順序尺度とは|簡単解説
順序尺度のカンタン語句解説
順序尺度とは、統計データを扱う場合のデータの特性を表す尺度のひとつであり、序列関係に意味を持つ尺度です。
順序尺度の概要
順序尺度は4つある尺度水準のひとつであり、定性データ(質的変数)を扱う尺度に分類されます。定性データは数や量としての単位は持たない、他のデータとの区別しか表さないデータのことです。
定性データのうち他のデータとの区別に加えてデータに序列関係があるものを順序尺度を用いて評価します。
尺度とは
アンケート調査の回答方法は、どの選択肢に当てはまるかを選ぶもの、程度や順序の段階を選ぶもの、選択肢を選ぶのではなくテキストや数値で答えるものに大きく分けられます。
回答方法の違いによって得られたデータの種類分けを尺度と呼び、順序尺度もそのなかのひとつです。尺度はデータの持つ情報量によって分類したもので以下の4種類があります。
以下の表はデータが持つ情報量を少ない順番に並べたもので、最も情報量の多い比率尺度が上位の尺度とされています。上位の尺度は下位の尺度の性質を持っており、上位の尺度を下位の尺度に変換することはできますが、その逆はできません。
尺度 | 定性/定量 | 単位 | 演算種類 | 要約値 |
---|---|---|---|---|
名義尺度 | 質的データ (質的変数) | なし | 演算不可 | 度数 最頻値 |
順序尺度 | なし | 大小比較 | 度数 最頻値 中央値 | |
間隔尺度 | 定的データ (量的変数) | あり | 加減 | 度数 最頻値 中央値 平均値 |
比率尺度 | あり | 加減乗除 | 度数 最頻値 中央値 平均値 |
順序尺度は質的データ(定性データ)に分類されます。質的データとは数や量としての単位を持たない他のデータと区別することに意味があるデータです。
量的データ(定量データ)には物理的に計測される連続した数値のほか、人数や金額など整数値で数えられる単位を持つデータに分けられます。
名義尺度
名前や性別、職業など分類するために与えるデータ値であり、他のデータと同じであるかどうか以外に意味を持ちません。
アンケート調査では、分類するために与えるカテゴリーであり、必ずいずれかの選択肢に当てはまるという網羅性と、同時に2つ以上の選択肢に当てはまることのない相互排他性を持たせる必要があります。
順序尺度
データ間に大小や順序などが存在する尺度であり定性データを扱います。データには区別に加えて序列がありデータの優劣を評価することはできますが、データ間の間隔が均等ではないことから量的な差を求めることには意味がありません。
順位付けや連続した定量データを任意に区切ったカテゴリーなどを問う質問の選択肢として用いられます。
間隔尺度
間隔尺度は順位尺度と同様にデータ間に序列を持っていることに加え、データ間の間隔にも意味がある尺度です。
間隔尺度の例として温度が挙げられます。気温40℃と20℃、30℃と10℃の差は同じ20℃の違いであると評価できますが、「40℃は20℃の2倍の暑さである」、「30℃は10℃の3倍の暑さである」という比例関係は成り立ちません。
アンケート調査のカテゴリーでは満足度や態度を段階づけした態度評定尺度にも間隔尺度が用いられます。
比率尺度
比率尺度は単位の間隔が等しく、絶対原点を持つ尺度として定義され、データ間の差と比率に意味を持つ尺度です。
アンケート調査では数値を自由回答で記入してもらう場合が比例尺度を用いるデータとなります。また、全体を10または100としてカテゴリーに点数を配分する恒常和法も比例尺度を使った回答方法です。
順位尺度の事例
アンケート調査ではいずれかに当てはまる属性を問う質問以外に、態度や感情など心理的な要素を段階評価として問う質問を行います。これらの質問に対する選択肢は段階を持つカテゴリーとして回答者に提示されます。
その際に順序尺度として扱うべきか、間隔尺度として扱うべきか判断が分かれる場合がありますが、一般的には、明らかに等間隔ではない段階を設定した場合や段階が少ない場合、また、正規分布が想定されない段階を設定する場合は順序尺度として処理を行います。
評定尺度法
【カテゴリーの例】
Q:〇〇のTVCMを見たことがありますか。 A:全くないーややあるーあるーよくあるー非常によくある |
【カテゴリーの例】
Q:〇〇についての評価をお答えください。 A:非常に良いーかなり良いーやや良いーどちらでもないーやや悪いーかなり悪いー非常に悪い |
評定尺度法は質問の特定の記述や形容語で表現した内容に当てはまるかどうかを回答する選択肢を用います。
上段の例のように一方向のみの序列を表す場合と両方向の序列を表す場合があります。
1対比較尺法
【カテゴリーの例(サーストーン法)】
Q:1、2、3の〇〇のうち好きなほうに丸をつけてください。 A: 1( ):2( ) | 1( ):3( ) | 2( ):3( ) |
【カテゴリーの例(シェッフェ法)】
Q:1、2、3の〇〇のうち好きなほうに丸をつけてください。 A: 1|とても好き( )やや好き( )同程度( )やや好き( )とても好き( )|2 1|とても好き( )やや好き( )同程度( )やや好き( )とても好き( )|3 2|とても好き( )やや好き( )同程度( )やや好き( )とても好き( )|3 |
評価対象の組み合わせをすべて抜き出し、組み合わせの一つひとつについて評価してもらう方法です、どちらか一方を選択するサーストーン法や、それに程度の要素を加えたシェッフェ法などがあります。
SD法
【カテゴリーの例】
Q:〇〇のTVCMについてどちらのイメージが強いかをお答えください。 A:陳腐( )( )( )( )( )( )( )新鮮暗い( )( )( )( )( )( )( )明るい落ち着いている( )( )( )( )( )( )( )躍動感がある |
SD法は評定尺度法のバリエーションとされています。両方向の序列を評価する方法ですが、対極の意味を持つ言葉を提示してどちらが近いかの主観的な判断を答えてもらいます。5つ以上の段階を設ける場合は間隔尺度として処理するケースもあります。
その他
【カテゴリーの例】
Q:以下のペットボトル飲料について好きな順番をお答えください。 A:飲料1( )飲料2( )飲料3( )飲料4( )飲料5( )飲料6( ) |
【カテゴリーの例】
Q:〇〇のコンビニエンスストアを利用する頻度をお答えください。 A:週5回以上( )週2~3回( )週回1回( )月1~3回( )めったに利用しない( ) |
これまで挙げた以外にも単純に品目などについての選好度などの順位付けや、頻度や金額で表される数値の連続データを任意に区分したカテゴリーについても順序尺度が用いられます。
尺度は測定のモノサシ
アンケート調査の選択肢をどう設定するかは、測定したいことをどのようなモノサシで測るかを決めることと同じです。モノサシの基準となるものが尺度であり、明らかにしたいことを集計・分析するためにどの尺度を使うことが適切かを判断する必要があります。