顧客アンケートや社内アンケートを作る手順と注意点を解説
Googleフォームをはじめとするオンラインツールが普及したことで、アンケートを作成することが比較的簡単にできるようになってきました。
商品開発のための受容性調査や広告の効果測定といったマーケティングの専門部署で行われるアンケート調査以外に、自分でアンケートを作る身近な機会として顧客アンケートや社内アンケートが挙げられます。
アンケート調査を実施する環境が手に入ったとしても、有効に活用できる調査結果を得るためには、何を質問しどう分析するかという視点がなければ課題解決につなげることはできません。
そういったアンケート調査のニーズに合わせて、自分でアンケートを作る場合のやり方と注意点を解説します。
アンケートの目的と質問項目の検討
自社の商品を手に取ってくれた顧客が商品を使ってみてどう思ったのか、あるいは、従業員は今の職場環境に満足しているのか、不満に思っているところはどんなことかを「知りたい」「聞きたい」というのが、アンケート調査を行う際の起点といえるのではないでしょうか。
顧客や従業員と向き合う場面として、商品に対するクレームが発生した場合は迷惑をかけた顧客との個別のやり取りになります。また、社内組織の課題が明確である場合は関係する部門や担当者と直接対話の機会を作って解決を図っていくことになります。
アンケート調査も対顧客・対従業員とのやり取りであることは同じです。異なるのは課題や問題が明確になっているかどうかと、同時に多数の相手を対象とするやり取りであるということです。
アンケートで何を明らかにするのか
アンケート調査を実施するにあたり、課題や問題が明らかになっているかどうかという点から何を調査すべきかを整理し、絞り込んでいくことが最初のステップです。
表面化している課題や問題の原因に見当がつかない、そもそも課題や問題が何かが把握できていないといったケースでは、事実や実態を把握することが念頭に置かれます。
課題や問題と、その原因との因果関係を知る必要があるといったケースでは、課題・問題となっている事柄と原因や要因と考えられる事柄を整理する必要があります。
課題・問題の探索
課題・問題を明確にすることで解決方法につながる仮説を立てることが可能になります。
課題・問題を発見したり明確にしたりする段階では、グループインタビューなどの定性調査から、個別の事例や個人の考えといった情報を切り口として仮説を立てることが一般的です。
定量調査であるアンケートから課題や問題にアプローチしていく場合は、事実や実態に関わる要因を量的に把握することから行動プロセスや心理的な傾向を明らかにしていきます。
対顧客の場合は、商品の仕様やサービス、販売プロセスを基準として評価を問うことになりますし、対従業員の場合はワークフローや組織体制、社内規定といった観点を基準として意見や考え、望ましい解決策を探っていきます。
仮説の検証
課題・問題が表面化しているという事実に対して、把握している情報との因果関係がはっきりしない、複数の要因が考えられるといったケースでは、アンケート調査によって仮説を検証したり因果関係を判断するための情報を収集します。
仮説の検証では問題の切り分けや原因と結果の整理が必要なことに加えて、制約となる背景要因を明確にしておくことが重要です。
問題の切り分けとは、顧客アンケートの場合であれば、顧客からの反応が商品の仕様、サービス、販売プロセスのどこに起因するものか、原因の発生している範囲を明確に識別できるような質問項目を設定する必要があるということです。
原因と結果が明確にならない場合も少なくありません。
例えば、社内アンケートで組織の問題に焦点を当てる場合、発生しがちな業務ミスとコミュニケーションの関係は、ミスが発生するからコミュニケーションが悪くなるのか、コミュニケーションがうまく取れていないことがミスの発生原因なのか、それぞれに関わる要因をさらに分解して定量化できる質問が望ましいでしょう。
問題そのものや原因と結果に影響する背景的要素として、性別や年代など属性の違いや価値観や行動パターンの違いといったことも、人に答えてもらうアンケート調査では分析の際に大きく関わってきます。
アンケート票の作成
アンケート票の作成にあたって考慮しなければならないのは、どのような形で回答してもらうかによってアンケート票の構成や質問量を調整しなければならないことです。
また、質問文を作成する際には、回答者がスムーズに応えられるワーディングを検討する必要があり、選択肢の設定も質問の目的に即したものにする必要があります。
協力者の回答負担に配慮した形式・量を心がける
一般的に、アンケート票は以下の構成要素を持つ形で作成されます。
- 調査タイトル
- 依頼内容の説明
- 情報の取り扱いにつていの説明
- 質問本体部分
- フェイスシート(属性項目や個人情報に関わる項目の記入欄)
