ユーザーの声を、もっと真ん中に。製品づくりを変えた総合家電メーカーのアンケート調査のリアル

“ユーザーの声を、もっと真ん中に。” 製品づくりを変えたアンケート調査のリアル

家電メーカーNK社では、従来のサポート窓口や口コミだけでは拾いきれない、日常使いの中で感じるリアルな声を集めるために、セルフ型アンケートツール「QiQUMO」を導入しました。

炊飯器・掃除機・冷蔵庫の3カテゴリで、それぞれの使い心地や改善ポイントを調査。これまで開発会議では見えてこなかった新しい視点や気づきが生まれ、実際の製品仕様に反映される結果となりました。本記事では、その調査の背景から具体的な活用まで、現場の率直な声とともにご紹介します。

会社紹介
NK社は、炊飯器や冷蔵庫、掃除機などの生活家電を幅広く手がける国内家電メーカーです。毎日の使いやすさと快適さを第一にという思いで、生活の中で自然に溶け込む製品づくりを追求しています。近年は、ユーザーの“ちょっとした声”に着目し、それを着実に製品に反映していく開発スタイルにシフトしています。

肌感覚だけでは見えなかったこと

ーーWEBアンケート調査を実施しようと考えた背景について教えてください。

開発においてユーザーの声は欠かせませんが、これまでは問い合わせ窓口やレビューサイトの声、販売現場からのヒアリングに頼ることが多く、どうしても情報が偏ってしまっていました。

特に、満足した人よりも不満を持った人の声の方が表に出やすく、“本当の意味での平均的な使い方”や“小さな困りごと”はなかなか見えてこなかったんです。

現場でも、自分たちで製品を試したり、店頭に立ってお客様の話を聞いたりはしています。でも、やはり「肌感覚」だけではカバーしきれない。もっと広く、もっと静かな声に耳を傾けたい。そう思っていたときに、QiQUMOを紹介していただき、やってみようと思いました。

炊飯器・掃除機・冷蔵庫。3製品で見えたこと

ーーQiQUMOをどのように活用されたのか、具体的に教えてください。

まず炊飯器の調査では、直近1年以内に使用している20代〜60代以上の男女300人に、炊き上がりの質や保温モードの使い勝手、操作パネルの分かりやすさなど、20問を設定して聞きました。「炊き上がりは満足」という声は多かったものの、保温後のご飯のパサつきや、年齢層によっては表示が見づらいといった声もありました。

炊飯器のアンケート調査

対象:20代以上の男女300名
設問数:20問

掃除機の調査では、コードレス機を使っている200人を対象に、「片手で持ち運べるか」「吸引力の満足度」「連続使用時間への評価」など17問を設計。吸引力に対する満足度は高かったのですが、「長時間使うと腕が疲れる」「軽いほうがいい」という声が全体の半数以上にのぼりました。これが、軽量モデル開発のひとつの後押しになりました。

掃除機のアンケート調査

対象:コードレス機を使っている200人
設問数:17問
※事前スクリーニングでコードレス掃除機を利用している200名を抽出

冷蔵庫については、単身・2人暮らし・3人以上のご家庭ごとにニーズが違うと考え、計250人に22問の設問を投げかけました。特に「野菜室の出し入れのしづらさ」や「奥の食材が埋もれてしまう」といった声が多く、冷蔵室の棚の高さや奥行きを見直す検討がスタートしました。

冷蔵庫のアンケート調査

対象:単身者250名、2人暮らし家族250名、3人以上の家庭250名
設問数:22問
※設問1で家族構成を聴取、2人暮らし、3人以上の回答をした人を1名として(家族単位)実施

データが迷いを断ち切ってくれた

ーーアンケート結果は、どのように製品改善に活用されたのでしょうか?

アンケートの数値や自由記述を見て感じたのは、「これで自信を持って方針を決められる」という安心感でした。開発会議でも、「たしかに営業の現場ではこう言われているけど、データで見ると半数以上のユーザーはむしろこう感じている」といった、議論の質が変わった実感があります。

たとえば掃除機。これまで私たちは“吸引力が命”と思い込んでいたのですが、実際のアンケートでは「そこまでの強さはいらない」「軽い方が使いやすい」という声がはっきりと出ていました。その結果、軽量タイプの設計に舵を切ることができました。

冷蔵庫のレイアウト変更のきっかけになったのも、アンケートの自由記述欄にあった「野菜室を開けるとき、腰を曲げるのがしんどい」という一言でした。こうした声は、数としては少なくても、開発の方向性を変えるきっかけになるものだと思っています。

早く・的確に“欲しい声”が集まる強み

ーーQiQUMOを利用して感じたメリットを教えてください。

スピードと対象の精度、両方を妥協せずに実現できたことが、一番のメリットでした。今回のように製品別に絞り込みをかけながら、数日で数百件の回答が集まるスピード感には正直驚きました。

設問の設計も自分たちで簡単に操作できたので、「この表現、ちょっと分かりづらいかも?」と感じたら、すぐに見直して再配信することができました。調査って、設問のニュアンスひとつで回答の質が大きく変わるので、この自由度の高さは本当にありがたかったです。

集計もラクで、グラフやクロス集計のレポートが自動で出るのも、社内共有のスピードを早めてくれました。とにかく、やってよかったと思っています。

「あのとき使っていたら」と思うくらい

ーー最後に、QiQUMOをどんな企業におすすめしたいですか?

QiQUMOは、調査をきちんとやりたいけど時間も人手もない、そんな現場にぴったりだと思います。開発に関わっている人ならみんな、「もっとユーザーの声を取り入れたい」と思っているはず。でも、手間やコストを考えると後回しになりがちなんですよね。

私たちも、過去にいくつかの製品で「これ、もっと早くユーザーに聞けていれば違ったかも」と思ったことがあって…。そういう意味で、QiQUMOは“あとから気づいて後悔しないため”のツールでもあるのかなと思います。

特に、ユーザーの使い心地が売れ行きを左右する家電や日用品を扱う企業にとっては、自社目線では気づけないポイントを見つけるヒントになるはずです。「いいもの」だけじゃなく、「使ってよかった」と思ってもらえるものをつくるために、QiQUMOはこれからも頼れる存在になると思います。