スクリーニング調査とは?条件設計・出現率の考え方とQiQUMOでの進め方

スクリーニング調査(事前抽出調査)は本調査の前段階で行われる重要なステップです。調査対象が限定される場合に行われるものですが、スクリーニングの条件によってはサンプル回収の難易度が増すため、調査設計が難しくなるという一面も持ち合わせています。
本記事では、スクリーニングの切り口から 必要なサンプル数を確保するための回収設計までを詳しく解説します 。
さらに、セルフ型アンケートツール「QiQUMO」とスクリーニング調査(事前抽出調査)を組み合わせることで実現できるターゲットを絞り込んだ調査の事例も紹介します。
スクリーニング調査とは
スクリーニング調査とは、アンケートやインタビューなどの調査を行う際に、調査対象の選別・絞り込みを目的として行われる調査のことを指します。

アンケート調査では、特定の条件に当てはまる人だけの意見を聴取したいというケースがよくあります。このような種類の調査では、無作為に選ばれた回答者のなかに条件に当てはまる人がどの程度含まれるかは調査を行ってみないとわかりません。
条件に当てはまる回答者が一定数以上含まれていなければ、その調査は意味のないものとなってしまいます。
これを避けるために、条件に当てはまる人を選別するためのスクリーニング調査(事前抽出調査)で必要なサンプル数を確保し、調査対象を絞り込んだ上で本来の調査(本調査)を実施するという2段階の手順を踏みます。
スクリーニングの条件
マーケティングリサーチでは調査の目的によって、スクリーニングにはさまざまな条件が設定されます。
アンケート調査のスクリーニングの条件としては以下のようなものが一般的です。
| 切り口 | 概要 | 具体例 |
|---|---|---|
| 属性 | 静的な基本情報 | 性別、年代、居住地、職業、学歴、世帯年収、既婚・未婚、子供の有無・人数、など |
| 行動 | 実際の動きや経験 | 所有、経験、日常、仕事、趣味、メディア接触、アプリ利用、購買チャネル、など |
| 役割 | 組織や家庭内での立場 | 決済権がある、推奨する立場、相談を受ける立場、選定担当、日常的な利用者、情報収集担当、など |
| スコアリング | 定量的なボリューム | 購買・訪問・経験などの回数、月間支出額、保有資産額、1日の平均利用時間、LTV、など |
| 時系列 | 経験のタイミング | 現在、過去、直近、半年以内、今後の購入意向、特定イベント後、離反時期、など |
| サイコグラフ | 価値観や意識 | タイパ重視、価格感度、オーガニック志向、特定のブランドへのロイヤリティ、など |
| 認知状況 | 認識・知識の有無 | ブランド認知、CM接触経験、機能の理解度、競合ブランドとの比較経験、など |
| 除外条件 | 調査の正確性を担保 | 競合・広告・調査業界の排除、不正回答防止のためのダミー選択肢、など |
1. 属性(デモグラフィックス)
属性は性別、年代、居住地、職業、世帯年収などの基本情報です。市場のボリュームを把握し、特定の層にターゲットを絞るための最も基本的な項目です。
多くの調査では最初に設定され、本調査での回収目標と割り付けを決める際の基準となります。対象者の外形的な特徴を明確にすることで、どのような背景を持つ人々の回答が必要なのかを定義し、分析の土台を作る役割を果たします。
QiQUMOは7つの属性情報を組み合わせて配信が可能
セルフ型アンケートツールQiQUMOの登録モニターにアンケートを配信する場合、以下の7つの基本属性を指定して配信することができます。
- 性別:男・女
- 年齢:10~60歳・70歳以上(10歳きざみ)
- 未既婚:未婚・既婚
- 居住都道府県:47都道府県
- 職業:14種類
- 子供の有無:有・無
- 業種:37種類
上記の7項目をスクリーニングの条件としたい場合、QiQUMOを使えばスクリーニング調査→本調査という2段階の調査ステップが不要になります。
2. 認知状況(認知ファネル)
特定のブランドやサービスを知っているかどうか、広告の接触経験などを条件とする場合です。「名前を聞いたことがある」程度なのか、「第一候補として検討している」のかによって、聞くべき質問は変わります。
