Webアンケート作成に使えるツール・フォーム・システム10選|間違えないための基礎知識

Webアンケートを実施するためのツール/フォーム/システムにはさまざまな種類があり、調査の目的に応じて適切なものを選ぶ必要があります。

例えば、商品開発のためのデータとして20~30代・女性の意見を広く集めたいといったマーケティングを目的としたアンケート調査と、自社の顧客を対象として満足度を調べるためのアンケート調査では、使えるツール/フォーム/システムは異なります。

Webアンケートを実施できるサービスにはさまざまなタイプがあり、それぞれのバックグラウンドによって適しているアンケートの規模や種類に違いがあるため、想定しているアンケートを実現できるものかどうかを見極めることが重要です。

各社から提供されているWebアンケートツール/フォーム/システムのなかから代表的なものを挙げて3つに分類し、それぞれがどんな調査に適しているのかを解説します。

Webアンケートサービスの種類

アンケート調査を実施するためのサービスには、「セルフ型アンケートツール」「アンケートフォーム作成ツール」「アンケートシステム」など、さまざまな呼び方があります。

ツール/フォーム/システムには明確な定義があるわけではありませんが、それぞれの目的と機能から次の3つの種類に分けることができます。

アンケートフォーム作成ツール

Webアンケートを実施できるサービス・ツールの最も基本的な機能が、アンケートフォームを作成し回答結果を集計してグラフに表示する機能です。この機能をメインとして提供しているものがアンケートフォーム作成ツールといえます。

Webフォーム(注文フォーム・登録フォーム・問い合わせフォームなど)の種類のひとつとしてアンケートフォームを設けている場合がほとんどであり、リンク共有、メール配信、Webページへの埋め込み、QRコードからの誘導といった方法でアンケートを配信します。

他のWebアンケートサービスと比較して、フォーム画面のデザイン性や自由度といった点に優れている一方で、質問のスキップや分岐、排他・条件設定といったアンケートフォームに求められるの質問と選択肢の細かい設定には対応しきれていないサービスもあるのが実際のところです。

また、標本調査(特定の母集団を対象にサンプリングを行う調査)を行う場合には、回答者のサンプリングの方法を別途検討する必要があります。

どちらかといえば、顧客や従業員を対象とする小規模なアンケート調査に向いているのがアンケートフォーム作成ツールです。

主要なアンケートフォーム作成ツール

Webフォームのバリエーションとしてアンケートフォームを作成できるサービスの多くは、フォーム設計・集計・回答結果のCSV出力などの基本機能は無料で利用でき、質問数・広告除去・チーム機能などの制限が設けられているケースがほとんどです。回収サンプルの規模が小さく、複雑な設問設計を必要としない小規模かつ簡易的なアンケートの場合は、費用をかけることなくアンケート調査を実施できます。

Googleフォーム(Google)

Googleフォーム

ユーザーが多く、広く目にする機会が多いのがGoogleフォームです。Googleアカウントさえあれば、アンケート数・設問数・回答数などに制限がなく完全無料で利用することができます。

高度な分岐ロジックやカスタムドメインには非対応であり、用意されているテンプレートもアンケートフォームは数種類に限られます。気軽に利用できる点が最も大きなメリットですが、アンケートの目的や規模によっては、機能面での不足がボトルネックとなります。

Microsoft Forms(Microsoft)

Microsoft Forms

Microsoft 365に標準搭載されているフォーム作成ツールです。Microsoftライセンスがあれば追加コストをかけずに利用することができます。

操作性はGoogleフォームと同程度ですが、ある程度作り込まれたアンケートフォームのテンプレートが用意されています。Microsoftのオフィスツールと連携して活用できる点がメリットといえます。

formrun(株式会社ベーシック)

formrun

商用・ビジネス向けのWebフォーム専用SaaSです。ひとつのWebフォームあたりの受け付けることができる回答件数に応じた課金体系となっており、無料で利用できるのは1フォーム、回答件数の上限が30件までです。

