ブランド認知・利用実態把握調査の作り方、3つのポイント|Webアンケート作成まるわかり解説4
インターネットアンケートで必要となる調査票作成について、注意点から実際の調査票づくりまで、全7回にわけてご紹介します。
第4回となる本稿では、ブランド認知調査や利用実態把握調査を実施する際にポイントとなる調査票作成の注意点について、重要なポイントとなる3点を解説します。。QiQUMOなど既存アンケートツールを利用して、自身でリサーチを実施する方は必見の講座です。
調査票(質問項目)作成の注意点とコツについて理解し、効果的なアンケートリサーチに成功しましょう。
※ブランド認知・利用実態把握調査の作り方 前編をご覧になってから本稿を読んでいただくことで、より理解がしやすくなります。
【本連載が参考となる人】
- 自社で調査票を作成する必要があり、実践的にポイントを学びたいと思っている方
- 調査票作成はリサーチ会社に依頼しているが、基本知識など理解したうえで依頼したいと感じている方
- リサーチ担当者がおらず、既存のアンケートツールを使って自社でリサーチを行っているが、この機会に基本を学び精度をあげたいと思っている方
【本連載で学べる内容】
- 第1回:調査票を作る上での注意点と決まり事
- 第2回:調査票作成の最重要ポイント、構成づくり
- 第3回:ブランド認知・利用実態把握調査の作り方1
- 第4回:ブランド認知・利用実態把握調査」の作り方、3つのポイント
- 第5回:「パッケージデザイン評価調査」の作り方
- 第6回:「広告効果測定調査」の作り方1
- 第7回:「広告効果測定調査」の作り方2
アンケートの質問作成、3つのチェックポイント
アンケートの質問項目を作成するにあたり、絶対に抑えておきたいポイントを3点紹介します。
チェックポイント1:調査課題・目的に戻り必要な項目を確認
チャックポイントの一つ目は、質問項目を作成する段階でも、調査課題・目的を意識することです。質問内容を書き出すことだけに集中するのではなく、必ず調査課題と目的を思い出してください。
調査目的への答えを得るための項目(キー項目)決める
結果を解釈するための項目(説明項目)決める
調査課題、目的に戻って必要な項目を決めることが第一です。前回の講座で説明しましたが、課題に立ち返ることがポイントのひとつです。
ポイント1は、調査項目の答えを求める質問、キー項目を決めること。ポイント2は、知りたいことに対して出た結果を解釈するために質問=説明項目をどのように決めるかが重要です。
明らかにしたいこととして、「自社ブランド【A】の市場での浸透状況を確認する」があります。認知・利用実態調査なので、純粋想起と助成想起をキー項目として質問します。
この際に意識したいのは、
→競合含めた中でのマインドシェアはどの程度か? ※純粋想起での【A】の出現率
→認知はどの程度か? ※ブランド呈示(助成想起)での認知率
の2点があります。
次に明らかにしたいことは、「競合ブランド含め、主使用商品の優位・劣位点の把握」です。競合との優劣を測るために、競合と自社の強み・弱みの項目を分解して聴取します。
→自社ブランドの強みと弱みの整理
→競合ブランドの強みと弱みの整理
使われ方や満足している理由、購入した理由などが具体的な聴取項目ですが、主使用銘柄別に購入~使用評価から優位・劣位点を整理する目的で質問していきます。
チェックポイント2:知名~使用率の聴取順序について
質問の順番は、【①論理的に】、【②時間軸】を考えて作成すること
チェックポイント2としては、知名=認知から 使用率の聴取の順序に注意が必要です。第一回の講座で、質問をつくる上での順序を説明しましたが、論理的であること/時間軸が正しいことを意識して作成するのが重要になります。
質問項目の内容を突き詰めるのと同等に重要なのが、質問の順番です。キーワードは「論理的」「時間軸」。
①論理的に:ヒント/刺激なし → ヒント/刺激あり
正しいWebアンケートの回答を得るためには、質問内容はもちろん、質問の順番が論理的であることが大切です。例えば、解答に際してヒントがない「純粋想起」を聞いた後に、ヒントとなる選択肢を用意した「助成想起」を聴取する。自由解答で聴取した後に、選択肢を用意したヒントのある質問をする流れです。
『純粋想起』→『助成想起(認知)』の順序で聴取
◎ヒントを与えずに、ブランド名をFA(自由回答)で聴取
→対象者の心の中に占める自社ブランドの占有率がわかります。
◎次にヒントを与え(ブランド名を提示)てブランドの認知率を聴取
→ブランド名(文字情報)だけでなく、商品画像を提示することで対象者の誤認を防ぐ効果があります。
②時間軸:今までの経験→ 現在→ 未来
回答者を混乱させないために、時間軸を行ったり来たりさせないことが重要です。
