テーマパークUSJの復活劇がデータ分析によるマーケティングに裏付けられていることを解説した森岡毅氏による「確率思考の戦略論」。このなかで取り上げられるNBDモデルはマーケティング関係者から多くの注目を集めるシミュレーションモデルです。著者は市場構造を理解するためのキーワードとしてプレファレンスを挙げ、消費者の購買行動の法則性を確率論によって導きだしています。この書籍をもとに、データ分析を活用した需要予測手法とその考え方について解説します。NBDモデルとはNBDモデルは、特定の商品、または、ブランドが一定期間内にr回購入される確率を求めるシミュレーションモデルです。本書では、以下の例が示されています。カテゴリーパンケーキ歯磨き粉本の貸し出し対象者の数使用・購入回数2週間1000世帯四半期5420世帯1年間9480冊0回62%44%58%1回21%22%19%2回9%13%9%3回4%8%5%4回2%5%3%5回1%3%2%6回以上1%5%3%合計100%100%100%M:全体の平均回数0.7361.460.993K0.60160.780.475%3Cp%20class%3D%22cite-under-image%22%3E%E3%80%8C%0A%3Ca%20href%3D%22https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fs%3Fk%3D%25E7%25A2%25BA%25E7%258E%2587%2B%25E6%2580%259D%25E8%2580%2583%2B%25E3%2581%25AE%2B%25E6%2588%25A6%25E7%2595%25A5%2B%25E8%25AB%2596%26language%3Dja_JP%26adgrpid%3D76484463599%26gclid%3DCj0KCQiAkeSsBhDUARIsAK3tieeDe8hbiLPOy-5ImKp1VefuGvkfDB2xUwkCfUXWArp7j8l6UakBW9QaAlAtEALw_wcB%26hvadid%3D665685949433%26hvdev%3Dc%26hvlocphy%3D1009311%26hvnetw%3Dg%26hvqmt%3De%26hvrand%3D12594489409716083469%26hvtargid%3Dkwd-419703911490%26hydadcr%3D27487_14701027%26jp-ad-ap%3D0%26linkCode%3Dsl2%26linkId%3D2f58850be6fd2f23ca84b04c088cbd2a%26tag%3Dnarrowgate0b-22%26ref%3Das_li_ss_tl%22target%3D%22_blank%22rel%3D%22noopener%22%3E%0A%20%20%20%20%E7%A2%BA%E7%8E%87%E6%80%9D%E8%80%83%E3%81%AE%E6%88%A6%E7%95%A5%E8%AB%96%0A%3C%2Fa%3E%0A%E3%80%8Dp.27%E3%80%8C%E8%A1%A81-1%E3%80%8D%E3%81%8B%E3%82%89%E5%BC%95%E7%94%A8%E3%83%BB%E4%BD%9C%E6%88%90%0A%3C%2Fp%3E%0A%3Cstyle%3E%0A%20%20.cite-under-image%20%7B%0A%20%20%20%20width%3A%20100%25%3B%0A%20%20%20%20text-align%3A%20center%3B%0A%20%20%20%20margin%3A%200%20auto%3B%0A%20%20%20%20font-size%3A%2012px%3B%0A%20%20%7D%0A%3C%2Fstyle%3Eそれぞれの商品アイテムが単位期間あたりに使用・購入される回数別の確率をあらわしたものです。回数ごとの確率はNBDモデルによって算出したものであり、算出された確率は実際の調査結果に近似していることが示されています。回数ごとの購入確率は以下の式によって計算します。NBDモデル(r回出る確率):Pr=(1+MK)-K・Γ(K+r)Γ(r+1)・Γ(K)・(MM+K)rM:一定期間あたりの (商品カテゴリー・ブランドの)述べ購入回数消費者の総数K:購入確率の分布NBD(Negative Binomial Distribution)は負の二項分布であり、MとKによって決まる確率質量関数です。変数 Mは商品カテゴリー、または、特定のブランドが一定期間内に購入された総回数を母数となる消費者の数で割ったものです。変数 Kは、NBDモデルの公式に平均回数と購入回数を0を代入して求められる値で、平均値によって決まる確率分布の形状をあらわします。本書では、消費者一人ひとりの商品カテゴリー、または、ブランドに対する購買行動(単位時間当たりの購買回数)はポワソン分布に従い、消費者全体で見た場合の平均購入確率はガンマ分布に従うとしています。これら2つの前提が成り立つときに、購入回数の分布がNBD(負の二項分布)になると結論づけています。