実質的に無料プランは試用に限られると考えていいでしょう。有料プランではSlackをはじめとするチャットツールへの通知、SalesforceやHubspotなどの顧客データとの連携、Googleアナリティクスによるフォームのアクセス解析など、他のアプリケーションとの連携機能が充実しています。

活用事例はこちらから

セルフ型アンケートツール

アンケートフォーム作成ツールの機能に加えて、モニター(パネル)を対象にアンケートを実施できるのがセルフ型アンケートツールです。モニター(パネル)とは、アンケート調査に協力することに同意し、会員登録したアンケート調査の回答者のことをいいます。

モニター(パネル)配信ができることで標本調査を実施する場合に回答者をリクルートする必要がなく、事前に回答者の属性情報(性別・年齢・居住地など)が登録されていることから、特定の消費者・特定の地域など回答者の属性を限定して、数千サンプルの規模に及ぶアンケート調査を短期間で実施することが可能になります。

もちろん、モニター(パネル)配信だけではなく、顧客や従業員など、特定できる対象に配信するアンケート調査にも使用することができます。

従来、調査会社が実施していた標本調査の実査(アンケートの配信と回収)の部分をユーザー側ができるようにしたということが、「セルフ型アンケートツール」や「DIY型アンケートツール」という名称で呼ばれる理由です。

セルフ型アンケートツールは、調査モニター(パネル)を保有・管理しているマーケティングリサーチ会社の大手が提供しているものが多く、マーケティングリサーチに精通した会社が開発・設計していることから、質問や選択肢の細かい設定が可能であり、あらゆるアンケート調査に活用できる点が大きなメリットです。

主要なセルフ型アンケートツール

マーケティングリサーチを手掛ける企業が、自社で管理するモニター(パネル)を対象としたアンケート調査を、外部のユーザーからも利用できるようにしたものがセルフ型アンケートツールです。

顧客や従業員など調査対象が限定される調査に加えて、不特定多数を対象とする標本調査にも対応できる点が他のWebアンケートサービスとの最も大きな違いです。

モニター(パネル)配信は有料で提供される機能となり、1問✕1サンプル10円程度(10問✕100サンプル✕10円=10,000円程度)が料金の相場となっています。

各社の無料プランはアンケートフォーム作成ツールの機能に質問数などの制限が設けられるのが一般的ですが、アンケート専用に設計されたWebフォームという点で、より高度で自由度の高い設問設計が可能です。

QiQUMO(株式会社クロス・マーケティング)

QiQUMO

QiQUMOはマーケティングリサーチ業界大手のクロス・マーケティンググループが提供するセルフ型アンケートツールです。300名以上のアナリストを擁するリサーチのスペシャリスト集団が開発したアンケートサービスは、あらゆるアンケートに対応できる機能を備えています。

フォームの編集画面では、スマートフォン画面のプレビューを見ながら設問項目の編集が可能なため、プレビュー画面を別に開く場合と比べて作業効率に優れています。また、アンケートフォーム作成ツールとしてのみ使用する場合は、1アンケートあたり設問数10問500サンプルまでであれば無料で利用できます。

Questant(株式会社マクロミル)

Questant

マクロミルは国内におけるネットリサーチのパイオニア的存在であり、セルフ型アンケートツールQuestantも2013年から提供しています。アンケートの目的別テンプレートが充実しており、初めてアンケートを実施するユーザーにとっては使いやすい環境が用意されていることもQuestantの特徴のひとつです。

無料プランもありますが、アンケートごとの質問数は10問まで、回答結果閲覧数は100件までの制限があり、表示条件の設定・スキップ・分岐などの設定、画像の埋め込みなど、高度な設問設計は有料プランで利用できる機能となります。

GMO Ask(GMOリサーチ&AI株式会社)

GMO Ask

GMOリサーチ&AIはJAPAN CLOUD PANEL、ASIA CLOUD PANELというモニター(パネル)ネットワークを保有しており、これらの調査ネットワークを他のリサーチ会社に提供する形のビジネスモデルで成長した会社です。

セルフ型アンケートツールGMO Askの提供は2022年からと比較的新しく、フォーム作成画面からのAIによる質問作成支援機能やGoogleフォームからのモニター(パネル)配信など他社にない機能をいち早く取り入れています。

GMO Askはモニター(パネル)配信に特化したアンケート配信サービスであり、顧客や従業員などを対象とするアンケートフォーム作成のみを目的とする利用は原則的にできません。

SurveyMonkey(SurveyMonkey Inc.)

