価格弾力性とは|簡単解説
価格弾力性のカンタン語句解説
価格弾力性とは、商品価格が変動した際に見られる需要と供給の変化の割合を数値化したものです。価格が変動しても売れる量があまり変わらない状態を「価格弾力性が低い」と言い、反対に、価格の変動が売れる量に大きく影響する状態を「価格弾力性が高い」と言います。
価格弾力性をわかりやすく解説!
価格弾力性は以下のような図で表すことができます。
縦軸(P)は価格、横軸(Q)は商品の数です。
右下がりの需要曲線を見ると、価格が上がっても売れる量の変化はさほど大きくないことがわかります。このように、価格弾力性が低い場合は、需要曲線が垂直に近くなるのが特徴です。
反対に、価格弾力性が高い場合は、以下のように需要曲線が水平に近くなります。
価格弾力性が低い/高い商品・サービスの違い
価格弾力性が低い商品・サービスと高い商品・サービスでは何が違うのでしょうか。以下では、それぞれの特徴を解説します。
低い商品・サービスの特徴
価格弾力性が低い商品・サービスは、食品や衣類、燃料などの生活必需品です。生活に欠かせないものは、値上がりしても極端に需要が減ることがありません。
また、数量限定で販売されているものや付加価値が高い商品など、替えの効かないものや希少性の高いものも、価格弾力性が低い傾向にあります。
価格弾力性が低い場合は、先述の通り値上げをしても需要がそこまで落ちないため、値下げをしないマーケティング戦略が大切です。
高い商品・サービスの特徴
価格弾力性が高い商品・サービスは、車や不動産、惣菜パンなどの嗜好品や替えが効くものです。
これらはすぐに必要なものではないため、値段が下がってから購入したり購入を我慢したりする傾向にあると言われています。そのため、値上げをすると需要が落ち着き、反対に値下げをすると需要が伸びる特徴があります。
価格弾力性の活用場面
自社商品やサービスを開発・販売するにあたり、価格弾力性は無視できません。以下では、価格弾力性の主な活用場面を4つ紹介します。
1.新商品・サービスの価格決定をするとき
新商品・サービスの価格決定は消費者が購入する際の1つの物差しとなり、価格決定を誤ると利益につながらないこともあります。
そのため、新商品・サービスの価格決定をする際は、価格弾力性を参考にしましょう。たとえば、自社と競合他社の価格弾力性を分析すると、値上げによる需要の変化や値下げによる顧客流入の変化などがわかります。
2.すでに販売している商品・サービスの価格を見直すとき
すでに販売している商品・サービスの利益が薄いと感じている場合は、価格設定が適切でない場合があります。自社と競合他社の商品・サービスを価格弾力性で分析すると、適切な価格設定につながるでしょう。
3.割引・キャンペーンを実施するとき
集客数や販売数を伸ばす目的で割引・キャンペーンの実施を検討している場合、価格弾力性を活用すると、そもそもキャンペーンを実施するべきかどうかを判断できます。
先述の通り、商品・サービスの価格弾力性が高い場合は、値下げをしたほうが集客や販売数の増加が見込めます。しかし、価格弾力性が低い場合は、無理に値下げをする必要はなく、商品・サービスの内容やプロモーション方法などを見直したほうが効果につながるでしょう。
4.リスクを回避するとき
商品・サービスの価格は、気候変動や自然災害、原材料の高騰などによって変動します。それにより、需要・利益率の低下や、大量在庫などの問題が発生する可能性もあります。
価格弾力性を活用すると、このような価格変動によるリスク回避も可能です。たとえ価格変動が起きても、利益を最大化できる価格設定ができるでしょう。
計算方法は、需要の変化率と価格の変化率 から導く
需要の価格弾力性は以下の式で求めることができます。
需要の価格弾力性=需要の変化率(%)÷価格の変化率(%)
たとえば、ラーメン1杯あたりの価格を15%値上げし(価格の変化率)、需要が10%減った(需要の変化率)とします。
これを先ほどの式に当てはめると、以下の通りです。
10%÷15%= 0.66……
なお、価格弾力性は「1」を基準値とし、1を上回ると価格弾力性が高く、1を下回ると価格弾力性が低いと判断できます。
よって、先ほどのラーメンの例では、価格弾力性が低いとわかります。
現在は「需要の価格弾力性 - 高精度計算サイト」のように、数値を入れるだけで自動計算できるツールもあります。
価格弾力性の語句解説まとめ
改めて価格弾力性について、理解を進める重要な部分を記載します。価格弾力性とは、商品価格が変動した際に見られる需要と供給の変化の割合を数値化したものです。
食品や衣類、燃料など、生活に欠かせない商品・サービスは価格弾力性が低く、車や不動産、惣菜パンなどの嗜好品や代替品がある場合などは価格弾力性が高い傾向にあります。
新商品・サービスの価格決定や既存商品・サービスの価格見直しなどをする際に価格弾力性を活用し、今後の経営方針を考えてみてください。