CX(カスタマーエクスペリエンス)とは|簡単解説

CXとはカスタマーエクスペリエンスの意味

CX(カスタマーエクスペリエンス)のカンタン語句解説

CX(カスタマーエクスペリエンス)は、顧客が体験する購買プロセス全体のなかで、どんな価値を提供するかを重要視するマーケティングのコンセプトです。機能や価格といった合理的な価値以外の感情的・心理的な価値に着目します。

CX(カスタマーエクスペリエンス)とは

CX(Customer Experience:カスタマーエクスペリエンス)は「顧客体験」「顧客体験価値」「顧客経験価値」と訳されます。

顧客が商品やサービスを購入・利用することから得られる物理的・合理的なベネフィット(便益)に加えて、購入・利用に関わるあらゆるプロセスを経験・体験するなかで価値と感じられるモノやコトを指します。

具体的な事例として挙げられるのが、従来のネット通販にはないCXを実現した企業として知られる、米ラスベガスに本社を置く靴のネット通販会社Zappos(ザッポス)です。

ネット通販では試着することができないため、実際に商品を手にしてみてサイズが合わないといったことが起こりがちです。Zapposではサイズが合わなければ無料で交換することができ、365日以内であれば何回でも返品することができます。

さらに、コンタクトセンターは24時間365日受け付けを行うほか、自社に在庫がない場合は、競合サイトから商品を探して顧客に勧めるといったことも行っています。

場合によっては、一度に複数のサイズを配送して選んでもらうケースや、在庫がない商品を他社から入手し自宅に届けるなど、それぞれの顧客に寄り添った価値を提供していることがロイヤリティの高い顧客を増やし急成長を遂げた大きな要因です。

なぜCXが重要なのか

マーケティングのなかでCXが重要視されるようになったのは、2000年代に入ってからといわれており、その背景として以下のような点を挙げることができます。

市場の成熟化

消費市場は成熟化が進み、市場規模が頭打ちになると買い替えやリピートの割合が高まります。一方、あらゆる商品が行き渡っている消費者の側は、消費そのものへの関心は低いものの、SNSの普及などにより情報収集力が高く、商品やサービスを選ぶ際の判断基準も高度化・多様化しています。

このような市場環境のなかでは、機能や価格などの合理的な理由で差別化を図ることが難しく、自社の商品やサービスを選んでもらうための新たな価値を作り出すことが課題となります。

ロイヤリティを高めることの重要性

自社の商品やサービスを継続して購入・利用する顧客は多くの利益をもたらすことがわかっています。新規顧客を獲得するコストは既存顧客を維持するコストの5倍かかるという「1:5の法則」や、解約率を5%下げることができれば収益が25%改善されるという「5:25の法則」といった経験則は、ロイヤリティの高い顧客を増やすことが収益に大きく関わることをあらわしています。

また、ロイヤリティの高い顧客は客単価が高いことに加えて、好意的な口コミを拡散する基点となることから新規顧客の獲得にも重要な役割を果たします。

ブランドイメージの向上

ロイヤリティの高い顧客が増えることはブランドイメージの向上にもつながります。顧客ロイヤリティが高いことは企業やブランドの価値が認められているということであり、そのことは潜在顧客のブランドに対する好感度や信頼度を高めることにもつながります。

CXの構成要素

CXの概念を体系化した一例として知られるのが、米経営学者のバーンド・H・シュミットが著書「経験価値マネジメント」のなかで示したCXの5つの要素です。

Sense:感覚的価値

感覚的価値は、顧客の五感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)を直接的に刺激する感覚的な価値のことです。美しいデザインや心地よい音や香り、美味しい味わいは、顧客の注意を引きつけ、印象づける役割を果たします。

Feel:情緒的価値

情緒的価値は、楽しさ、喜び、感動、興奮、安心、スマートさなど、顧客の心が動かされることによる価値です。日常では味わうことのできない体験、他社では体験することのできないサービス、あるいは、予期しなかった心づくしのサービスが顧客に思わぬ感動を呼び起こすことなどがその例です。

Think:知的価値

知的価値は、知的好奇心を満たしたり、創造性を助長したりすることで得られる価値です。顧客に学びや自己実現の機会を提供できるサービスが当てはまります。ユーザーの関心の高いニュースだけを選別して配信するサービスや、スケジュール管理を効率的に行えるアプリなどがその例として挙げられます。

ACT:行動・ライフスタイルにおける価値

行動、ライフスタイルに関する価値は、趣味やライフワークなど、その人ならではの欲求や関心を満たすことができるものです。生活をする上での充実感や満足感を提供することができる価値といえます。

Relate:社会的価値

社会的価値は、特定の集団に属することで得られる自己肯定感を高めたり、新たなつながりを生み出す機会を得ることなどが挙げられます。特定のブランドを所有することで個人のアイデンティティを確立することにつながったり、同じ属性を持つ個人同士で安心感を得たりすることなどが挙げられます。

顧客満足度とCXの違い

顧客満足を高めるための取り組みは従来から行われてきたことですが、顧客が手頃な価格や充実した機能、手厚いサービスに満足していたとしても、継続的な購入につながらないケースが多く指摘されるようになりました。

顧客満足につながる特定の要素を改善しても、それを上回る競合品が現れれば簡単に乗り換えられることがその要因です。

それに対し、CXの構成要素で挙げた体験することで得られる価値によって顧客ロイヤリティを築くことができれば、顧客とブランドとの結びつきが強化されるとされています。

CRM(顧客関係管理)とCX

CRM(Customer Relationship Management)は顧客関係管理と訳され、顧客管理ツールに蓄積した顧客の属性情報や購買データをもとに、顧客との関係性を把握し改善するための取り組みです。

データからは顧客満足の水準やCXの良し悪しを直接知ることができませんが、データを活用して、それぞれの顧客の状況に即した対応をタイムリーに行うことがCXの向上に貢献します。

CX(カスタマーエクスペリエンス)とUX(ユーザーエクスペリエンス)

UX(ユーザーエクスペリエンス)もCX(カスタマーエクスペリエンス)と同様に、顧客の側の体験・経験を示す概念です。

CXが購買プロセス全般に及ぶマーケティングの観点からの顧客体験を対象とするのに対し、UXは商品やサービスの利用フェーズを対象とするデザイン視点からの顧客体験を対象とする概念です。

UXは、Useful(役に立つ)・Usable(使いやすい)・Findable(見つけやすい)・Credible(信頼できる)・Accessible(利用しやすい)・Desirable(好ましい)・Valuable(価値がある)といった要素に分解されます。

まとめ

CXを改善し顧客にとっての新たな価値を生み出すためには、顧客理解を深めるためのマーケティングリサーチを実施し、鍵となる顧客インサイトを発掘することが求められます。

顧客の声を幅広く集める際に役立つのが、セルフ型アンケートツールQiQUMOです。自分でアンケート画面を作成しスピーディーに結果を確認できるので、コストを抑えたタイムリーな調査が可能です。

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