認知・興味・検討・購入という各フェーズのどこに位置するかを定義することで、本調査で聞くべき論点を段階に合わせて設計でき、分析もステージ別に整理しやすくなります。
3. 行動(アクチュアル・データ)
商品の所有、サービスの利用経験、日常的な習慣、仕事内容など、実際の行動に基づいた絞り込みです。
例えば「週に3回以上ジョギングをする人」のように、客観的な事実を条件にすることで調査の精度を高められます。実態に基づいた具体的な意見を収集したい場合に有効な切り口であり、利用実態や消費行動を把握する上で重要な要素となります。
4. サイコグラフィックス(心理・価値観)
価値観、ライフスタイル、こだわり、悩みなど、行動の背後にある心理的要因に踏み込む切り口です。
「コストパフォーマンスより品質を重視する」「環境保護への意識が高い」といった心理的な側面で絞り込むことで、属性データだけでは見えてこない深いインサイトを探ることができます。
特定の価値観を持つ層に特有のニーズを掘り起こし、商品開発やコミュニケーション戦略に活かす際に効果を発揮します。
5. 役割(ロール)
組織や家庭内における決裁権の有無、推奨する立場にある人など、B2Bや住宅・自動車といった高額商品の購入プロセスを追う調査の場合のスクリーニングの条件となります。
本人が最終的な決定権を持っているのか、あるいは情報収集や比較検討のみを担っているのかで、回答の視点は大きく異なります。役割を細かく設定することで、意思決定に直結する実効性の高いデータを収集することが可能になります。
QiQUMOの属性情報「職業」「業種」の指定でB2B決裁権者にアプローチ
QiQUMOの登録モニターへのアンケート配信では、「職業」を指定して配信することができます。
指定できる14種類の職業のなかで、会社経営(経営者・役員)・会社勤務(管理職)・自営業(商工サービス)・専門職(法務関係、医療関係)を指定することで、企業の意思決定に関わるポジションに就いている可能性がある人にアンケートを配信することができます。
さらに、「業種」を組み合わせて指定することで、B2Bの事業領域に合わせた意思決定者の意見を聴取することが可能です。この場合も、スクリーニング調査を実施する必要がなくなります。
6. スコアリング(ボリューム)
購入回数、訪問頻度、月間の支出額など、対象者の関与度を数値化して評価する切り口です。
例えば、ヘビーユーザーとライトユーザーでは、商品に対する評価ポイントや期待する機能が大きく異なるため、この数値に基づいて対象者を層別化します。
特定のボリューム層に絞り込んだり、層ごとの比較分析を行ったりするための基準となり、ターゲットの熱量に応じた立体的なマーケティング分析を実現します。
7. 時系列(タイムライン)
「直近1ヶ月以内」「過去1年以内」といった、経験や行動のタイミングに注目した条件設定です。人の記憶は時間とともに曖昧になるため、鮮明な体験談を求める場合は期間を限定して抽出します。
また「過去には利用していたが、現在は利用していない(離反した)人」を特定するなど、時間の経過に伴う意識や行動の変化を捉える際にも有効です。いつの時点の意見を聴取すべきかを定義するために用いられます。
8. 除外条件(フィルタリング)
調査結果の客観性と信頼性を担保するために、バイアスがかかる可能性のある層をあらかじめ排除する目的でスクリーニングを行うケースです。同業他社や広告・調査業界の関係者を外すなどが典型的なフィルタリングの例です。
ノイズとなるデータを排除し、純粋な消費者の生の声だけを抽出することで、調査全体の品質を守る門番のような役割を果たします。
スクリーニング調査の活用例
QiQUMOではアンケートを配信する段階で7つの属性を指定できるため、最初から大枠のターゲットを選別したうえで、追加する条件だけをスクリーニングで抽出するといった設計を取りやすいのが特徴です。
ここでは、属性指定+スクリーニング(事前抽出)の組み合わせで、アンケートの用途が広がる活用例を紹介します。
1. 利用頻度・関心度(関与度)によるターゲットの層別化(セグメンテーション)
【属性指定:全属性 + スクリーニング:特定カテゴリの利用頻度、非利用の理由(忌避理由)】