SurveyMonkey

米国発のSurveyMonkyは世界的に利用されているセルフ型アンケートツールであり、130カ国3億3,500万人のモニター(パネル)を対象にアンケート調査を実施することができます。セルフ型アンケートツールの先駆けでもあり、25種類の質問形式、高度なアンケートフロー制御、A/Bテストなど、Webアンケートツールに求められる機能を幅広く網羅しています。

加えて、数百種類のテンプレート、質問文の例を集めた質問バンク、プロンプトからアンケート項目を作成できるAI自動アンケート作成機能など、アンケートフォーム作成を支援する機能も充実しており、アンケート初心者から専門家まで利用できるセルフ型アンケートツールです。

10問25サンプルまでであればアンケートフォーム作成機能を無料で利用することができます。

アンケートシステム

アンケートシステムという呼び方は、広くオンライン上でアンケートを実施するツールや仕組み全体を指し、アンケートフォーム作成ツールやセルフ型アンケートツールを含む広い概念です。

ここでは、アンケートフォーム作成ツール・セルフ型アンケートツールと区別した場合に、CRM・SFA・MA・グループウェアといったSaaSの機能の一部として、アンケート調査を実現できるものを対象とします。

アンケートフォーム作成ツールはWebフォームが、セルフ型アンケートツールはモニター(パネル)配信がサービスの起点となっています。それに対し、顧客管理や従業員管理を目的とするSaaSの場合、顧客や従業員に紐づけてアンケートを配信することにより、アンケート調査をより機動的に活用することが基本となる考え方です。

例えば、CRMに登録されているユーザーが、特定のWebページを訪問する、あるいは、会員登録を完了するなど特定のアクションを起こした時点で自動的にアンケートを配信するといった機能により、顧客の行動に即応する形でフィードバックを収集する仕組みが提供されています。

主要なアンケートシステム

従来、アンケート調査は予算と期間を設けたプロジェクトとして実施されることが一般的でしたが、Webキャンペーンごとのブランドリフトの計測や営業アプローチ初期段階での見込み顧客のフィルタリング、従業員を対象に定期的に実施するパルスサーベイなど、アンケートを機動的に活用する例が多く見られるようになってきました。

それを実現しているのが、MAやCRM、HRMなどのツールに組み込まれた形で利用できるアンケートシステムです。これらのアンケートシステムは調査そのものが目的ではなく、顧客管理や従業員管理の枠組みのなかで最適なタイミングでアンケートを実施し、得られたデータを即座に活用することで、意思決定やアクションの精度を高める役割を担っています。

kintone(サイボウズ株式会社)

kintone

kintoneは社内の情報共有、営業顧客サポート・バックオフィス・マーケティングなどの周辺業務、販売・在庫・生産管理などの基幹系業務にまで対応する業務アプリ開発プラットフォームです。

プラットフォーム上で顧客管理や案件管理の対象となる顧客情報にアクセス可能であることから、顧客を対象としたアンケートを実施することが可能です。同様に社員アカウントを配信先とした従業員アンケートも実現できることから、これらのニーズに対応したアンケートフォーム作成画面が用意されています。

アンケートフォーム作成アプリはドラッグアンドドロップで簡単に作成でき、アンケートの配信先と集計結果の閲覧権限をコントロール可能な点がアンケートシステムとしての大きなメリットです。

XM For Customer Experience(クアルトリクス合同会社)

