Webサイト改善のためのアンケート調査|評価指標と質問項目の考え方

Webサイト改善のためのアンケート調査 評価指標と質問項目の考え方

企業が運営するWebサイトの役割は自社の紹介に留まらず、営業サポートやブランディング、採用にまで結びつく重要性の高いものとなってきています。

それぞれのサイトはさまざまな目的をもって運用されていますが、特にタッチポイントとしての機能を持つWebサイトでは、運用目的に対するパフォーマンスを評価し改善していくことが不可欠です。

アクセス解析などWebサイトのパフォーマンスを測るための基本的なツールの活用と合わせて、Webサイト改善のためにアンケート調査を効果的に活用するための方法をご紹介します。

Webサイト改善の目的の明確化

商品の購入や会員登録、問い合わせや資料請求などのCV(コンバージョン)を獲得することが目的のWebサイトの場合、流入からCVに至るまでの各段階のパフォーマンスについて、現状を把握することが最初のステップです。

それを踏まえ、どのポイントを改善するためにどんな施策をとるかを検討していきます。

Webサイトを改善するのはWebサイトの運用目的を達成するためであり、一般的には以下のような目的があります。

CVを始めとするKGI・KPIの向上

多くのWebサイトは購入や登録、問い合わせのためのタッチポイントとしての機能があり、それらをCVに結びつけることができるかどうかが最終目的です。

何をKGI・KPIとするかは目的によりますが、成約数や問い合わせ数、資料請求の件数などを増やすことがWebサイト改善の主要な目的となります。

商品やブランドの認知向上

認知を広める手段のひとつとしてWebサイトを活用することも目的のひとつとして想定されます。

検索結果での上位表示やSNSでの露出、各種広告の出稿などの施策から目標とする流入が実現できていない場合や直帰率が高い場合など、施策に合わせてWebサイトも改善を図る必要があります。

新規顧客獲得

UU(ユニークユーザー)数の増加など認知向上と重なる部分に加えて、CVの向上を同時に達成することが新規顧客獲得です。Webサイトを運用する本来の目的が新規顧客の獲得でもあり、CVを高めるための改善が求められます。

内容理解の促進

toB製品や新製品など、製品やサービスを理解するために多くの情報が必要なケースでは、Webサイト上で適切なインフォメーションを提供できているかどうかが問われます。

製品説明のほか購入プロセスやサービスの内容について、不足する情報がないことと、そこにたどり着くためのスムーズな動線が確保できているかを検証します。

リードの質の向上

適切なターゲットに向けたコンテンツを提供することがリードの質向上につながります。UU数も多く問い合わせも多いにも関わらず成約率が低いといったケースでは、Webサイトのコンテンツそのものがターゲットにミスマッチであることが考えられます。

まずはターゲットを明確にすることが前提であり、それに相応しいコンテンツやデザインに変更する必要があります。

リピート促進

購入や登録プロセスのUX(顧客体験)にマイナス要因がないことや、他社にない利便性や付加価値を提供することが最も重要です。

また、購入者に向けたサポートやサービスの情報面での充実もWebサイトの役割に加わります。

ブランディング

企業そのものや製品やサービスを通じて実現する価値観を明確に伝えることができているかどうかがブランディングのテーマとなります。

アクセス解析などの指標で確かめることが難しい要素でもあり、アンケート調査をはじめとするユーザーからの反応を確認する必要があります。

現状把握のためのアクセス解析

GoogleサーチコンソールとGoogleアナリティクスはWebサイトを運用していく上での現状分析に欠かせないツールです。

サーチコンソールは検索されたキーワードや検索順位を知ることができるほか、ページがインデックスされているかどうか、ページにエラーがないかなどをチェックすることができます。アナリティクスはアクセス数をはじめとして、訪問ユーザーの行動や属性を知るためのツールです。

両者を使ってWebサイトの現状を数値で把握することで、Webサイトの目的を達成するために何を改善すべきかを知る手掛かりとします。

Googleサーチコンソール

サーチコンソールの画面
Google search consoleの画面

サーチコンソールでは以下の情報を知ることができます。

検索パフォーマンス

合計クリック数検索結果からクリックされた回数
合計表示回数検索結果からSERPs(検索結果表示ページ)に表示された回数
平均CTR表示された回数に対するクリックされた回数の割合
平均掲載順位SERPsに表示される掲載順位の平均

URL検査とカバレッジ

WebページはGoogleのクローラーがページを見つけてインデックスに登録されていなければSERPs(検索結果の表示ページ)に表示されません。URL検査でページがインデックスされているかどうかを確認でき、されていない場合はインデックスをリクエストすることができます。

また、何らかのエラーでインデックスされなかった場合、カバレッジに問題のあるページの数とエラーの種類が表示されます。

サーチコンソールのメニューには上記以外にも表示時間や表示のされ方、セーフブラウジング、モバイルフレンドリーなど、Webサイトの使い勝手に問題がないかどうかをチェックする項目があります。

Googleアナリティクス

Google analyticsの画面
Google analyticsの画面

アナリティクスで収集できる情報は以下のようなものがあります。

ユーザー数閲覧ブラウザ単位で計測されるwebサイトの閲覧者数
セッション数サイト全体のセッション数
直帰率セッション数のうち1ページのみのセッション数の割合
セッション継続時間1回のセッションの滞在時間
流入元どのリンクから閲覧されたか(ユーザーの獲得方法)
地域閲覧者の所在地
デバイス閲覧者の使用端末の種類
ユーザー属性年齢、性別、インタレスト
行動フロー開始ページから離脱ページまでの遷移の流れ