商品カテゴリに対する関与度は、人によって大きく異なります。そこで、スクリーニングでヘビーユーザー/ライトユーザー/非利用者/忌避層を抽出し、層ごとに本調査で深掘りすることで、「誰に・何を(どんな価値を)提供するか」の設計精度を上げます。ターゲットと提供価値を決めるための、いわば“マーケティングの土台データ”になります。

設計のポイント(スクリーニングで何を切るか)
利用頻度や購買回数、支出額などを使って関与度を定量化し、それぞれの層の境界を明確にします。加えて、非利用者の中でも「ただ使っていない」のか「理由があって避けている」のか(忌避)を分けると、得られる示唆が一段深くなります。
- 例:スクリーニングで確認する項目
- 直近1〜3か月の利用頻度(回数・日数)
- 購買金額帯(平均単価、月額など)
- 非利用理由(価格・手間・好み・健康・イメージ等)
- 忌避の度合い(「避けたい」か「機会があれば」か)
本調査で深掘りする観点(層ごとの問いが変わる)
ヘビー層には「満足の源泉」と「次に求める改善(上位欲求)」を、ライト層には「利用が伸びない障壁」と「増やすトリガー」を、非利用/忌避層には「心理的ハードル」と「受容条件(使うとしたら何が必要か)」を重点的に聞きます。層別に問いを変えることで、商品開発の優先順位とコミュニケーションの打ち分けが明確になります。
得られるアウトプット(実務に落ちる形)
- 商品開発:改善テーマの優先順位、追加価値の方向性
- コミュニケーション:層別の刺さる訴求軸/避けるべき表現
- 市場機会:忌避理由から逆算した“未開拓の需要”
2. 経営層・特定業種を狙ったB2BのPoC・リード候補の特定
【属性指定:職業、業種 + スクリーニング:役職・決裁権の有無、SaaS等の導入検討状況】
B2Bでは、同じ会社でも「決める人」「選ぶ人」「使う人」で論点が異なります。職業・業種でターゲットの範囲を限定し、決裁権や検討状況(ステージ)を確認すると、PoC(概念実証)の対象や営業ターゲット層からの意見を拾うことができます。

設計のポイント(“役割”で最後に絞る)
最初から条件を狭めすぎると出現率が下がり、回収難度が上がります。まず「業種×職業」をやや広めに取り、最後にスクリーニングで役割(決裁/稟議/選定/情報収集)と検討ステージを確認ます。
- 例:スクリーニングで確認する項目
- 役職・決裁関与(最終決裁/稟議関与/選定担当/情報収集のみ)
- 導入検討ステージ(情報収集中/比較中/導入直前/導入済/見送り)
- 課題の有無(業務上の具体課題)と解決の優先度
本調査で深掘りする観点(営業・開発に直結)
本調査では、導入判断の決め手(重視点)、稟議プロセス(誰が何を判断するか)、導入障壁(予算・運用・セキュリティ等)を中心に聞きます。ここが整理できると、PoCで検証すべき項目や、営業で刺さる材料(説得の順序、必要な証跡)が具体化します。
得られるアウトプット(ROIが見えやすい)
- PoC:検証設計(何を示せば決裁が進むか)
- 営業:ターゲット優先順位、訴求ポイント、マイナスポイントの論点
- 開発:Must要件とBetter要件の切り分け
3. 競合ブランドからの「乗り換え(スイッチング)」要因の分析
【属性指定:全属性 + スクリーニング:現在利用中のブランド・サービス】
自社ユーザーだけを見ていると、「なぜ競合が選ばれるのか」が見えにくくなります。そこで、スクリーニングで競合ブランドのメイン利用者や過去利用してやめた人(離反者)を抽出し、競合選好の理由・不満点・乗り換え条件を深掘りします。比較LPや広告コピーなど、“勝ち筋の言語化”に直結しやすいテーマです。

設計のポイント(“競合利用”の定義を揃える)
単に利用経験があるかどうかではなく、利用の度合いやいつまで使っていたかに踏み込むことで、得られるインサイトの解像度を高めることが可能になります。離反者については「直近◯か月以内」など期間を切ると記憶が新しく、具体的なペインポイントが取りやすくなります。
- 例:スクリーニングで確認する項目
- 現在のメイン利用ブランド(主利用)
- 過去利用の有無/離反時期(直近半年〜1年など)
- 乗り換え経験の有無(他社→他社の移動歴)
本調査で深掘りする観点(“条件”まで落とす)
