X(旧Twitter)、Instagram、TikTokは10〜20代の割合が高くなっています。また、Facebookが男性の割合が高いのに対し、Instagramは女性の割合が高いといった傾向が見られます。
さらに、プラットフォームによって話題となるテーマや紹介されることの多い商品カテゴリーも異なっていることが想定されるため、それらを踏まえた上で、どのプラットフォームを利用するかを選択する必要があります。
必要な属性のサンプルを必要数だけ集められるとは限らない
調査会社に依頼してWebアンケートを実施する場合や、アクセスパネルに配信できるセルフ型アンケートツールを利用する場合は、年代や性別、職業などの属性ごとに調査に必要なサンプル数を割り付けてアンケートが実施されます。
それに対し、SNSにアンケートを配信した場合、属性を指定することはできないため、関心を持ってくれたユーザー層の意見は多く集まるが、関心を持たれなかった層にはアプローチできないということになります。
そもそも、SNSへの投稿が確実に届くのはフォロワーやチャンネル登録者であり、フィードやタイムラインに表示されるかどうかは、フォロワーやチャンネル登録者の数に依存します。フォロワーが少ない段階で配信を行っても多くのユーザーに見てもらえる機会は少ないのが実際のところです。
この点からも、調査会社が実施しているような客観性のあるデータを取るためのアンケート調査とは、集めることのできるサンプルの特性が異なっていることを認識しておく必要があります。
SNSのアンケート機能の使い方
前述した通り、簡単な質問を行うアンケートであれば、スマートフォンだけでアンケートを取ることができます。TikTokとInstagram、X(旧Twitter)それぞれのアンケート機能の使い方を解説します。
TikTokのアンケート機能
①新たな投稿を作成するための +をクリック。
②投稿する素材を選択したらステッカーをクリック。
③ステッカーのなかから「投票」を選択。
④質問文を入力し完了をクリックすると回答画面が表示されます。
⑤回答画面のプレビューが表示された画面から「次へ」をクリックしてキャプションとタグ、公開範囲、他のオプションを設定します。投稿を押すと配信されます。
TikTokは短尺の動画を大量に見ることができるという特徴から、潜在顧客層へ幅広くリーチしやすいSNSといわれています。注目度の高いコンテンツであれば、他のSNSよりも潜在顧客層に向けて広く情報を届けることができる反面、フォロワーが留まりにくく継続的なファン層を獲得することが難しいことが特徴です。
若い年代の構成比が高く、トレンドに対して敏感に反応するユーザーが多いことから、認知拡大や関心を持ってもらうことを目的に活用したいSNSといえます。
Instagramのアンケート機能
①投稿画面からストーリーズを選択し、「Aa」の作成をクリック。
②次の画面からスタンプボタンをクリック。
③スタンプ一覧から「アンケート」をクリック。
④質問文と選択肢を入力する。選択肢は「別の選択肢を追加」から4つまで設定できます。
⑤ ④で「完了」をクリックすると作成したアンケートが表示されるので、ストーリーに投稿すれば配信されます。
InstagramにはX(旧Twitter)のリツイートに相当するような機能がなく、他のSNSと比較して拡散力が弱いとされています。共有機能はあるので、Instagramのコンテンツを拡散するには他のSNSやアプリケーションと連携させることが必要になります。また、ハッシュタグを数多く設定して検索からの露出を狙うことが効果的です。
他のSNSと比較した場合のInstagramの優位性は、ユーザーの購買行動に対する影響力が大きいことです。紹介されるファッションやフード、コスメといった商品が販売に結びつきやすいといわれています。
X(旧Twitter)のアンケート機能
①「ツイート」をクリック。
②のアイコンをクリックすると上のアンケートの質問文と選択肢の設定画面が表示されます。
「公開」を選択すると公開される範囲は通常のツイートと同様です。公開範囲を設定できる「X(旧Twitter)サークル」を選択するとフォローされているユーザーのなかから配信先を選ぶことができます。
回答の設定は+をクリックすることで選択肢を4つまで追加することが可能で、「投稿期間」は5分単位で最長7日まで設定できます。
「ツイート」ボタンを押すとアンケートが公開され、自分のツイートにはリアルタイムでの回答結果が割合で表示されます。
X(旧Twitter)の特徴はリアルタイム性が高いという点と、リツイートによる拡散性が期待できるという点です。いわゆる「バズる」という爆発的な露出の増加により、情報を広く拡散できる可能性があります。
まとめ
アンケート調査も含め、SNSでの発信や反響を効果的に活用するためには、定期的な更新を継続的に行い、ユーザーの関心を捉えるためにコンテンツの内容を工夫して、フォロワーや登録者を獲得していることが前提となります。
SNSそれぞれのアンケート機能でできることは、調査会社が実施するアンケート調査と比較するとごく簡単なものに限られます。また、アンケートフォームに誘導する形でアンケートを実施する場合、必要なサンプルが得られるかどうか、思い通りの反響が得られるかどうかは不確定要素が大きいといえます。
しかし、簡単な質問で事足りるケースや探索的な段階でユーザーからの反応を確認するといったケースでは、SNSで実施するアンケートのほうが有効であることも十分考えられます。