実践、パッケージデザイン評価調査票の作り方|Webアンケート作成まるわかり解説5

パッケージデザインの調査票作成方法

インターネットアンケートで必要となる調査票作成について、注意点から実際の調査票づくりまで、全7回にわけてご紹介します。

第5回目となる本稿では、具体的な調査票づくりを例にしての解説です。制作会社様や事業会社様が、自社製品のパッケージデザインを決定する際に利用するアンケートが例題になります。

複数のデザイン案がある場合に、消費者から選ばれる選択の助けになる調査票を作成していきましょう。

QiQUMOなど既存アンケートツールを利用して、自身でリサーチを実施する方は必見。調査票(質問項目)作成の注意点とコツについて理解し、効果的なアンケートリサーチに成功しましょう。

【本連載が参考となる人】

  • 自社で調査票を作成する必要があり、実践的にポイントを学びたいと思っている方
  • 調査票作成はリサーチ会社に依頼しているが、基本知識など理解したうえで依頼したいと感じている方
  • リサーチ担当者がおらず、既存のアンケートツールを使って自社でリサーチを行っているが、この機会に基本を学び精度をあげたいと思っている方

【本連載で学べる内容】

デザインの良し悪しを見極めるアンケート調査票の作り方

まず初めに、商品開発プロセスにおいてパッケージデザインがどこに位置付けられるかを確認しましょう。市場分析、コンセプト開発・評価、製品開発に次ぐ4番目のプロセスです。

パッケージなどのデザインだけでなく、ネーミングなどワード関連もここに該当します。目的は、ネーミング・デザインの決定/改善点の把握です。

デザインWebアンケートの調査課題と目的を整理

目的と調査課題を理解いただくために、以下のような例題を用意しました。

  • 試作案2案・現行案によるデザインの受容性を把握したい
  • 改良ポイントである「目新しさ」「手に取りやすさ」の評価のチェック

パッケージデザインを2案作成、現行のデザインと合わせて3案のデザインから受容性を把握することを目的とします。

新しいデザインを試作するわけですから、改良したいポイントがあるはず。今回は、『デザインの目新しさ』と『消費者の手に取りやすさ』を念頭においた調査とします。

Webアンケート調査で明らかにしたいのは、以下の2点です。

①改良ポイントである「目新しさ」「手に取りやすさ」項目の評価レベル
→現行デザインに比べ評価が上回ったか
 

②現行含めての購入意向評価の把握を確認
→一斉呈示による購入意向評価で1位の獲得率

調査課題である『目新しさ』『手に取りやすさ』が、現行デザインと比べて評価が上回るかが知りたいことのひとつ。もうひとつ知りたいのが、3案を比較した際に一位の獲得率が高いのはどのデザインか把握することです。

この2点の把握を目的として、Webアンケートの調査票を作成しましょう。

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デザイン選びのためのWebアンケート、調査項目の整理

消費者から選ばれるデザイン案を見極めるために、Webアンケート調査を実施します。調査課題を『目新しさ』『手に取りやすさ』と置いて、調査項目を整理すると以下になります。

対象者を明確にするためのスクリーニング調査では、以下の3点を実施するのが良いでしょう。

  • 製品・銘柄認知
  • 使用(購入)経験
  • 対象者属性
    • 性別
    • 年齢
    • 居住地
    • 未既婚
    • 家族構成/子供有無
    • 職業/除外職種
    • 世帯年収

製品や銘柄の認知、使用や購入の経験、そして属性情報を抑えます。スクリーニングを実施した本調査の対象となる方々、条件を満たす人に質問するのが以下です。

  • 絶対評価(P/Q/R)
    • パッケージイメージ評価
    • デザインの良い/良くない理由
    • 個別要素評価
  • 相対評価
    • 購入意向評価
  •  購入意向1位の理由
  •  ブランド選定時の情報源

3)~5)の絶対評価は

聴取順序のローテーション実施

ROT1:P→Q→R

ROT2:Q→R→P

ROT3:R→P→Q

各調査項目のなかで、『パッケージイメージ評価』『デザインの良い/良くない理由』『個別要素評価』については絶対評価で聴取します。

この際にポイントとなるローテーション実施については、後ほど詳しく解説しますので、先に進みましょう。

絶対評価で3項目を聴取した後、相対評価で『購入意向評価』を明らかにします。今回のWebアンケート調査では、3案のデザインがあるので、それぞれについての購入意向の聴取です。

パッケージデザインの調査票づくり、質問項目を決める

パッケージデザイン調査の調査項目が決まったので、質問項目を考えてみましょう。

製品・銘柄の認知については、これまでにも解説してきましたが、純粋想起助成想起を順番に気をつけながら質問項目を作成します。

使用(購入)経験経験についても、これまで同様に『購入経験ブランド』『使用ブランド(SA/MA)』を単回答もしくは複数回答で聴取しましょう。

パッケージイメージ評価からは、絶対評価での個別評価を聞いていきます。質問項目としては、『全体的なデザインの評価』『訴求イメージの評価』『デザインの評価理由』という順番で作成してみました。