「なぜ競合を選ぶか」だけでなく、「どんな条件なら乗り換えるか」まで聞くのがポイントです。価格差、機能差、サポート、購入体験など、乗り換えの閾値を押さえると、キャンペーン設計や訴求の優先順位が決まります。
得られるアウトプット(攻め所が明確になる)
- 競合優位の要因(どこで負けているか/勝てる余地はどこか)
- 乗り換えトリガー(何を提示すれば動くか)
- 改善優先順位(ペインの大きい順)
4. 特定のライフイベントや予定に基づく「先回り需要」の把握
【属性指定:年齢、未既婚、子供の有無 + スクリーニング:直近の予定】
生活者を対象とするマーケットでは「属性」だけでなく「これから起きること(ライフステージ)」が需要を左右します。結婚、引越し、出産、住宅購入などは、家電・家具の買い替え、保険の見直し、通信サービスの再検討などが一気に発生するタイミングです。そこで、属性で当たりを付けたうえで「1年以内に予定がある層」をスクリーニングで抽出し、検討初期のインサイトを取りに行きます。

設計のポイント(時系列で“今動く人”を拾う)
ライフイベントは将来予定なので、時系列の条件と相性が良いのが特徴です。「すでに検討開始しているのか/これからなのか」「いつ頃動くのか」を押さえると、プロモーションのタイミング設計に落とせます。
- 例:スクリーニングで確認する項目
- 1年以内の予定(結婚/引越し/出産/住宅購入など)
- 検討開始時期(すでに開始/これから)
- いま不安な点(費用、手続き、比較の難しさ等)
本調査で深掘りする観点(検討初期を言語化する)
本調査では、情報収集の入口(どこから調べ始めるか)、比較軸(何を重視するか)、意思決定の障壁(何が不安か)を中心に聞きます。競合が取りに行く“購入直前”ではなく、検討初期の段階で論点を押さえることで、勝ち筋を見つけやすくなります。
得られるアウトプット(タイミング戦略に効く)
- 検討初期の重要論点(最初に気にすること)
- 有効な接点(チャネル、コンテンツ、オファー)
- 検討を前に進める材料(不安解消の順序)
出現率と回収設計
スクリーニング調査(事前抽出調査)は本調査の目的を達成するために行われるものであり、本調査の前工程という位置づけです。そして、条件に合う人がどの程度いるかは、設定する条件によって大きく変わってきます。
例えば、「放映されている視聴率10%のTV番組の番組提供CMを見た人」を条件とする場合、10人に1人ぐらいはいそうだと考えられるのに対し、「直近1週間以内にCMを見てその商品を購入した人」を条件とした場合は、10人に1人よりは大幅に少ないと想定されます。
意見を聴取したい人の条件が狭く、どの程度該当者がいるか見当がつかないような条件を設定する場合、スクリーニング調査(事前抽出調査)を行って、条件に該当する人の割合に当たりをつけておくことが重要です。
出現率と必要回収数の考え方(本調査のn数 → スクリーニング配信数へ逆算)
スクリーニング調査(事前抽出調査)の出現率(Incidence Rate)とは、スクリーニング調査(事前抽出調査)に回答した人のうち、条件に合致する人の割合です。

- 出現率
- 出現率=本調査の対象条件に該当する回答者の数 ÷ スクリーニング調査の回収数×100
QiQUMOをはじめとするセルフ型アンケートツール(登録モニターに配信)でスクリーニング調査と本調査の2段階のアンケートを実施する場合、スクリーニング調査の条件該当者すべてに、2回目となる本調査のアンケートが配信されます。しかし、スクリーニング調査に答えたすべての人が本調査にも回答してくれるとは限りません。
この時、スクリーニング調査の条件該当者のうち、本調査となる2回目のアンケートに答えてくれた人の割合を回答率(Response Rate)といいます。
- 解答率
- 回答率=本調査の回答数÷ スクリーニング調査の該当者数×100
これらのことから、スクリーニング調査(事前抽出調査)と本調査の2段階のアンケート調査を実施する場合のスクリーニング調査の回収数は、本調査で必要なサンプル数から逆算する必要があります。
- 本調査の目標回収数
- 本調査の目標回収数=スクリーニング調査の回収数 × (スクリーニング調査)出現率 × (本調査)回答率
- スクリーニング調査の回収数
