スクリーニング調査とは|簡単解説
スクリーニング調査のカンタン語句解説
スクリーニング調査とは、本調査を実施する前に行われる事前調査です。条件を満たす対象者を絞り込む目的で行われます。
スクリーニング調査の概要説明
スクリーニング(screening)とは、「審査」「選考」「ふるい分け」という意味です。スクリーニング調査を行ってから本調査を行うと、調査の精度を高められます。
たとえば、「30代」「年収500万円以上」「独身」の条件を満たす女性を本調査の調査対象としたい場合は、スクリーニング調査で一般女性の中からその条件を満たす対象者を絞り込みます。
スクリーニング調査で得られることと注意点
スクリーニング調査を行うと、本調査の質の向上につながります。その一方で、アンケートの離脱者が現れる可能性もあるため注意しましょう。
得られること:本調査の質が向上する
スクリーニング調査を行うと、条件に合った対象者にのみ本調査を行えるため、本調査の質が向上します。
たとえば、30代女性をターゲットとしているアパレルブランドがアンケート調査を実施する場合、男性や10代の女性などに調査を行っても意味がありません。
この場合は、「30代女性」に該当する対象者をあらかじめ絞ったうえで調査を行ったほうが、調査結果の精度が高まります。
注意点:アンケートの離脱者が現れる可能性がある
スクリーニング調査で絞り出された対象者は、本調査と合わせて2回アンケートに回答することとなります。
調査対象者の中には、1回目はアンケートに回答したものの、2回目のアンケートは面倒に感じて離脱してしまう方もいるでしょう。
分析に十分な数のサンプルが集まらなかった場合、再度スクリーニング調査から実施する必要があり、手間とコストがかかる可能性があります。
スクリーニング調査のポイント
スクリーニング調査を実施する際は、以下のポイントを押さえましょう。
1.本調査の目的がわかるような質問は避ける
スクリーニング調査で本調査の目的がわかるような質問をしてしまうと、謝礼目的で事実とは異なる回答をする回答者が増加してしまう可能性があります。
本調査の目的がわかるような質問とは、たとえば以下のようなものです。
あなたは最近サプリメントをオンラインショップで購入しましたか? | はい | いいえ |
あなたは広告代理店に勤めていますか? | はい | いいえ |
通勤では電車を利用していますか? | はい | いいえ |
設問を作成する際には、「次の選択肢から選択してください(複数回答可)」とすることで、自然と本調査の対象者を絞り込めます。
2.必要な質問だけを設置する
スクリーニング調査では、本調査の対象者を絞り込むという目的以外の質問の設置は避けましょう。質問数が増えすぎてしまうと、回答者に負荷がかかって離脱率や不正な回答が増加してしまう可能性があります。
3.本調査の対象者を抽出できるような質問を設定する
スクリーニング調査では、できるだけ少ない質問数で本調査の対象者を正しく抽出できるように工夫する必要があります。そのため、スクリーニング調査を実施する前には、本調査の対象となる条件を明確に設定しましょう。
4.十分なサンプル数を確保できるようにする
先述のとおり、分析に十分な数のサンプルが集まらなかった場合は、再度スクリーニング調査から行わなければならない可能性があります。
そのため、必要なサンプル数をあらかじめ決めておき、スクリーニング調査を行う際は本調査の目標サンプル数を集められるように質問を設置することが重要です。
目標サンプルサイズを集めるポイントは、回答率と出現率です。
回答率とは、アンケートを実施して回答を回収できた割合のことです。たとえば、1,000人に調査を行い600人から回答を得られた場合は、回答率60%となります。
出現率とは、スクリーニング調査を実施した際に条件に合致する人が現れる割合のことです。たとえば1,000人にスクリーニング調査を行い、400人が条件に合致する場合、出現率40%となります。なお、出現率は対象条件が細かいほど低くなる傾向があります。
回収率と出現率のバランスが取れていないと、本調査に必要なサンプル数が足りなくなってしまう可能性があるため注意が必要です。
なお、スクリーニング調査の必要回収サンプルは以下の計算式で求めることができます。
スクリーニングの必要サンプルサイズ = 本調査の目標サンプルサイズ ÷ 本調査回答率 ÷ 出現率
本調査の目標サンプルサイズ500、本調査回答率60%、出現率40%の場合、スクリーニング調査の回収サンプルサイズは、「500÷60%÷40%=2,083」です。
スクリーニング調査のまとめ
スクリーニング調査の語句解説を行ないましたが、最後におさらいです。
スクリーニング調査は、本調査の前に実施する調査のこと。事前調査の位置付けであり、本調査の精度を高めるために、あらかじめ必要な対象者を抽出するために実施されます。
一番のポイントは、調査したかった対象者によるサンプル数を必要量集めるためにも、本調査の目的が伝わってしまう質問は避けて、対象を絞り込むために必要な項目を検討することです。