人事・総務が行う社内アンケート|エンゲージメントサーベイの実施方法と効果

社内アンケートは人事部門や総務部門が中心となって行われることが一般的であり、それぞれの目的に応じて行われるアンケート調査やサーベイにはさまざまな種類があります。
ほとんどの組織で従来から行われてきたのが従業員満足度調査ですが、生産性向上や離職率の低下といった目的以外にも、さまざまな目的と機能を果たす手段としてアンケート調査が用いられるようになっています。
人事部門や総務部門が実施する社内を対象とした、さまざまアンケートについて解説します。人事・総務向け社内アンケートの解説、第二弾はエンゲージメントサーベイ。
エンゲージメントサーベイ
エンゲージメントサーベイとは、従業員による「会社との結びつき・つながり」「会社への信頼」「自分の所属する会社が好きかどうか」を定量化する調査です。
どのような点において、会社をポジティブに思っているかが数値化できるため、従業員と会社の関係性を強化するポイント、改善するポイントが把握できます。エンゲージメントを高めることが仕事・職場への満足度や仕事に対する積極的な態度、会社への帰属意識を高めることにつながります。
その結果として、組織の生産性が向上するとともに離職率を下げる効果がもたらされることから、エンゲージメントサーベイは近年注目を集めています。
仕事におけるエンゲージメントは心理学の分野でさまざまな研究結果が示されており、以下のような定義が存在します。
従業員エンゲージメント | 個人のしごとへの関与・満足・熱意。従業員の貢献行動を引き出すための管理手段や資源。 |
パーソナルエンゲージメント | 仕事上の役割を遂行するなかで、身体的・認知的・感情的に自己を活用し、表現すること。そのための心理的条件として、有意味感・安心感・可用性が必要。 |
ワークエンゲージメント | 仕事に向けられたポジティブで持続的かつ全般的な感情と認知。活力・熱意・没頭から構成される。 |
エンゲージメントサーベイの質問尺度として知られているのが米Gallup社の12の質問です。
Gallup社の12の質問
00.職場にどの程度満足しているか
01.私は職場で自分に何が期待されているかを知っている。
02.私は仕事に必要な材料と設備、道具を与えられている。
03.毎日の仕事のなかで最善を尽くす機会が与えられている。
04.過去7日間に、良い仕事をしたことで認められたり、褒められたりすることがあった。
05.上司や職場の誰かは、私を一人の人間として気にかけてくれている。
06.職場に自分の成長を促してくれる人がいる。
07.職場では自分の意見が尊重されている。
08.会社の使命や目的によって、自分の仕事が重要であると感じる。
09.私の同僚や仲間は質の高い仕事に尽くしている。
10.私には職場に親友がいる。
11.過去6ヶ月に、私が成長したことについて話してくれた人がいる。
12.昨年、私は仕事のなかで学び、成長する機会があった。
Gallup社「Gallup's Employee Engagement Survey: Ask the Right Questions With the Q12® Survey」
エンゲージメントを測定する上での、それぞれの質問が持つ意味と活用の仕方についてはGallup社のページをご覧ください。
従業員満足度調査とエンゲージメントサーベイの違い
従業員満足度調査とエンゲージメントサーベイは、それぞれの系譜と考え方、使われることの多い尺度(質問項目)について違いがあります。
従業員満足度調査がマネジメントに関わる多数の質問項目を挙げて職務満足の要素を検証するのに対し、エンゲージメントサーベイは、自主性を引き出すための個人の状態に着目した調査であることが違いといえます。
詳しくは以下の記事をご覧ください。どちらも従業員と会社の関係性を良好にするためのアンケートですが、適切に活用するためにも、どの調査をどの方法で実施するかが肝となります。
エンゲージメントサーベイとパルスサーベイの違い
昨今では企業が導入することの増えてきたパルスサーベイですが、エンゲージメントサーベイとの違いは、その頻度にあると考えられます。
従業員意識調査とエンゲージメントサーベイを対比したものだが、従来の意識調査に比べ、より、ミッション・ビジョンに対する共感や職場におけるバリューの実践度など、個人と企業の双方向の関係性にフォーカスしたものが多い。また、より頻繁なモニタリング手法として、近年注目を集めているのはパルスサーベイである。パルスサーベイはより頻繁に実施することで、モニタリング・改善サイクルを短期間に回し46 ていくことを主眼としている。回答率を確保し現場の負担を軽減するため、質問数はかなり絞られることが一般的である。(図表31参照)
経済産業省「企業の戦略的人事機能の強化に関する調査」より

エンゲージメントサーベイの設問例
エンゲージメントサーベイの設問例を紹介します。設問は聞きたいこと、頻度、対象者によって適切な設定が必要ですので、自社の目的に合わせて検討ください。
- 従業員が企業に対して抱いていることを総合的に測る設問
- Q.転職活動をしている友人や家族に、自社をおすすめしたいと思いますか?