- スクリーニング調査の回収数=本調査の目標回収数(スクリーニング調査)出現率 × (本調査)回答率
例えば、本調査で300サンプルを集める場合、出現率10%、回答率50%とすると、スクリーニング調査(事前抽出調査)で6000(=300 ÷ 0.1 ÷ 0.5)サンプル集める必要があるということになります。
クォータ設計への影響
クォータ(quota)とは割当数・割当枠という意味で、クォータ設計は全体のサンプル数を何らかのセグメントを設けて分割する場合に、分割されたセグメントにどのようにサンプルを割り当てる(割り付け)かを決めることです。
アンケート調査では、性別・年代別・居住地別などの属性をセグメントとしてクォータ設計を行うケースが典型的な例です。

例えば、本調査のクォータ設計を上の表のように設定した場合、1つのセルに確保しなければならないサンプル数は、出現率と回収率を想定した上でスクリーニング調査の回収数を見積もる必要があります。
集計段階でクロス集計を行う場合、クォータのサンプル数が30以上ないと統計的に意味をなさないとされています。この点からも、出現率の低い条件が設定される場合は、余裕を持った回収設計を行う必要があります。
QiQUMOは年代・性別を指定した割り付けが可能
QiQUMOは性別と年代の割り付けを指定することができます。回収目標に対して性別・年齢で指定したクォータに自動的に分割され、各セルが目標の割当数に達する時点までアンケートが配信されます。
スクリーニング調査実施のメリット・デメリット
スクリーニング調査の実施は必要に応じて使い分けられるものではあるものの、2段階の調査を実施することのプラス面とマイナス面を理解しておくことが重要です。
メリット
1. 調査精度の向上
スクリーニング調査を実施する最大のメリットは調査精度の向上です。あらかじめ条件に合致しない回答者を排除することで、分析の妨げとなる「ターゲット外の回答」というノイズを取り除き、純粋なターゲットの声のみを抽出できます。
その結果、例えば「ヘビーユーザー」や「離反層」といった特定のセグメントに対し、それぞれの属性に最適化した深い質問を投げかけることができ、施策に直結する解像度の高いインサイトを得ることが可能になります。
2. コストの削減
次に、コストの削減、特にインセンティブ(回答謝礼)の最適化が挙げられます。 対象者が限定される調査を1段階で行おうとすると、条件に合致しない回答者に対しても、本調査のボリュームに応じたインセンティブを支払うことになり、予算に無駄が生じます。
一方、安価な単価で広く実施するスクリーニング調査で「本当に話を聞きたい対象者」をあらかじめ絞り込んでおけば、本調査の報酬をターゲットのみに集中させることができます。これにより、調査全体の予算を効率的に配分し、無駄を抑えることが可能です。
デメリット
1. 回収設計の難しさ(出現率の不透明性)
デメリットとしてまず挙げられるのが、回収設計の難しさです。 スクリーニング調査では、設定した条件に合致する人が世の中にどの程度存在するのかという「出現率」が、実際に調査を行うまで正確に把握できません。
条件を厳しく設定しすぎると出現率が低くなり、目標とするサンプル数が集まらないリスクが生じます。そのため、事前の仮説立てや、出現率の変動を考慮した柔軟な調査設計が求められます。
2. 時間とコストの増加
調査の条件や内容によっては、時間とコストが逆に増加する場合もあります。 2段階のステップを踏む以上、スクリーニングの回収を待ってから本調査を配信するため、調査完了までに数日間のリードタイムが発生することは避けられません。
さらに、ターゲットの条件が非常に広く、あえて選別しなくても十分なサンプルが確保できるようなケースでは、2回分の調査設定の手間や、システム利用料などの固定費が余分にかかることになります。このように、ターゲットの広さや緊急性によっては、2段階調査がかえって非効率を招く可能性がある点に注意が必要です。
QiQUMOの事前抽出調査
上記のメリット・デメリットを考える上で、QiQUMOのような登録モニターに配信を行うセルフ型アンケートツールの場合、謝礼は利用料金に含まれているため考慮する必要がありません。
