相対評価とは|簡単解説

相対評価の意味とはの語句解説

相対評価のカンタン語句解説

相対評価は複数の対象を比較することで評価を行うことを指します。相対評価は比較評価ともいいます。定量調査では複数のブランドや商品などを評価対象とし、選択したり順位付けを行ったりすることで評価を行います。

相対評価の概要

定量調査では、人の感覚によって評価される飲料や食品などの官能テストによく使われるほか、イメージや好き嫌いなど基準があいまいなものを評価する際に相対評価が使われます。

質問票のなかで同じ内容を聴取する場合でも、絶対評価の質問とする聞き方と相対評価の質問とする聞き方をどちらも作ることができます。質問票を設計する際にはどちらの聞き方をするのが適切かを検討する必要があります。

アンケート調査における相対評価の回答形式

アンケート調査で相対評価を行う場合、評価対象を比較できる回答形式を選ぶ必要があります。それぞれの回答形式で相対評価を行う場合の一例をご紹介します。

多項選択

相対評価で最も単純な評価方法は、複数のなかから1つまたは複数を選ぶ方法です。多項選択では1つだけ選ぶ単一選択(SA:シングルアンサー)と複数を選ぶ複数選択(MA:マルチアンサー)があります。また、複数選択はいくつでも選んでよい無制限選択と選ぶ個数を制限する制限選択に分けられます。

【多項選択の回答形式】
Q. 次のブランドのなかから最も好きなものを1つ選んでください。(SA)

ブランドAブランドBブランドCブランドDブランドE

選好をSAで聞いた場合は最多の投票数を得たものが最も好まれていると考えることができますが、MAで聞いた場合は、複数選択した中の順位の情報を得ることができないため、得票数の最も多かったものが必ずしも最も好まれているものと判断することはできません。

【多項選択のマトリクス形式①】
Q. 以下のキーワードが当てはまると思うブランドをいくつでも選んでください。(MA)
ブランドAブランドBブランドCブランドDブランドE
カジュアル
革新的
情熱的












上の表はブランドイメージをマトリクスを使って相対評価を行うための回答形式です。

【多項選択のマトリクス形式②】
Q. 以下の各ブランドについて「革新的」というイメージがあてはまるかどうかについてお答えください。(SA)
あてはまるややあてはまるややあてはまらないあてはまらない
ブランドA
ブランドB
ブランドC
ブランドD
ブランドE

【多項選択のマトリクス形式①】の各キーワードの当てはまる度合いをブランドごとに聞く回答形式です。当てはまる度合いも情報として取得できるため、イメージについてより詳細に分析することができます。

順位法

複数の評価対象の優劣や選好の度合いを評価する際、最もわかりやすいのが順位をつけることです。すべての評価対象に順位を付ける完全順位法と、上位に限定して順位付けする一部順位法があります。

【順位法の回答形式①】
Q. 以下の即席麺について好きなものを3つ選び、1〜3位までの順位を(           )に記入してください。
即席麺A(  )
即席麺A(  )
即席麺A(  )
即席麺A(  )
即席麺A(  )

回答者にとって直感的に答えられる回答形式ですが、評価対象が多い場合、すべての順位付けを行うと下位の評価対象の順位をつけにくくなるため部分順位法を用います。

【順位法の回答形式②】
Q. 以下の即席麺の、パッケージ、味、価格それぞれに好ましい順番に順位をつけてください。
パッケージ価格
即席麺A( )( )( )
即席麺B( )( )( )
即席麺C( )( )( )
即席麺D( )( )( )
即席麺E( )( )( )

複数の評価項目について順位付けを行う場合の回答形式の例です。複数の項目の相対評価を明らかにすることで、競合間のポジショニングを判断する手がかりになります。

一対比較法

一対比較法とは複数の評価対象から2つを抜き出したすべての組み合わせについて、評価者(回答者)がどちらか一方を選ぶことを繰り返し、すべての比較結果を定量化する方法です。

評価者が、抜き出された評価対象の組み合わせの比較を行う際に、優劣のみを付ける方法と優劣の程度を点数化する方法があります。

マーケティング分野ではコンジョイント分析で使われるほか、会場テストで味覚や香りなどの官能評価を行う場合に用いられる方法です。

【一対比較法】
Q. 日本酒A、日本酒B、日本酒Cの組み合わせで好きなほうをひとつ選んでください。(SA)
日本酒Aと日本酒Bでは日本酒Aが好き      □日本酒Bが好き      □
日本酒Aと日本酒Cでは日本酒Aが好き      □日本酒Cが好き      □
日本酒Bと日本酒Cでは日本酒Bが好き      □日本酒Cが好き      □

一対比較法は、評価対象のすべての組み合わせの二項選択の結果を得点化する方法です。

評定尺度法

評定尺度法は各評価対象に5、または、7段階の評価を与える方法です。他の回答形式と同様に絶対評価、相対評価どちらの質問にも用いられますが、複数の評価対象に対し、マトリクス形式で同じ段階評価を行うことで横並びに比較することができます。

【評定尺度法の回答形式】
Q. 次に提示するペットボトル飲料のパッケージについて、好ましいと感じる度合いをお答えください。(SA)
非常に好ましいやや好ましいどちらでもないやや好ましくない好ましくない
清涼飲料A
清涼飲料B
清涼飲料C

程度を表現することが可能な評定尺度法は、より細分化された評価を与えることができる回答形式です。

※尺度法のカテゴリー尺度法(評定尺度表 / 評定法)についての解説はこちらからご確認ください。

消費者の選択行動を意識して調査設計を行う

消費者の選択行動は絶対評価と相対評価のどちらにも影響されます。単一の評価対象について掘り下げる絶対評価は商品やサービスについて多くの情報を得られますが、競合品との比較がなければ全体のなかでの位置づけを把握することはできません。

アンケート調査を設計する際には調査の目的を明確にした上で、絶対評価と相対評価を適切に組み合わせることが必要です。