Q.自社で働く中で、自分の成長を感じられる機会がありましたか?
Q.職場内に自分を気遣ってくれる・気にしてくれている上司や同僚はいますか?
- 仕事に対する熱意、ワークエンゲージメントを測る設問
- Q.任されている仕事において「自分が得意とすることだ」と感じる機会はありますか?
Q.仕事をしていると、時間の経過を早く感じることがありますか?
Q.適切に仕事を遂行するために必要な設備やツール・環境が整っていますか?
- エンゲージメントを向上させる要因「組織ドライバー」「職務ドライバー」「個人ドライバー」を測る設問
- Q.直近の仕事で、上司や周囲から褒められたり認められたりする機会はありましたか?
Q.自分の所属する部署もしくは会社全体が掲げる、指針や戦略・戦術を十分に理解していますか?
Q.自分の仕事は、企業ミッションの実現において重要だと感じていますか?
- 従業員から、経営層に対する信用度合いや経営能力、コミュニケーションの質と量を測る設問
- Q.経営陣は明確なビジョンを持っており、理解できるよう伝えられていますか?
Q.あなたや同僚が仕事の成果を出したとき、上司からポジティブなフィードバックがありますか?
Q.経営陣や上司の指示・発言に一貫性がありますか?
Q.あなたが会社やチームから期待されていることが何か理解していますか?
- 経営陣や管理職からのサポート具合、心理的安全性のある環境で働けているか測る設問
- Q.経営陣や上司とのコミュニケーションにおいて、頻度や内容に納得していますか?
Q.上司はあなたのの能力や特性を理解し、足りない部分のフィードバックやサポートがありますか?
Q.あなたが任されている仕事において、必要な意思決定をする権限が与えられていますか?
Q.仕事においてあなたの意見は尊重されていると思いますか?
- 従業員が感じている、職場での公平性、中立性などを測る設問
- Q.自分が担っている職務・職責に対して、公正な報酬を得ていると思いますか?
Q.仕事量が自分だけ過剰でなく、どのメンバーへも均等に分配されていますか?
Q.経歴や年齢に関係なく平等に、新しいことに挑戦するチャンスを与えてくれていますか?
Q.会社は、仕事を行うのに必要な設備や材料を十分に整えていると思いますか?
- 仕事に対する従業員のプライド、組織や企業への誇りを測る設問
- Q.あなたは自分が働いている会社や仕事に誇りを持っていますか?
Q.自分が任されている役割以上のことで会社に貢献をしようと思いますか?
Q.3年後もあなたはこの会社で働いていると思いますか?
Q.周囲の仲間が自分の仕事ぶりを評価してくれていると思いますか?
- 従業員同志の連帯感・仲間意識、お互いを尊重し思いやっているかを測る設問
- Q.上司や同僚と良好な関係を築けていますか?
Q.自分の所属している以外の部署やチームから協力を得られる環境ですか?
Q.年齢や経歴、異なる意見を持つ人とも良好な関係で働ける環境ですか?
Q.社内にあなたを気にかけてくれている上司や先輩・同僚がいますか?
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