PSM分析とは|簡単解説

PSM分析の意味とは

PSM分析のカンタン語句解説

PSMは、Price Sensitivity Measurement(価格感度測定法)のことであり、特定の商品やサービスに対し、消費者の価格知覚に関する4つの質問から受容価格を明らかにするための手法です。受容価格は消費者の値ごろ感を把握する指標となり、PMS分析は価格設定を行うための受容性調査として実施されます。

価格政策におけるPSM分析の位置づけ

価格設定は以下の3つの要素が前提となります。

  1. 継続的にコストを回収することが可能な価格
  2. 市場競争のなかで戦略的な価格設定を行うことが可能であること
  3. 消費者に受け入れられる価格であること

このうちの「3.消費者に受け入れられる価格」を知るために用いられるのがPSM分析であり、価格受容性調査のひとつの方法です。

価格受容性調査の手法としてはPSM分析のほか、CVM(Contingent Valuation Method:仮想評価法)があります。

PSM分析は消費者の価格に対する感じ方を評価する方法

PSM分析は消費者の価格に対する感じ方を分析するための方法です。消費者の「感じ方」は以下のような概念に掘り下げることができます。

価格知覚

消費者の購買行動の意思決定のための価格についての解釈のことで、「高い」「安い」「普通」など、主観的な評価のことを指します。消費者の価格知覚は不正確であること、市場価格全体の客観的な水準とは異なること、などが特徴として挙げられます。

内的参照価格

消費者の価格知覚の基準となる価格水準を指し、内的参照価格は以下のさまざまな要因により形成されます。

期待や願望により形成されるもの

■ 公正価格(知覚のなかで適正と感じる価格)

■ 最低受容価格(提供される価値を信頼することができる下限の価格)

■ 最高受容価格(提示された価格が提供される価値に見合うと感じる上限の価格)

■ 期待価格(望ましいと想定する価格)

市場価格の知覚をもとに形成されるもの

■ 購入価格(支払ったことを確認できる価格)

■ 通常価格(販売されていることを確認した価格)

■ 最低観察価格(最も安い値段で販売されていることを確認した価格)

■ 最高観察価格(最も高い値段で販売されていることを確認した価格)

■ 平均観察価格(観察した価格を総合して平均的と感じる価格)

内的参照価格の特徴

内的参照価格は以下の特徴をもっています。

  • 内的参照価格は受容される一定の幅(RAP:Range of Acceptance Price)を持つ。
  • 受容価格の範囲では価格の差はさほど認識されないが、価格が範囲から外れると明確に認識される。
  • 受容価格の幅は商品カテゴリーによって異なる。
  • 受容価格の幅は商品知識、購買頻度、価格に対する意識が高いほど狭くなる。

上記のRAPが消費者が特定の商品にもつ値ごろ感であり、その範囲内では価格差はそれほど認識されず、範囲から外れてしまうと「高い」「安い」と強く感じてしまうということになります。

PSM分析の方法

PSM分析では調査対象とする消費者に具体的な商品を提示し、以下の4つの質問を行い、それぞれの価格の数値(※自由回答)を記入してもらいます。

商品〇〇について、「高い」と感じられる価格はいくらぐらいですか。=「高いと思う」
商品〇〇について、「安い」と感じられる価格はいくらぐらいですか。=「安いと思う」
商品〇〇について、「高すぎて買えない」と感じられる価格はいくらぐらいですか。=「高すぎる」
商品〇〇について、「安すぎて信用できない」と感じられる価格はいくらぐらいですか。=「安すぎる」

上記の回答結果から、累積度数分布の比率を取ると以下のようなグラフを作成することができます。

グラフに示したとおり、4つの曲線の交点から以下の価格を求めます。

P:上限価格(最高価格)
「安いと思う価格」と「高すぎる価格」の交点。これ以上高いと買い手がつかないと想定される価格です。
Q:妥協価格
「安いと思う価格」と「高いと思う価格」の交点。最も多くの消費者が値ごろ感を持つと想定される価格です。
R:最適価格(理想価格)
「安すぎる価格」と「高すぎる価格」の交点。安すぎる・高すぎるは購買に否定的な感情であり、その交点である価格は心理的な抵抗感が最も少ない価格と考えられます。
S:下限価格(最低品質保証価格)
「安すぎる価格」と「高いと思う価格」の交点。この価格よりも低いと消費者が商品に不安を感じ、買うのをためらってしまう価格と考えられます。

上記の「P:上限価格」と「S:下限価格」が消費者の受容価格帯(RAP)にあたり、この範囲が価格設定の許容範囲となります。

また、「Q:妥協価格」と「R:最適価格」の範囲が、RAPのなかでより受け入れられる可能性の高い価格帯と想定できます。

留意しなければならないPSM分析の特性

価格受容性調査全般に共通する要素として、理論上の適正価格であって、市場で通用する=購入されるとは限らない点に留意が必要です。

「質問に答える」という調査の場面で考える受容価格と、実際の支出を伴う購買時点で考える受容価格は異なることが仮想バイアスです。PSM分析の交点で求められる価格は、仮想バイアスにより実際よりも高めに測定される傾向があることが指摘されています。

PSM分析に関する課題点として指摘されている点としては以下のようなものがあげられます。

実現不可能な価格が算出される可能性がある

PSMで算出される受容コストは、あくまで一般消費者の回答となります。原材料費や製造コストを考慮した場合、実現不可能な価格が算出されることもあります。

算出された価格と購入意向は一致するとは限らない

各価格に対して、どの程度の購入が見込まれるかがわかりません。あくまでイメージする価格が算出されるだけであって、消費者の購入意向が汲み取られたものではない点に注意が必要です。

4つの交点から求める価格レンジに理論的根拠が薄い

4つの質問により描かれた曲線の交点の意味づけに対する理論的な根拠が薄いことが指摘されています。

当該商品の購買に関連のないサンプルは役に立たない

PSM分析は価格評価の対象となる商品やサービスに対する知識や値頃感を持っていることが前提となっています。例えば、日頃スーパーで買い物をしない人に日用品の価格を聞いても、実勢価格とはかけ離れた価格が提示されてしまう可能性があります。

これを解消するために当該商品の購入経験や購入意向を持つ調査対象をスクリーニングする必要があります。

PSM分析は調査対象のスクリーニングが必要

PSM分析は、導出された価格レンジを上限・下限とするなかで、管理会計上の望ましい価格と、競争戦略上求められる価格を考慮して最適な価格を設定するという用い方をします。

PSM分析の特性で指摘した点により、市場の実勢価格や設定可能な価格レンジから外れた受容価格が算出される可能性もあるため、調査対象はスクリーニングを行い回答精度を高めるとともに分析結果を柔軟に解釈することが必要です。