サーチコンソールとアナリティクスでレポートされる計測値は、サイトにある情報に対してユーザーがどのように接したのかを知るための痕跡です。

これらの数値を解釈し、Webサイトの目的に合った利用のされ方、運営側が意図するユーザー体験に結びついていない点を推測することで改善につなげていきます。

アクセス解析を踏まえたユーザビリティとコンテンツの評価

アクセス解析でWebサイトのパフォーマンスを数値で把握することで、Webサイトの運用目的に対する現状を明らかにし、ユーザビリティとコンテンツそのものに対する評価を深掘りしていきます。

ユーザービリティ

見やすさ、探しやすさ、操作・入力のしやすさなど、Webサイトを閲覧するにあたってユーザーがストレスに感じる要素がないかどうか、CVにたどり着くまでの経路に問題がないかどうかといった要素に関わるのがユーザビリティです。

例えば、滞在時間のほとんどないページの遷移が行ったり来たりしていれば、メニューの配置や表示などナビゲーションが適切ではない可能性が考えられます。

また、申込みフォームのページで離脱されることが多い場合は、EFO(入力フォームの最適化)に問題があるということになります。

そのほかにも、画像が多いページなど読み込みに時間がかかるページでの離脱傾向が高い、モバイルでのユーザビリティのエラーなどアナリティクスとサーチコンソールの結果から推測できるユーザビリティ上の問題は数多くあります。

Webサイトのユーザビリティを評価する手段としては、アクセス解析以外にもヒートマップツールやアイトラッキングなどのツールを使う方法や専門家によるヒューリスティック調査などがあります。

コンテンツ

Webサイトを構成しているコンテンツの質や情報の信頼性に関わる要素などコンテンツそのものに競争力があるかどうかも評価する必要があります。

認知度向上や新規顧客の獲得など広くアクセスを集めることの優先順位が高い場合には、流入経路のひとつとしてオーガニック検索での上位表示は避けて通ることができません。

いわゆるSEO対策ですが、検索キーワードを意識したコンテンツの質が最も重要であり、サーチコンソールからユーザーの検索意図を読み取り、それに対応するコンテンツを作り込む取り組みが求められます。

競争力という点では同業種のサイトとの差別化やWebサイトの目的に沿ったUX(顧客体験)を提供できているかどうか、それがWebサイトのどの要素で実現できるかを見つけ出すこともWebサイト改善の大きな目標となります。

また、信頼性という点では導入実績や購買者からの評価などのリアルユーザーの声をコンテンツに加えるといったことが多くのサイトで実施されており、それらのコンテンツが閲覧ユーザーに読まれているかといったことも評価指標のひとつになります。

Webサイト改善のためのアンケート調査の項目

アクセス解析の結果を解釈し、Webサイトのパフォーマンスが上がらない原因に対する仮説を立て検証すること、また、解釈しきれない要素を知るために各種ツールを使ったユーザービリティ調査やアンケート調査を実施して改善点を明確にしていきます。

特にコンテンツに対するユーザーからの評価は、Webサイトの目的によってそれぞれ異なり、どんな情報をどのような形で提供することが最善なのかを多数のユーザーから直接聴取するという点でアンケートが役に立ちます。

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ユーザビリティに関するアンケートの調査項目

ユーザビリティに関する調査項目はUI(ユーザーインタフェース)のわかりやすさと使い勝手です。

UIの不適切な設計には、多すぎる選択肢の数やCTA(コールトゥーアクション)にたどり着くまでのステップ、タブの使い方の間違い、小さすぎるボタンやリンク、デザインや文言の一貫性など、細かい点が数多く挙げられます。

UIの設計や要素の配置が適切であるかどうかは、知識を持つデザイナーが見ればすぐに解決できる場合も少なくありません。

アクセス解析からUIの不都合が推測される場合は、アンケート調査で聴取する前に専門家による検証を行うことも選択肢のひとつです。

アンケート調査で確認することが必要な場合は、使い勝手を漠然と尋ねるのではなく検証する要素を特定したうえで仮説を立て、質問項目を設定することが重要です。

コンテンツに関するアンケートの調査項目

Webサイトの使い勝手にあたるユーザビリティはどちらかといえば形式的な要素にあたります。コンテンツそのものに対するユーザーからの評価はWebサイトを運用する目的の本質に関わる部分であるといえます。

ユーザーが必要とする情報を適切な形で提供できているか、Webサイトを訪問したユーザーがそれに満足したかどうかは、Webサイトのパフォーマンスを示す指標からは見えてこない部分です。

アクセス解析でわかる各指標が思わしくないことはユーザーが満足していない結果といえますが、満足していない理由を聴取することがアンケート調査の目的となります。

CVを得るまでのプロセスにおける情報ニーズへの対応とわかりやすさ、それを助ける一貫性や統一性が保たれているかどうか、デザインイメージの妥当性や情報の鮮度に至る幅広い要素がユーザーのコンテツの評価に関わってきます。

アクセス解析の各指標に関連付けられるコンテンツの評価項目を洗い出し、アンケートで問うことにより、より具体的な改善点を明らかにすることができます。

ユーザビリティとともにコンテンツの質にも配慮する

Webサイトの改善というとユーザビリティに重きを置かれがちですが、ユーザーの情報ニーズへの対応が適切であり、情報そのものやUXにユーザーが価値を感じることができれば、Webサイトのパフォーマンスを向上させることができます。

Webサイトのユーザビリティとコンテンツの質は車の両輪であり、どちらにも配慮しながらWebサイト改善のPDCAを回していくことが重要です。