5番目の『個別要素評価』と6番目の『相対評価/購入意向評価』については、質問項目の作成においてポイントがありますので、詳細に解説しましょう。

絶対評価と相対評価の質問項目を使い分ける

例題にしたパッケージデザイン評価を実施する場合、既存のデザインと複数案に対する評価が必要になる評価課題を設定しました。

絶対的な評価となるように、ひとつの物を見せて、各デザイン案を個別で聴取することが必要となります。同時に、既存パッケージと試作パッケージ案を並べた上で、その違いや受ける印象を相対的な判断として聴取することも必要です。

また、各デザイン案がどのような理由で評価につながったかを把握したいので、パッケージごとの個別評価も設定したことが今回のポイントとなります。

デザイン案の聴取方法:Webアンケート調査票作成ポイント1

ここで具体的にデザイン案の聴取方法についてご紹介します。

Webアンケート調査において、個別評価を実施して、次に相対評価を聴取するという順序で実施するケースが多くなります。

棚前調査=シェルフで市場からの反応を確認する方法

個別評価のパターンとして、棚前評価についてもご紹介します。家具の棚を英語が『シェルフ』であることから、シェルフという呼び方をすることも。

実際の売り場のような状況を用意して、回答者が手に取るまでの言動や時間、取った後の行為などを具体的に把握することが可能です。

例題にシェルフの項目は入れていませんが、市場においては試作品の魅力がどの程度あるかを知るために実施することがあります。

棚前調査は、実際の売り場を再現して実施するため、CLT(会場調査)というリアルの場を用意することが通常です。実際の商品棚を用意して、デザイン案のパッケージ商品を並べて、回答者=消費者の手に取りやすさなどを確認する目的となるためです。

CLTで実施するのが通常ではありますが、Webアンケートでシェルフを行なう方法もあります。Webアンケートで棚前調査を実施したいという方は、クロス・マーケティングのような調査会社にお問い合わせください。

Webアンケートの回答を精緻にするローテーション

話が少し脱線しましたので、例題のパターンでデザイン案の聴取をするときのポイントに戻ります。先述したローテーションについての詳しい解説です。

個別評価を実施するP・Q・Rとは、それぞれのデザイン案を指します。全部で3案ある場合、Pについてのデザイン評価を質問して、次にQの評価、最後にRの評価と進むことがよくあるのですが、ここで取り入れるのがローテーションです。

Webアンケートで聴取したいデザインが3つあるので、回答者全体を3分割します。Pをスタートにする回答者、Qを最初に聞く回答者、Rを最初に聞く回答者と、個別評価する順番を入れ替えて実施する方法です。

ローテーションを行なう理由は、順番効果の発生を抑制するため。同じようなデザイン案をWebアンケートで調査するので、最初に見た物の評価が高くなったり、逆に低くなるのを避けることが目的です。

二つ目や三つ目のデザイン案は、最初のデザインが頭に入った状態で調査することになります。個別評価であっても、前のデザイン案を踏まえて評価することになり、2つ目以降が何らかの影響を受ける可能性が否定できません。

ローテーションを組んで最初に見せる案を散らばせることにより、全体として最終的な結果を精緻に近づけることが可能となります。

個別評価で確認する項目を整理:Webアンケート調査票作成ポイント2

調査の目的は、デザインを判断することに注力しないといけません。目的を達成するために、個別評価でどのような項目をつくるかがポイントとなります。

全体的なデザインそのもので確認すべき項目

デザイン案のWebアンケート調査でポイントとなるのは、消費者が実際にパッケージを手に取って購入するにあたって、買ってもらう前提として、どんな項目をとりたいのか。

具体的には、『デザインが良い』とか『目新しいから手に取る』というケースもあれば、デザインから与える印象として『美味しそう』『効き目がありそう』など、どの項目をメインに聴取するかを意識することです。

デザイン作成前に目標設定した項目の選定

パッケージのデザインを変更するわけですから、想定している項目なり選ばれる要素があると思われます。商品の方針やコンセプトとして訴求したい項目をどの程度、回答者にとって反応があるかを意識して聴取しましょう。

細分化したデザインで確認すべき項目

今回はパッケージデザインを例題にしていますが、デザインと一言でいっても、全体的な色合いとか、商品名の字体や大きさ、写真やイラストなどの情報、キャッチコピーなど多くの要素で構成されています。

それらの要素をそれぞれに分解して、消費者の好き嫌いにどの程度影響があるのかを確認することがあります。「色合いはP案が好きだけど、文字の大きさはQ案が好ましい」のように、要素によって支持される案がことなるケースがあるわけです。

どこまで細分化して聴取するかは、先述したように、想定している項目や気に入られると思っている要素から判断していただくのが良いでしょう。

以上、第5回目の講座として、パッケージデザイン評価の調査票を作成する上でのポイントなどを紹介しました。

アンケート調査についてもっと知りたい方は、クロス・マーケティングのページもご覧ください。