また、性別・年代といった基本属性を指定して配信することができ、さらにその割り付け設定も可能であることから、出現率がある程度見込める場合には、1回の調査のなかで、質問設計によるスクリーニングを行えば調査目的を達成できるケースも少なくありません。
スクリーニング調査を実施する場合でも、QiQUMOの事前抽出調査は1問1サンプル当たり5.5円(税込み)と本調査の半額です。仮にスクリーニング調査で10,000サンプル集める場合でもコストの増加分は数万円であり、調査会社にアンケートを依頼することを考えると、遥かに安く済ませることができます。
QiQUMOの利用にあたっては、必要なサンプル数や設問設計も含めて担当者からアドバイスをもらうことができるため、担当者と相談しながら効果的なアンケートを実施することが可能です。
スクリーニング調査を効果的に実施するためのポイント
スクリーニング調査の成否は単に対象者を絞り込むだけでなく、その後の「本調査」で得られるデータの質をいかに高められるかにかかっています。
限られたコストと期間で有用なインサイトを得るためには、設計段階での工夫が欠かせません 。ここでは、精度の高いサンプリングを行い、実務に活きるデータを効率的に収集するための5つの重要なポイントを解説します。
スクリーニング調査の設問数は最小限とする
スクリーニング調査における鉄則は、設問数を必要最小限に絞り込むことです。設問数が多くなると回答者の負担(負荷)が増大し、回答精度の低下や途中離脱を招くリスクが高まります。
JMRA(一般社団法人日本マーケティングリサーチ協会)のガイドラインによれば、15問以上、または所要時間が5分を超えると離脱率が10%増加するというデータも示されています 。
また、セルフ型アンケートツールでは設問数に応じてコストが変動するため、項目を絞ることは費用対効果の向上にも直結します 。本調査の条件特定に直結する項目のみを厳選し、回答者がスムーズに本調査へ進める設計を心がけましょう 。
本調査の意図を隠した質問文の設計
アンケート調査では、回答者が調査の意図を察した場合、その推測に沿って無意識に反応(回答)を変えてしまう要求特性バイアスが生じる可能性があります。
これを防ぐため、スクリーニング調査・本調査ともに、必要性がなければ調査主体や調査の意図を回答者に知られないようにするのが原則です。
特にスクリーニング段階では、調査意図を推測されることが調査に協力するかどうかの判断材料となり、サンプルの構成に影響してしまうため、調査意図を知られない形でふるいにかける必要があります。
例えば、ブランドの利用経験者をスクリーニングする場合、1つのブランドの利用経験を2者択一で聞くのではなく、複数のブランドを提示して複数選択の質問を行う設問設計とします。
条件の難易度が高い場合はスクリーニング調査で出現率を把握
「そもそも世の中にどれだけ該当者がいるのか」といった厳しい条件がスクリーニングの前提となる場合、スクリーニング調査で出現率を確認してみてから調査設計を進めることも現実的なやり方です。
回収設計で述べたとおり、本調査の必要回収数を確保するためには、出現率と回答率が回収サンプル数に影響し、費用面に大きく関わってきます。出現率が低く十分な回収数が見込めない調査テーマの場合は、対象条件や調査の方法を再検討してみることも必要です。
本調査のボリュームが多い場合の回答者の絞り込み
本調査の設問数が多く、回答負荷が高い場合は、スクリーニング段階で対象者をより厳格に絞り込むことが有効です。
ボリュームのある調査は回答者の負担が大きいため、無作為な対象者に長大なアンケートを依頼すると、不適切な回答が増えるだけでなく、予算の無駄も発生します。
そこでスクリーニング調査を活用し、条件に合うかどうかに加えて、関与度や熱量の高い層を特定して本調査へ誘導することで、本調査のサンプル数を最適化しつつ、1サンプルあたりの情報の質を最大化できます 。限られた予算を、最も価値のある回答者群に集中させるための戦略的なアプローチです 。
スクリーニング調査におけるFAQ
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スクリーニングと本調査は「2回」に分けるべき? 1回のアンケート内で分岐させてもいい?
