パネル調査とは|簡単解説

パネル調査の意味とは

パネル調査のカンタン語句解説

パネル調査は、ある特定の対象者に対して一定期間調査を行う手法です。「同じ対象者」に「同じ質問」を「定期的に何回も」実施することで、消費者の動向の変化や商品の販売推移をしることができます。この調査方法を用いると、「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「いくらで」「いくつ」買ったのかといったデータが蓄積されます。主に、商品の購買行動や消費傾向、広告効果の測定、市場調査などに役立てられます。

パネル調査の概要

パネル調査は、同じ対象者に対して一定期間にわたってアンケート調査を繰り返し実施する手法です。この方法では、同じ対象者から得られる回答を分析できるため、時系列での分析や市場全体のニーズの変化を読み取ることができます。

対して、アンケート実施のたびに回答対象者を募集する調査方法が、「アドホック調査」です。アドホック調査はパネル調査と違い、調査の設計〜実施〜集計〜分析が一回で完結する=繰り返し実施しないことが違いとなります。

パネル調査を行う目的

パネル調査の主な目的は、調査対象と質問内容を固定することで、商品の購入チャネル、購入頻度、購入金額など、各要素の変化までを明らかにすることです。

同一対象者に対して複数回の調査を実施するので、時間の経過によって回答内容が変化していく様子も調べることができます。

消費者や市場動向を事細かに理解できることで、「消費者がどのような商品を求めているか」「好ましい価格帯はどのくらいか」「最適な購入頻度はどのくらいか」などを把握し、将来の変化を予測した商品やサービスのマーケティング戦略に活かせます。

パネル調査の特徴

パネル調査の特徴や調査によってわかることなどを紹介します。

1.時間の経過に伴う変化を把握できる

先述したように、パネル調査によって市場のニーズの変化を把握できます。

同一対象者に同じ質問を繰り返すことで、「買い替えに至るまでのタイミング」や「導入から時間が経つにつれて学習して段々使う機能が増えていく」という時間の経過による変化が見えてきます。

調査結果を用いて、新商品を発表するタイミングを予測し、機能拡充の範囲を決定したり、耐久性や価格の意思決定、マーケティングコストの予算消化タイミング、競合他社の動向調査などに役立てることが可能です。

2.精度の高いデータを収集できる

単発調査では調査対象者が異なるため、データの品質にばらつきが生じる可能性があります。

一方でパネル調査は、同じ対象者に対して繰り返し調査を行うため、データの品質が比較的安定しています。

そのため、時系列での変化やトレンドを把握するためのデータ収集に適しています。

3.ターゲットに合わせた調査が可能

パネル調査は、対象者を事前に選定することが可能です。そのため、特定の年齢層や性別、地域に絞った調査を行えます。

これにより、必要なターゲット層に絞った調査を行うことができ、より効率的かつ的確な調査結果を得ることができます。

パネル調査の注意点

パネル調査を行う場合は、以下3つの点に注意しましょう。

サンプルの偏り(バイアス)に注意

パネル調査では、ある特定の対象者に対して調査を行うため、サンプルに偏りが生じる場合があります。調査結果が全体的に正確ではなくなる可能性がある点に注意が必要です。

たとえば、ある特定の年齢層や性別に偏りがある場合、その属性における消費行動の傾向が強調されます。そのため、全体的な消費行動の傾向とのズレが生じる可能性があります。

バイアスについて理解を深める記事
バイアスとは、回答結果に生じる誤差のことで、バラツキとバイアス(偏り)に大別することができます。より詳細に理解するために、こちらの記事も参考になさってください。

対象者が離脱する可能性がある

同じ対象者に長期間にわたって調査に協力してもらう必要があるため負担が大きく、対象者が途中で離脱してしまう可能性があります。

そのため、調査開始前に必要なサンプル数以上の対象者を確保したり回答の負担を減らしたりなどの工夫が必要です。

アンケートを実施する際は、なるべく簡単に回答できる設問を心がけましょう。

単発の調査と比較して多くの時間と手間がかかる

パネル調査の調査内容の変更は基本的にできません。そのため、長期的な視点で設計する必要があります。

それに加えて、パネル調査の分析は、複数回分の調査結果を集めて時系列に沿って行うため、時間とコストがかかります。

まとめ

​​パネル調査は、市場のニーズの変化を把握するのに非常に有用な調査手法です。蓄積データを有効活用することで、自社商品・サービスの質の向上や利益向上につながります。

ただし、時間やコスト、知識などが必要になる調査手法であるため、専門家や調査会社に依頼をするのがおすすめです。顧客のニーズは時々刻々と変化するため、市場の流れに取り残されないように積極的にパネル調査を活用しましょう。

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