プレファレンスとはプレファレンスとはブランドに対する消費者の好みや好意度のことを意味しますが、本書では認識や態度レベルの選好度ではなく、実際に選択された結果、あるいは、選択される確率まで含めたものをプレファレンスと呼んでいます。売上を決定づける構成要素のひとつがプレファレンスであり、売上予測を行うためのNBDモデルの変数はプレファレンスの大きさに左右されます。売上の基本的要素として次の7項目が示されています。【売上の基本要素】売上の基本的要素説明①認知率広告をはじめとする認知に関わるすべてのマーケティング活動の結果。②配荷率商品カテゴリーの小売店数に占める、自社ブランド扱い店舗数。③過去購入率カテゴリー商品の購入回数のうち自社ブランドの購入割合。④エボークトセットに入る率エボークトセット(購買行動の選択肢)に入る率。⑤1年間に購入する率カテゴリー商品の購入回数に依存する。⑥年間購入回数カテゴリー商品の購入回数に依存する。⑦平均購入金額提供サイズによる価格の違い。配荷率(手に入れられるかどうか)はプレファレンスを規定する要素であり、過去購入率、エボークトセットに入る率、1年間に購入する率は消費者のブランドに対するプレファレンスに左右されます。売上予測モデルこれらの基本要素から売上予測モデルを作成することができます。本書では次のような具体例を挙げています。【消費者の購買フロー】%3Cp%20class%3D%22cite-under-image%22%3E%0A%20%20%E3%80%8C%E7%A2%BA%E7%8E%87%E6%80%9D%E8%80%83%E3%81%AE%E6%88%A6%E7%95%A5%E8%AB%96%E3%80%8Dp.81%E3%80%8C%E5%9B%B33-1%E3%80%8D%E3%81%8B%E3%82%89%E5%BC%95%E7%94%A8%E3%83%BB%E4%BD%9C%E6%88%90%0A%3C%2Fp%3E%0A%0A%3Cstyle%3E%0A%20%20.cite-under-image%20%7B%0A%20%20%20%20width%3A%20100%25%3B%0A%20%20%20%20text-align%3A%20center%3B%0A%20%20%20%20margin%3A%200%20auto%3B%0A%20%20%20%20font-size%3A%2012px%3B%0A%20%20%7D%0A%3C%2Fstyle%3E上の図はある洗剤の消費者の購買フローを示したものです。売上の基本要素①〜⑤に具体的な割合を仮定した場合に、洗剤の年間購入者の全世帯に対する割合と洗剤の年間売上をシミュレーションすることができます。【年間購入者の全世帯に対する割合】①認知率(75%) × ②配荷率(80%) × ③過去購入率(60%) × ④エボークトセットに入る率(60%)×⑤年間購入率(60%) =13%【この洗剤の年間売上】総世帯数(49,973千世帯) × ⑤年間購入率(13%) × ⑥年間購入回数(1.3回) × ⑦平均購入金額(420円)=35億円 %3Cp%20class%3D%22cite-under-image%22%3E%0A%20%20%E3%80%8C%E7%A2%BA%E7%8E%87%E6%80%9D%E8%80%83%E3%81%AE%E6%88%A6%E7%95%A5%E8%AB%96%E3%80%8Dp.81%E3%81%8B%E3%82%89%E5%BC%95%E7%94%A8%0A%3C%2Fp%3E%0A%0A%3Cstyle%3E%0A%20%20.cite-under-image%20%7B%0A%20%20%20%20width%3A%20100%25%3B%0A%20%20%20%20text-align%3A%20center%3B%0A%20%20%20%20margin%3A%200%20auto%3B%0A%20%20%20%20font-size%3A%2012px%3B%0A%20%20%7D%0A%3C%2Fstyle%3E売上を構成する要素のなかで⑥の年間購入回数はNBDモデルの公式の変数 Mであり、⑤の年間購入率がNBDモデルの公式から求められます。さらに②配荷率、③過去購入率、④エボークトセットに入る率は、流通調査と消費者へのアンケート調査からデータを収集する必要があります。プレファレンスを決定する要素プレファレンスを決定する要素として、ブランド・エクイティ、製品パフォーマンス、価格が挙げられています。ブランド・エクイティプレファレンスを支配する最重要な要素。競合と比較した場合の、ブランドに対する認知・ロイヤリティ・連想・知覚品質など、相対的な無形の価値。強み弱みとポジショニングを明確にすることが重要ポジショニングとその差別化は、変数Mを増やすための取り組み。製品パフォーマンス商品カテゴリーによって製品パフォーマンスの重要度は異なる。工業製品などのパフォーマンスが比較しやすいカテゴリー、洗剤や薬など問題解決型のカテゴリーでは重要視される。製品パフォーマンスによる消費者の満足がエボークトセットに入るかどうかを決める。化粧品、ファッションなどイメージが先行する商品での重要性は低い。安定需要のある消費財や嗜好品などのリピートビジネスでは重要。