- 謝辞、謝礼についての説明
顧客アンケートを想定すると、ECの場合は販売ページや販売手続きのメールからアンケートフォームに誘導し、回答者の時間的制約がない条件下で、ある程度分量のある質問を行うことも可能です。
一方、商業施設の店頭などで来店客に対面で聞き取りで行うアンケートでは、協力者を引き止められる時間は短く質問量の多いアンケートの実施は難しくなります。
社内アンケートの場合、定期的に行われる人事サーベイであれば、回答者はその目的を理解しており、回答に対する強制力もあるため上記のような形式は必要なく、質問量など回答負荷への配慮も少なくて済みます。
特定のテーマについてアンケートへの協力者を募る場合は、社内ツールなどでアンケート実施の告知と協力を依頼する段階で丁寧な説明が必要です。
サンプル数がそれほど多くはない顧客アンケートや社内アンケートの場合でも、回答者が調査の依頼に応じるためのコンテクストが成立している度合いと回答方法によって、アンケート票の形式と質問の分量を調整する必要があります。
質問文の作成の際の注意点
最初に整理したアンケート調査で明らかにしたいことをベースに質問文を作成していきます。その際に注意する必要があるのは以下の点です。
回答に悩まない質問文を作成する
範囲や定義、5W1Hが不明確な言葉や言い回しがある場合、質問を幾通りにも解釈できることになります。質問で聞きたい内容を正確に答えてもらうことができないばかりか、回答者にもストレスがかかります。
わかりやすいことと意味内容が明確であることに注意し、スムーズに読み進められる質問文を考えましょう。
回答傾向や順序効果への配慮
「はい」と「いいえ」の2項選択の質問では「はい」を選びやすいこと、また、当てはまる度合いを5段階で評価する質問では中立の選択肢を選びやすいといった、一般的な傾向があります。
また、後の質問への回答は前の質問の内容と回答結果の影響を受けることも明らかになっています。
このような回答傾向や質問の順序効果を意識した上で、質問文を作成することがより正確な回答につながります。
バイアスや誘導に注意する
回答傾向や順序効果と同じように、質問内容によっては回答結果に偏りを生じさせることや言い回しが回答を誘導してしまうことにも注意が必要です。
優劣や望ましさを問うような質問の場合、社会的に評価される回答を選ぶ傾向や、なじみのある対象について実際より高く評価してしまうことなどによって回答結果が偏ってしまう場合があります。
また、「〇〇について不満を持っていますか」「〇〇をしてみたいですか」など質問文自体に評価や前提が含まれると回答を誘導していることになります。
回答形式の種類と選択
質問に対する回答形式は、選択肢から一つを選ぶものと複数選ぶもの、文章や数値を具体的に記入する自由回答に大別できます。
単一回答(シングルアンサー:SA)
選択肢から1つだけを選ぶ回答形式です。
二項目選択
2つの選択肢からどちらかを選ぶ回答形式です。事実の確認や経験の有無、明確な賛否といった質問の場合に用います。
多項目択一選択
複数の選択肢から1つを選ぶ回答形式です。複数の候補がある場合や最も当てはまるものを1つ選ぶといった回答が適しています。
尺度選択
程度や順位を5〜7段階の尺度で表示し、そのなかから相対評価で1つを選ぶ回答形式です。
選択肢は順位付けや程度を表す評定尺度(「非常に〇〇」「やや〇〇」など)が使われます。
複数回答(マルチアンサー:MA)
選択肢のなかから複数を選ぶ回答形式です。
多項目複数選択
選択肢から複数を選ぶ回答形式です。当てはまるものをいくつでも選択する形式のほか「3つまで」など回答数に制限を加えることもあります。
自由回答(フリーアンサー、オープンアンサー:FA、OA)
文章や単語、数値などを自由に記述・入力してもらう回答形式です。幅広く意見や考え、事実などについての情報を集められる反面、回答者に負荷をかけるとともに、集計分析の手間も増える点に留意する必要があります。
自由に文章を記述・入力してもらう形式のほか、想起するブランド名や商品名、キーワードなどを自由に挙げてもらうことで認知度の高さを図る方法があり、純粋想起と呼ばれます。
アンケートを作る手順と注意点のまとめ
新しいツールが開発されアンケート調査のハードルが下がったことは、顧客や従業員以外にも、登録会員やWebページの来訪者などとの間に新しいコミュニケーションの機会が増えたことを意味しています。
この記事で想定するようなアンケート調査を実施する場合に使いやすいセルフ型アンケートツールがQiQUMOです。直感的な操作でアンケート票を作成することができ、700万人以上のアンケートパネルにアンケートが可能です。
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