LTVとは|簡単解説

LTVの意味とは

LTVのカンタン語句解説

LTVとは、1人の顧客から得られる収益を時間軸で定量化するための指標であり、顧客獲得に要する費用と合わせて事業の収益性を判断するために使われます。特にサブスクリプション型のサービスでは、事業を継続・成長させていくためのKPIとして重要な意味を持ちます。

LTVとは

LTV:LifeTime Value(顧客生涯価値)は、顧客がもたらす経済的価値を評価するための指標です。具体的には、顧客一人当たりの一定期間内における収益額のことを指します。

SaaSビジネスのようなサブスクリプション型のサービスでは、投資と回収にタイムラグが大きく、将来的なキャッシュフローを見据えた事業評価を行う必要があります。

その際にCAC:Customer Aquisition Cost(顧客を獲得するためのコスト)とLTV(顧客が取引を継続している期間にもたらす収益)を比較して、事業の健全性と成長性を評価します。

LTVが重要である理由

LTVを見ることは、財務的な観点からSaaSビジネスを継続していくために必要なKPIを設定することにつながります。

また、変化の激しいビジネス環境のなかで、LTVを向上させることは以下のような意味合いからも重視すべき指標であるといえます。

市場の成熟化と縮小による新規顧客獲得の難易度の高まり

高度成長が見込めない国内にあって、あらゆる製品やサービスは飽和状態にあります。また、人口減少が加速していくフェイズに突入し、縮小する市場のパイを奪い合う形の競争が厳しいのは多くの業種・業界に共通することです。

厳しい市場環境のなかで新規顧客を獲得することのハードルは高まる一方であり、新規顧客獲得コストが既存顧客を維持するコストの5倍必要であるといったアノマリーも多くの実務家が実感するところでしょう。

この点から、顧客ロイヤルティの向上と囲い込みのための施策に注力することが求められており、LTVを向上させていくことの重要性は今後も高まっていくと考えられます。

デジタルの浸透によるビジネスモデルの多様化

ECの普及をはじめとして、消費に関わる行動のあらゆる面にデジタルデバイスが介在する場面が一般的なことになりました。

そのなかで、サブスクリプション型の新たなビジネスモデルが次々と生み出され、LTVが重要視される業態が増加しています。

加えて、CRMツールなどのデジタルツールによるマーケティングが普及してきたことで、既存顧客の維持と利用拡大につなげるための情報収集が容易になり、それに基づいたリテンションのためのマーケティング施策を考えられるようになったことも関連しています。

顧客ロイヤルティへの関心の高まり

顧客ロイヤルティの指標であるNPSを取り入れる企業が増加しており、NPSは収益性と将来性に紐づけることができるマーケティング指標として注目が高まっています。

既存顧客を維持し、販売と利用を拡大していくためには、顧客ロイヤルティを高めることが不可欠です。顧客ロイヤルティを向上させることがLTVの要素である平均単価・購買頻度・継続期間を高め、解約率を低く抑えることにつながります。

LTVによる財務面からのチェックとNPSによる顧客からのフィードバックは、適切なマーケティング施策を検討するための判断材料となります。

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既存顧客のセグメンテーション

顧客の行動履歴や取引情報によって顧客をセグメントすることにより、対費用効果の高いマーケティング施策を行うことが可能になります。

優良な顧客、顧客ロイヤルティの高い顧客と、収益に繋がる可能性の低い顧客それぞれに対するマーケティング費用を適切に配分することで効率的に収益を高めることができます。

LTVの活用方法

LTVを一つの指標として見る以外に、他の指標と組み合わせて多角的に事業の収益性を評価します。他の関連する指標とともに以下のような方法でLTVを用います。

LTVの計算方法

LTVは以下の方法で計算します。

LTV = 平均客単価 ✕ 収益率 ✕ 購入回数 ✕ 継続期間

関連する指標

LTVを有効に活用するためには、他の関連する指標も合わせて理解しておく必要があります。

CAC:Customer Aquisition Cost(顧客獲得単価)

1人あたりの顧客を獲得するためのコストを指します。

CAC = 顧客獲得のための総コスト ÷ 獲得顧客数

ユニットエコノミクス:Unit Economics

ユニットエコノミクスとは経済性や採算性という意味で使われます。事業評価では顧客1人あたりの収益性をあらわす指標として用います。

ユニットエコノミクス = LTV ÷ CAC

チャーンレート:Chun Rate(解約率)

サブスクリプションサービスのLTVを見る場合には解約率も大きな意味を持ちます。解約率のことをチャーンレートと呼び、顧客ベースの解約率であるカスタマーチャーンレートと収益ベースのチャーンレートがあります。ここではカスタマーチャーンレートを求めます。

カスタマーチャーンレート = 一定期間の解約数 ÷ 期間当初の顧客数

ARPU:Average Revenue Per User(ユーザー平均単価)

ARPUは1ユーザーあたりの売上をあらわします。1ユーザー当たりの売上はLTVの平均客単価の部分です。サブスクリプション型のサービスの売上はARPUと顧客数に分解できるため、LTVを向上させるための要素として重要な意味を持ちます。

ARPU = 売上金額 ÷ ユーザー数

LTVはチャーンレートとARPUからも求めることができます。

LTV = ARPU ÷ チャーンレート

LTVの評価方法

LTVは収益の部分についての評価であり、事業の採算性は投資の部分であるCACと比較して考える必要があります。まず、一定期間あたりの投資と収益という点で、LTV(収益)はCAC(投資)を上回っている必要があります。

LTV / CAC > 3

また、SaaSビジネスのスタートアップで事業の健全性を測るための数値として指摘されるのが以下の3点です。

①CACの回収期間(=CAC ÷ ARPA)が12ヶ月以内
②月間チャーンレートが3%未満
③ユニットエコノミクスが3(LTVがCACの3倍)以上
※「SaaS事業の成長可能性を判断する、3つの指標」より引用

これは、①と②の条件を満たすと③が導き出されるということを示しています。

LTVとNPSを用いた顧客セグメント

一人ひとりの顧客をLTVとNPSのスコアによって分類すると、以下の4つのタイプに分けることができます。

③ LTV (高)・NPS(低)① LTV (高)・NPS(高)
④ LTV (低)・NPS(低)② LTV (低)・NPS(高)

最も注力する必要があるのは、現状のLTVは低いもののNPSスコアの高い②の顧客層です。この層へのマーケティング施策を通じた働きかけを増やすことで①の顧客層に転換を図ることができます。

また、NPSのスコアが低い③の顧客層は離反する可能性の高い顧客層であると考えられます。③と④の顧客層のNPSが低い理由を究明し改善につなげることが求められます。

まとめ

LTVを高めることは、客単価を高めて顧客に多く長く利用してもらえるようにすることであり、端的にいえば商売の基本を守るということに変わりありません。

LTVを向上させるためには顧客満足度を把握することが前提であり、マーケティングリサーチの結果をもとに顧客満足度向上のためのPDCAを回していくことが求められます。

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