循環社会に関する地域と都市の意識ギャップ|CtoCマーケットプレイスのQiQUMO利用事例

WEBアンケートで、地域に根ざした“モノとスキル”の循環を可視化|CtoCマーケットプレイスが見出した「地域と都市の意識ギャップ」

地域の中でモノやスキルを循環させるCtoCマーケットプレイスを運営するMC社。同社は「eco」「LOHAS」といった価値観を軸に、地域課題の解決と共助の輪づくりを目指しています。

しかし、理念やビジョンだけでは社会的意義を十分に伝えきれず、「データをもとに共感を広げたい」という思いが広報チームの中で高まっていました。そこで活用されたのが、セルフ型アンケートツール『QiQUMO』です。

全国1,200名を対象に実施した調査を通じて、都市と地方で異なる“助け合いのかたち”が浮き彫りになりました。調査結果をもとにしたプレスリリースは、地方新聞やWebメディアなど10媒体以上で掲載され、広報施策としても大きな成果につながりました。

本記事では、MC社がQiQUMOを用いてどのように調査を設計し、データを発信力に変えたのか。その背景と成果をご紹介します。

理念を“データで伝える”という挑戦

MC社が展開するサービスは、単なるリユースやフリマではありません。料理・DIY・子育て支援など、人の“得意(スキル)”を地域の中で分かち合うことで、モノとスキルの循環を生み出すCtoCマーケットプレイスです。

「共感は得られても、社会的な意義を“数字で”伝えるのは難しかったんです。QiQUMOを使えば、地域で起きている変化を定量的に可視化できると考えました」(MC社 広報担当)

SNSでの反応は一定あるものの、「地域の中でどのような助け合いが生まれているのか」をデータで語る材料は不足していました。そこで同社は、理念を裏づける“現実の数字”を可視化するため、QiQUMOを活用した自主調査を実施しました。

調査設計:都市と地方の「助け合い構造」を比較

調査テーマは「地域における“モノとスキル”のシェア意識・行動の実態(都市×地方比較)」。都市ではデジタルでの関わりが中心、地方ではリアルな交流が根強い。その違いをデータで明らかにし、今後のサービス改善や広報活動に生かすことが狙いでした。

調査概要

調査テーマ:地域における“モノとスキル”のシェア意識・行動の実態(都市×地方比較)
調査対象:全国の20〜60代男女 1,200名
地域区分:都市部(東京・神奈川・千葉・埼玉・大阪・愛知・福岡)600名/地方部(その他地域)600名
調査期間:2025年6月10日〜6月14日
調査方法:インターネット調査(QiQUMO)

設問設計:“モノ”と“スキル”、さらに“きっかけ”と“信頼”まで掘り下げる

調査は、行動実態と意識の両面を測るよう構成。単に「何をしているか」だけでなく、「なぜ(またはなぜしないか)」「どのような関係性を求めるか」に踏み込みました。

設問内容(抜粋)

【単一選択】あなたは普段、地域や周囲とのつながりをどの程度意識していますか?

  • とても意識している
  • 意識している
  • あまり意識していない
  • まったく意識していない

【複数選択】次のうち、あなたが行っている・または今後やってみたい活動をすべてお選びください。

  • 不要品・リユース品の譲渡や販売
  • ご近所とのおすそ分け・貸し借り
  • 自分のスキル(料理・DIY・IT・語学など)を地域で活かす
  • 地域イベントやワークショップへの参加
  • 地産品の購入や地域事業者の支援
  • 地域の人とオンラインでつながる活動

以下の点について、最も当てはまる回答を選んでください。

『地域の人に教えたり助けたりするのはやりがいがある』

  • まったく、やりがいを感じない
  • あまり、やりがいを感じない
  • どちらでもない
  • やりがいを感じる
  • とても、やりがいを感じる

【自由記述】あなたが「地域でできたらいいな」と思う活動や交流の場を教えてください。

「“スキルを教えることに抵抗があるか”という質問には意外な反応がありました。助け合いたい気持ちはあるけれど、“迷惑になるかも”と感じる人も多い。そこが都市と地方の分かれ目だと感じます」(MC社 広報担当)

調査結果:地域ごとに異なる“助け合いの温度差”

1. 地域とのつながりを意識する人は約7割

全体の68.9%が「地域とのつながりを意識している」と回答。地方では42.3%が「非常に意識している」と答え、都市部(30.1%)を上回りました。

地方では「ご近所づきあい」「地域行事」「おすそ分け」といった日常の延長線上の交流が定着している一方、都市では「関心はあるが接点がない」が約4割。

2. “モノの循環”は地方、“スキルの共有”は都市で関心が高い

モノの譲渡・リユースの実践率は地方で33.2%、都市で19.4%。一方、「スキルを活かした活動」への関心は都市で54.8%、地方で39.6%。

特に20〜30代の都市部居住者では、「オンラインで誰かに教える活動」への関心が63.1%に達しました。

「都市では“モノを持たない暮らし”が進む一方で、スキルの共有が人との関わりの入口になっていると感じます」(MC社 広報担当)

3. “信頼のハードル”が地域循環を左右

「スキルを共有する仕組みがあれば参加したい」は全体の62.7%。しかし「他人に教えるのは気が引ける」と答えた人も**37.5%に上りました。この“心理的ハードル”は都市より地方で高く、「迷惑をかけたくない」「人の目が気になる」**といった声が自由記述に多く寄せられました。

4. 行動を妨げるのは“情報不足”と“きっかけの欠如”

地域活動に参加しない理由は、「どんな活動があるかわからない」(48.3%)、「時間が合わない」(42.5%)、「声をかける相手がいない」(31.6%)。

都市部では「活動情報が届かない」、地方では「役割が固定されていて入りづらい」という声も。「関心はあるのに動けない」というギャップが共通して浮かびました。

広報活用:社会課題を“データで語る”ストーリーへ

MC社は、地域と都市の“モノとスキル”循環意識に関する調査結果を発表。「地方はリアル、都市はデジタル」という構造の対比がわかりやすく、地方新聞や経済Webメディアを中心に10媒体以上で掲載されました。

SNS上では「地域の助け合いが数字で見えるのが面白い」「スキルシェアが次の地域交流になる」といった声が拡散。リリース公開翌週には、サービスサイトの訪問者数が約1.8倍に増加しました。

「理念を語るだけでなく、社会の現実をデータで伝える発信に変えられたのが大きな成果でした。QiQUMOはスピード感があり、広報の現場でも扱いやすかったです」(MC社 広報担当)

社内活用と今後の展開

調査結果は広報だけでなく、開発・営業チームにも共有。営業部門では自治体連携提案の資料にデータを引用し、開発部門では「スキルシェア」機能のUI改善を検討。“理念ではなくデータで語る”文化が社内に浸透し始めています。

「データがあることで、議論が感覚論ではなく“共通の言葉”で進むようになりました」(MC社 広報担当)

今後は、QiQUMOを活用して地域ごとの定点調査を継続。地域団体や行政との連携により、「地域スキル循環マップ」の構築を目指しています。

まとめ:データが“理念を社会に届ける言葉”になる

MC社のQiQUMO活用は、単なるアンケートではなく、理念を社会に伝えるためのデータ発信でした。「モノを譲る」「スキルを貸す」「人を助ける」——そうした小さな行動を数字として可視化することで、地域に根ざした共助のかたちがより明確に浮かび上がっています。

QiQUMOは、こうした社会性を伝えるデータづくりを支えるツールとして、今後も多様な現場での活用が期待されています。