XM For Customer Experience

クアルトリクスは学術研究用のオンラインアンケートツールを起源としています。売上・利益・顧客単価・Webアクセスなど企業システムに記録される客観的データと、顧客満足度・従業員エンゲージメント・ブランド価値などの人の主観的なデータの統合分析からエクスペリエンス管理(XM)というカテゴリーを提唱したパイオニアとして知られています。

Customer Experience(顧客)、Employee Experience(従業員)、Starategy&Research(リサーチ・UX・ブランド)の3つの製品群の中核をなすのがオンラインアンケート調査のプラットフォームCoreXMであり、他のSaaSとの統合、個別リストに基づく配信、モニター(パネル)への配信などあらゆる方法でアンケートを実施することが可能です。

利用料金はすべて見積もり対応となっています。

Zoho Survey(ゾーホージャパン株式会社)

Zoho Survey

インドで設立され現在はアメリカに本拠を置くZohoは、CRMをはじめとする業務アプリの製品群を提供する会社です。業務アプリのタイトルは55に及び、CRMを核としたSaaSエコシステムを展開しています。

そのなかのひとつであるZoho Surveyは他の業務アプリと連携させることで、必要な対象に適時適切なタイミングでアンケートを実施できます。例えば、toBの場合にCRMに登録されている顧客に満足度調査を実施して回答結果に応じた営業フォローを行う、セミナーの参加者にアンケートを実施し高い関心を示した参加者に対してMAツールから自動的に製品案内の詳しい資料を送るといったワークフローを自動化することが可能になります。

無料プランではアンケート数3件、質問数10問、回答件数100件までという制限があります。また、モニター(パネル)配信はオプションで購入する形となり従量制で課金されます。

調査目的別アンケートサービスの選び方

さまざまなアンケートを実施できるサービスの中から、目的に応じたツール、フォーム、システムを選ぶ際の最低限の基準は、アンケートの配信対象が誰なのかという点です。つまり、顧客、従業員、応募者、登録者、会員、Webサイト訪問者、イベント来場者など、特定できる相手に向けてアンケートを配信するのか、特定の属性を持つ不特定多数を対象とするアンケートなのかということです。

アンケートフォーム作成ツールの機能があれば配信方法は工夫次第ということになるのですが、条件にあった「回答者を集める」必要があるアンケートの場合は、モニター(パネル)を利用できるセルフ型アンケートツールを使い、1問1回答10円というコストを負担するほうが費用対効果は圧倒的に高いといえます。

もう一つの基準はアンケートの仕組み化です。アンケートの結果にもとづいたスピーディなアクションや改善のためのPDCAを回す場合には、アンケートシステムとして紹介した顧客管理や従業員管理のツールと連携できるものが最適な選択肢となります。

調査目的主な対象者サービスタイプ特徴
手軽なアンケート既存顧客、従業員、サイト訪問者アンケートフォーム作成ツール無料・低コストで始められる。小規模向け。
マーケティングリサーチ特定の属性を持つ不特定多数の消費者セルフ型アンケートツール大規模なパネル調査が可能。スピーディに大量のデータを収集。
継続的な改善活動自社の顧客、従業員アンケートシステム (CRM/SaaS)顧客/従業員データと連携。アクションを起点とした自動化が可能。

まとめ

Webアンケートを成功させる鍵は、その目的と規模に最適なサービスを選ぶことです。手軽な「フォーム作成ツール」、本格的な市場調査が可能な「セルフ型アンケートツール」、データ連携に強い「アンケートシステム」という選択肢の中から、自社の状況に合ったものを見極めましょう。

もし「どのタイプを選ぶべきか迷っている」「小規模な調査も本格的なリサーチも、どちらも行う可能性がある」という場合は、両方のニーズを1つのツールで満たせるサービスから始めるのが効率的です。

セルフ型アンケートツール「QiQUMO」は、顧客満足度調査などの小規模なアンケートなら無料で利用でき、本格的な市場調査が必要になれば、そのまま国内最大級のモニターへの大規模配信に移行できます。Webアンケートの第一歩として、まずは無料登録からその機能性を確かめてみてはいかがでしょうか。