価格高額商品を例外として、価格を上げるとプレファレンスは下がる。ブランド・エクイティの付加価値が高ければプレミアムプライシングが成立する。ブランド価値を高めて再投資できる利益を確保することがマーケターの仕事。プレファレンスを測定するためのBP-10たくさんある競合商品のなかで自社の商品・ブランドが選ばれることがプレファレンスです。売上を予測するためには、同じカテゴリー(例えば洗剤)の商品が一定期間に複数回購入されるなかで、自社ブランドが選ばれる確率を把握する必要があります。新商品を発売する際のコンセプトテストから、新商品の需要予測を行うための消費者調査の手法BP-10(Brand Purchase in next 10 category purchase)が紹介されています。4つの質問とエボークトセットの候補に挙げられる競合ブランドを含めたコンセプト説明パネルを用意し、その商品カテゴリーを10回買うことを想定した場合の10回の内訳を、各ブランドに投票してもらうというやり方です。著者である森岡氏がP&G時代に実践していた調査方法ということで、グローバルな環境で汎用的に実施するために対面で行うアンケート調査を想定しています。対面で行う方法以外にも、代表性のあるサンプリングが可能であればインターネット調査で実施することも可能であることが付け加えられています。BP-10のアンケート調査項目は次のものです。【基本的な質問】銘柄認知今までの購入経験2回以上買ったことがある銘柄今後買っても良いと思う銘柄【一番大事な質問】自社ブランドと競合ブランドを合わせたエボークトセットの候補となるコンセプト説明パネルに対し、今後10回購入することを想定した場合の購入ブランドに10枚のドット(シール)を貼ってもらう。%3Cp%20class%3D%22cite-under-image%22%3E%0A%20%20BP-10%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%88%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E9%A0%85%E7%9B%AE%0A%3C%2Fp%3E%0A%0A%3Cstyle%3E%0A%20%20.cite-under-image%20%7B%0A%20%20%20%20width%3A%20100%25%3B%0A%20%20%20%20text-align%3A%20center%3B%0A%20%20%20%20margin%3A%200%20auto%3B%0A%20%20%20%20font-size%3A%2012px%3B%0A%20%20%7D%0A%3C%2Fstyle%3E一番大事な質問で各ブランドが獲得した10票の投票結果の構成比をコンセプトシェアと呼んでいます。BP-10を使った売上予測商品カテゴリーの市場規模に対する新商品の獲得シェアがわかれば売上を予測することができます。コンセプトシェアは認知率と配荷率が100%であることが前提となるため、ユニットシェア(値段、サイズの違いを考慮しない販売個数のシェア)を算出するためには、基本的な質問で聴取した認知率と配荷率のデータを付け加える必要があります。ユニットシェアと売上予測は以下の式で計算することができますユニットシェア(%)=認知率(%) × 配荷率(%) × コンセプトシェア(%) × Price Adj.(%)売上予測(円)= 商品カテゴリーの市場規模(円)×ユニットシェア(%)×販売単価(円/個)※Price Adj.:価格弾力性を考慮した販売単価によるシェアの変動率%3Cp%20class%3D%22cite-under-image%22%3E%0A%20%20%E3%83%A6%E3%83%8B%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%82%A2%E3%81%A8%E5%A3%B2%E4%B8%8A%E4%BA%88%E6%B8%AC%0A%3C%2Fp%3E%0A%0A%3Cstyle%3E%0A%20%20.cite-under-image%20%7B%0A%20%20%20%20width%3A%20100%25%3B%0A%20%20%20%20text-align%3A%20center%3B%0A%20%20%20%20margin%3A%200%20auto%3B%0A%20%20%20%20font-size%3A%2012px%3B%0A%20%20%7D%0A%3C%2Fstyle%3Eまとめこの記事で取り上げた「確率思考の戦略論」はデータを活用したマーケティングの実践例を知ることができる良書です。データと確率論による需要予測はコモディティ商品だけでなく、医薬品や耐久財など他のカテゴリーにも適用できることが知られています。需要予測に必要なデータを収集するために欠かせないのが消費者を対象とするアンケート調査です。セルフ型アンケートツールQiQUMOはアンケート票に画像を挿入することができるため、この記事で紹介したBP-10を実施する場合にも活用できます。需要予測を実施する場合にはクロス・マーケティングにご相談ください。