判別分析とは|簡単解説

判別分析の意味とは

判別分析のカンタン語句解説

判別分析は過去のデータを利用してデータ分類の基準を導き出し、未知データの所属グループを予測する手法です。分析結果を可視化できるため、データの解釈が容易な特徴もあります。判別分析は、商品やサービスの企業戦略やマーケティング戦略の立案に役立ちます。

判別分析とは?

判別分析とは、過去のデータを利用してデータ分類の基準を導き出し、未知データを分類する手法です。

たとえば顧客情報や購買情報を利用して、商品を購入する可能性の高い顧客や、リピーターになる可能性の高い顧客を判別する際などに利用されます。

また、検査の値などをもとに、対象サンプルが病気であるかどうかの判別を行うことなどにも使われます。

判別分析の特徴

判別分析のおもな特徴は以下の4つです。

多変量データを分析するための有用な手法

判別分析は、多変量データを分析するための有用な手法です。

多変量データとは、複数の変数(指標)からなるデータのことで、それらの変数間の関係を調べるために用いられます。

判別分析は多変量データを分類し、異なるグループ間での差異を明らかにすることができます。

グループ間の違いを明確にする

判別分析は、異なるグループ間の違いを明確にすることができます。

たとえば、商品を購入する顧客の属性を分析する場合、顧客の属性によって異なるグループに分類し、各グループ間の違いを明確にすることができます。

これにより、ターゲットとなる顧客層を明確にし、商品やサービスのマーケティング戦略を立てることができます。

未知のデータの予測や判別が可能

判別分析は、未知のデータの予測や判別ができます。将来の需要や売上高などを予測し、企業の経営戦略やマーケティング戦略の立案に役立てることが可能です。

ビジネス以外でも、過去の世論調査に照らして候補者の当選予測をしたり、模試の結果から志望校への合格率を予測したりすることにも活用されています。

データの可視化に役立つ

判別分析は、分析結果を可視化することができます。可視化された分析結果は、グループ間の違いを視覚的に理解することができるため、データの解釈が容易になります。

判別分析の注意点

判別分析を行う際は、以下の2点に注意しましょう。

連続変数の予測は不可

判別分析は、カテゴリー変数の予測や判別に適した分析手法であり、連続変数(数値)の予測はできません。

予測する対象が連続変数である場合は、判別分析ではなく、重回帰分析決定木分析などの別の分析手法を使用する必要があります。

偏りが発生する場合がある

判別分析では、偏りのないデータの取得や適切な変数の選択、サンプルサイズが重要な要素です。

データや変数の選択が適切ではない場合は、正確な分類ができない可能性があります。また、サンプルサイズが小さい場合は、結果の信頼性が低下する可能性があります。

判別分析と回帰分析の違い

判別分析とロジスティック回帰分析は、2つのカテゴリー変数を予測する分析手法であり、性質は似ています。ただし、以下の点で異なります。

判別分析回帰分析
予測変数の数3つ以上2つ
オッズ比算出不可算出可能
使用頻度

予測したい変数が3つ以上ある場合は、判別分析を使用します。

一方で、オッズ比を算出したい場合や、結果を説明する相手の知識量によっては回帰分析がよいでしょう。

どちらを使用するか迷った場合は、両方を使用して精度の高い方を採用するのがおすすめです。

判別分析とクラスター分析の違い

判別分析とクラスター分析は、どちらもデータをカテゴリーに分けるための分析手法ですが、以下のような違いがあります。

判別分析クラスター分析
訓練データの有無必要不要
目的データを予測するデータをグループ化する
カテゴリー数2値以上2値以上
商品を男性と女性に分ける似た特徴を持つ顧客をグループ化する

判別分析は訓練データが必要なため、予測したいカテゴリーがあらかじめ決まっている場合に使用します。

一方で、カテゴリーが不明な場合にはクラスター分析を使用します。また、クラスター分析でグループを作成し、そのグループを訓練データとして判別分析を行うこともできます。

選択する分析手法は、訓練データの有無によって判断可能です。

まとめ

判別分析は、過去のデータからデータ分類の基準を導き出し、未知のデータを分類する手法であり、企業の経営戦略やマーケティング戦略の立案に役立ちます。

ただし連続変数の予測は不可能であり、正確な分類を行う際には、データの偏りや適切な変数の選択、サンプルサイズが重要な要素となります。