属性とは|簡単解説
属性のカンタン語句解説
属性とは、人・モノ・情報の性質や特徴についての種類分けを行う際の基準のことです。マーケティング分野では、消費者・生活者を定量的に分析する際の変数として扱われ、セグメンテーションやターゲティングを行う際の基準となります。
属性とは
マーケティングリサーチでは、「30代・女性」など、消費者層のセグメンテーションを行います。「30代」は年代を基準とした種類分けであり、「女性」は性別を基準とする種類分けです。この場合の「年代」や「性別」が該当します。
属性はデータ分析を行う際の変数として扱われ、例えば、「年代」や「性別」を説明変数(原因)、ブランド選好などの消費行動を目的変数(結果)として、得られた調査結果(現象)を説明するための切り口となります。
属性の種類
何を基準として種類分けを行うかが属性であり、人口統計学的な分類によるデモグラフィック、心理的要素によるサイコグラフィック、地理的要素によるジオグラフィックなどがマーケティング分野で用いられる主な属性です。
デモグラフィック
デモグラフィーは人口統計学という意味であり、デモグラフィックは人口統計学的な属性と訳されます。
マーケティング分野では、必ずしも人口統計に関連する属性のみを指すものではなく、人を対象とする社会的・経済的な特質(未既婚、年収など)などもデモグラフィックに含められます。
デモグラフィックは、消費傾向や消費行動を左右する最も基本的な性質として、セグメンテーションやターゲティングを行う際の変数として用いられます。
デモグラフィック
- 性別
- 年齢
- 居住地域
- 未既婚
- 家族構成
- 職業
- 職種
- 役職
- 学歴 など
F1層(20〜34歳女性)、M3層(50歳以上男性)といった区分はデモグラフィック属性にもとづいたセグメンテーションです。
サイコグラフィック
人を対象とし、外形的に明らかな要素を基準とするデモグラフィックに対し、個人それぞれによって異なる、心理的・内面的な特性を基準とするのがサイコグラフィックです。
商品やサービスに対するニーズや嗜好は、個人の資質や経験・背景によって異なり、デモグラフィックだけでは括ることのできない価値観やライフスタイルといった要素がサイコグラフィックに分類されます。
サイコグラフィック
- パーソナリティ
- 価値観
- ライフスタイル
- 趣味
- 習慣
- 嗜好意見 など
「団塊の世代」や「Z世代」といった世代論は、デモグラフィックな要素だけでなく、サイコグラフィックな特性も含めて世代の特徴を一般化したものです。
ジオグラフィック
ジオグラフィックは地理的要素を変数とするものです。地理的な環境要因によって異なる、人の行動傾向に焦点を当てるケースに用いられ、エリアマーケティングで活用される属性です。
ジオグラフィック
- 緯度経度
- 国
- 気候
- 地域
- 都道府県市区町村
- 人口
- 人口密度
- 最寄り駅
- 最寄り駅からの距離
- 沿線
- 用途地域 など
属性の細分化
消費者や顧客を分析する際には、前にあげたデモグラフィック、サイコグラフィック、ジオグラフィックにもとづく属性をさらに細分化した物を変数として用います。
行動(ビヘイビアル)属性
行動属性は、消費者の認知行動プロセスのなかの行動の部分に焦点を当てたセグメンテーションであり、AIDMA、AISAS、SIPSなどの購買行動モデルのなかで、知識や情報の入手方法や具体的な購買行動の分類が行動属性にあたります。
行動(ビヘイビアル)
- 知識・情報の入手方法
- 検索購入・利用の経験・頻度
- ユニーク・リピート
- ヘビー・ライト
- 購入目的
- 支払金額
- 価格感度
- サイト滞在時間 など
興味関心属性
興味関心属性は、ターゲティング広告の分野でユーザーの個人的な興味・関心に合わせた広告を配信する際の具体的なテーマやトピックを分類するために用いられます。
Googleのパーソナライズ広告やFacebookの広告出稿の際の設定項目がこれにあたります。
嗜好や趣味、興味、関心の対象としてキーワードを挙げる形で分類を行います。
興味関心
- 投資
- 保険
- レストラン
- ダイエット
- 求人情報
- ヘアケア
- 音楽
- 家具 など
社会的属性
デモグラフィックのうち、婚姻、家族、組織やコミュニティとの関わり方など、個人と社会のつながりや関係性をあらわす項目が社会的属性に分類されます。社会的・経済的な面での相対的な水準や宗教・文化など、可処分所得やライフスタイルを大きく規定する要因と考えることができます。
社会的
- 世帯構成
- 配偶者と子供の有無
- 居住歴
- 地域活動・社会活動への参加
- 生活圏
- 就労時間や家事時間
- 世帯収入
- 従業上の地位
- 教育水準
- 社会階層
- 宗教文化 など
ライフスタイル属性
個人の消費行動は、性別や年代などのデモグラフィックな要素に、個人の資質と経験により形成されるサイコグラフィックな要素が加わった上で複雑なパターンが生まれます。それらを総合して抽象化したものがライフスタイル属性です。
行動:Activities、態度:Attitudes、興味:Interests、意見:Opinions(AIOs)の傾向を抽象化してライフスタイルのタイプに分類します。
例えば、衝動買いをするか計画的な買い物をするか、流行を追い求めるか保守的な選択を好むかなどの質問項目を設定したアンケート調査を行い、クラスター分析などの統計処理の結果から「冒険型」「堅実型」といったラベリングを行います。
ライフスタイル
- 行動:Activities
- 態度:Attitudes
- 興味:Interests
- 意見:Opinions
身体的属性
身体的特徴や能力は個人の資質ですが、パーソナリティが内面から行動を規定するのに対し、身長や体重、視力などの身体的な要素は物理的な面での制約条件となります。
小売店舗やサービスのオペレーションを設計する際に必要となる属性情報であるほか、メガネなど特定の身体的特徴を持つ人に向けた商品アイテムのマーケティングに不可欠な情報です。
一方、指紋や虹彩などの生体属性は、個人情報としての属性であり認証が必要なサービスで利用されます。
身体的
- 身体的特徴(肌の色・身長・体重・外見・ヘアスタイルなど)
- 身体的能力(体力・視力など)
- 血液型指紋・虹彩(生体属性)など
健康属性
医療や保険などの分野で必要とされる属性情報です。また、健康意識に関わる高齢者向け商品やダイエット商品の商品開発やマーケティングで利用されます。
健康属性のなかの疾病・障害・アレルギーの有無、健康診断結果・診療記録などは要配慮個人情報に該当するため、アンケート調査でこれらの項目を聴取・記録の保管を行う際には注意が必要です。
健康
- 疾病・障害
- 慢性疾患
- アレルギー
- 健康状態
- 運動習慣
- 食生活
- 睡眠時間と質
- 喫煙・飲酒
- 健康診断受診状況
- 健康に関する知識 など
まとめ
ここまでに述べた属性の種類と要素は、セグメンテーションとターゲティングの変数として用いられ、定量調査を行う際の質問項目や選択肢を設定する際のキーワードになります。どんな属性要素が考えられるかは、業種や商品・サービスのジャンル、調査テーマによって異なります。
また、属性項目のなかには個人情報に位置づけられるものもあるため、調査で聴取する際には、個人情報の使用用途と管理方法について調査対象に説明を行う必要があります。