想起率(認知)聴取後に、『使用経験』→『使用/主使用銘柄』の順序で聴取
◎時間軸(過去→現在→未来)を考えて質問を作成してください(現在→過去→現在は×)
◎使用という実態聴取後に「意識(例えば今後の使用意向)」を聴取する場合もあります
調査票作成における質問の順序
質問の順序を考える際の大前提は、回答者が回答しやすい文脈をつくること。
悪い例として、時間軸を考えずに質問をつくってしまう場合を説明します。現在の話について質問したあとに、1年前はどうだったかという過去の質問をして、再び現在の質問に戻ってしまうケースです。
アンケートに答えられなくはないですが、回答者の中には、時間軸が前後したことで混乱したり、曖昧な選択をしてしまう可能性があります。
過去から現在、未来へと時間軸を設定するでも良いですし、最も回答がし易い現在について質問し、そこを起点に過去と未来を質問するという設定も考えられます。
大切なのは、回答者が答え易い順番を検討して質問をすることです。
チェックポイント3:重視点・満足点の選択肢は抜け漏れなく
最後のチェックポイントは、「重視」と「満足」の選択肢の作り方を意識することです。
利用実態把握調査の目的として多いのは、商品を購入する上で何を重視しているか、使った上で何に満足しているかを明確にすることです。目的に合った回答を得るためには、選択肢のつくり方に注意が必要となります。
ポイントとなるのは、回答者側=生活者である消費者側が製品やサービスの評価をする要素が何かを想定しながら、抜け漏れのない選択肢を用意すること。商材によって、機能面や情緒面の選択肢が必要となります。
消費者側からの商品を評価する要素を抜けモレなく整理すること
また回答者側の視点とは別に、メーカー独自の観点も存在します。「作り手であるメーカー側の発想がどの程度選ばれるか」を明らかにしたいケースで、自社製品の特徴となる選択肢を、重視項目や満足項目に入れたいという意向です。
商品の作り手側の視点として、「商品の特徴に設定した部分について確認したい」という気持ちは十分に理解できますし、必要な質問項目になります。
この場合は、回答者側の視点置き去りにしないことを意識した上で、臨機応変に選択肢を追加しましょう。重要なのは、回答者が答えられるように選択肢をつくって適切に入れることが必要です。
要素の整理方法としては、以下のような例が考えられます。
対象商品から得られる価値を要素ごとに整理する
- 機能面:味・香・効果効能(おいしい/香りがよい/泡立ちが良い など)
- 情緒面:希少性・新奇性・憧れ・安心感・高級感(目新しい/最新の/憧れる など)
- ブランド力・メーカー:好きなブランド・好きなメーカー(好きなメーカー/有名なメーカー など)
- 価格面:値ごろ感(価格がてごろかどうか)
- チャネル:どこでも売っている・会員制サイト(どこでも買える/会員サイトでしか買えない など)
※選択肢化する際は、質問意図を踏まえ消費者側の内容に可変してください
ブランド認知・利用実態把握調査の調査票作成ポイントまとめ
Webアンケートでブランド認知調査を実施する、利用実態把握調査を実施する際の調査票作成のポイントを紹介しました。最後にもう一度、ポイントを振り返ります。
調査課題に対して知るべきポイントを明確にする
調査によって解決したい課題が存在しますので、課題解決のために明らかにしたいことはどれなのかを明確にしましょう。
調査課題に対して必要な調査項目を明確にする
調査票を作成する前に、調査課題を基にした調査項目を整理しましょう。調査対象となる「商品の購入頻度」「購入場所」「競合と比較するポイント」などが該当します。
常に調査課題に立ち返り質問項目を決定する
調査課題を解決するアンケートを作成するために、調査のキーとなる項目/結果を解釈するための説明となる項目を設定しましょう。
質問の順番を意識して回答者を混乱させない
質問の順番が論理的であること、また時間軸が一定であることを意識しましょう。質問の順番で大前提となるのは、回答者が回答しやすい順番であることです。
抜け漏れのない選択肢を用意する
回答の選択肢を用意する際に、回答者=商品やサービスの利用者側の視点で考えることが重要です。作り手であるメーカー側の意図を選択肢に追加することは往々にして発生しますが、バランスを考えながら、抜け漏れがなくなるよう意識してください。
以上が、ブランド認知調査・利用実態把握調査を成功させるために意識したいポイントでした。次回は、パッケージデザイン評価調査票の作り方を紹介します。
ブランド認知度調査について、さらに詳しい解説を知りたい方はこちらをご覧ください。調査方法はもちろん、どのようなアウトプットが得られるのか、標準的な期間と費用についてご紹介しています。