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目的次第ですが、出現率が一定数見込める場合は、同一アンケート内にスクリーニングのための設問 を設置し、 該当者のみ本編へ分岐するといった回答ロジックを作れば2段階の調査は不要になります。
一方で、条件が複雑で出現率が読めない場合や、スクリーニング結果を見て条件・割付を調整したい場合は、2段階(事前抽出→本調査)の方が設計しやすくなります。
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スクリーニング調査と本調査の間隔は、最大でどのくらい空けても良いですか?
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可能な限り2〜3日以内、遅くとも1週間以内に本調査を配信するのが理想的です。 スクリーニング調査から時間が経過しすぎると、対象者の記憶が曖昧になり 、本調査での回答精度が低下する恐れがあります。また、間隔が空くほど対象者の関心が薄れ、本調査の回答率の低下を招く要因となります。
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1回のスクリーニング調査の結果を利用して、複数の異なる本調査を実施することは可能ですか?
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可能ですが、「調査の鮮度」に注意が必要です。 例えば、属性(性別・居住地など)に基づく分類であれば、一定期間は複数の調査に再利用しても大きな問題はありません 。
しかし、購入経験や認知状況、将来の予定などは時間の経過とともに変化するため 、期間が空く場合はその都度スクリーニングを実施し、最新のステータスを確認することが推奨されます。
QiQUMOでは事前抽出調査の回答リストは複数回利用可能
QiQUMOでは一度実施した事前抽出調査の回答リストをもとに、複数回の本調査を実施することができます。
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スクリーニング調査で聴取した回答データを、本調査の集計データとして合算して分析に使っても良いですか?
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属性情報などの一部のデータを除き、基本的には本調査で改めて同じ質問を行い、その回答をもとに分析するのが一般的です。 スクリーニング調査はあくまで「対象者の選別・絞り込み」を目的とした前工程という位置づけです。
QiQUMOの事前抽出調査の結果をダウンロード可能
QiQUMOでは、事前抽出調査(スクリーニング調査)の段階で回答データをダウンロードでき、事前抽出調査の結果に応じて、本調査の対象者を変更することも可能です。
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スクリーニング調査(事前抽出調査)の本調査回答率はどれくらいですか?
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スクリーニング調査(事前抽出調査)の該当者からの回答率は、登録モニターを管理する調査会社によって異なります。QiQUMO(登録モニターへの配信の場合)では以下のような実績が示されています。
QiQUMOの事前抽出調査後の本調査の回答率
1週間後 60-80%程度1か月後 50-70%程度(※10代は30-40%程度)
出現率が読めないときほど、QiQUMOの「事前抽出調査(スクリーニング調査)」で回収リスクを下げる
スクリーニング調査は、本調査の精度と効率を最大化させるための非常に重要なステップです。適切な条件設計と出現率の予測を行うことで、無駄なコストを抑えつつ、ターゲットの声を抽出することが可能になります。
セルフ型アンケートツール「QiQUMO」では、このスクリーニングを「事前抽出調査」として簡単かつスピーディーに実施できます。QiQUMOが持つ豊富なパネル属性と組み合わせることで、抽出した対象者に対して本調査をシームレスに配信できるのが大きな強みです。
「条件に合う人がどのくらいいるか知りたい」「効率よくターゲットを絞り込みたい」といった課題に対し、QiQUMOの事前抽出調査は有効な解決策となります。精度の高いリサーチをスピーディーに実現し、より確かなマーケティング施策の意思決定を強力にサポートします。


