BtoB物流企業でQiQUMOを活用 ドライバー満足度と労働環境改善調査で“職種別課題”を可視化した事例

物流業界、特にBtoBを支えるトラックドライバーや倉庫スタッフの確保は、企業経営において喫緊の課題です。長引く人手不足の中で、従業員満足度(ES)を把握し、労働環境の改善を通じて離職率を低減することは、企業の競争力を維持するために不可欠な取り組みです。
この課題に対し、大手BtoB物流企業であるL社では、職種ごとの満足度や残業実態を定量的に把握するため、セルフ型アンケートツール「QiQUMO(キクモ)」を導入しました。現場で働く従業員の"生の声"をリアルタイムで収集し、労働環境改善の具体的な施策立案に活用されています。
本記事では、L社がどのようにQiQUMOを活用し、職種別の課題を可視化して改善に繋げたのか、その具体的な事例をご紹介しましょう。
職種ごとの"体感差"を埋める──調査実施の背景
L社がQiQUMOの導入を決めたのは、長距離ドライバー、近距離ドライバー、倉庫スタッフといった職種間で、労働環境や満足度に大きな乖離があると感じていたためです。全社一律の施策では、現場のニーズに応えきれない、という明確な課題を抱えていました。
従来、情報源は支店長や管理職からのヒアリングが中心で、従業員が抱える切実な問題点や本音の満足度を把握するのは困難でした。
「労働時間の適切さ」「給与水準」「休憩スペースの快適さ」など、多岐にわたる労働環境因子について、職種ごとにどのような不満があるのかを定量的に把握し、離職率低減に直結する施策を打ちたい。こうした強い目的意識から、匿名性の高いQiQUMOでのWEBアンケート実施がスタートしました。
設問構成と配信方法──「職種特定×多角的評価」で課題を深掘り
L社では、社内イントラネットや現場休憩室のタブレット端末を通じてQiQUMOのアンケートを従業員に周知・配信しました。全従業員が回答できるように設計された主な設問構成は以下の通りです。
主な設問内容(抜粋)
【単一選択】 あなたの勤務形態を教えてください
- 長距離ドライバー
- 近距離ドライバー
- 倉庫スタッフ
- 事務スタッフ

【マトリクス】 以下の項目について、現在の満足度をお聞かせください
(評価:1=非常に不満 〜 5=非常に満足)
- 労働時間の適切さ
- 給与水準への満足度
- 休憩スペースの快適さ
- 教育研修の充実度

【数値入力】 1ヶ月あたりの残業時間(時間単位)を入力してください

【自由入力】 改善してほしい労働環境や福利厚生についてご意見があればご記入ください

収集データで"残業実態"と"職種別ボトルネック"を明確に
QiQUMOによって集まった回答からは、大手BtoB物流企業であるL社がこれまで漠然と認識していた課題が、数値と要望という形で明確に可視化されました。
主な調査結果(抜粋)
- 平均満足度(全体): 3.3点
- 職種別課題:
- 長距離ドライバー: 「労働時間の適切さ」の満足度が全職種で最も低い(平均2.5点)。残業時間の平均は月55時間と突出。
- 倉庫スタッフ: 「給与水準への満足度」が全職種で最も低い(平均2.0点)。「休憩スペースの快適さ」の不満も高い。
- 事務スタッフ: 全体満足度は高いものの、「教育研修の充実度」への不満が目立つ。
- 自由回答の代表的要望(具体例):
- 「長距離運行後の休息時間が、正直言って短すぎる。睡眠の質を確保したい」(長距離ドライバー)
- 「倉庫は夏場暑すぎる。休憩室に冷房と自販機を置いてほしい」(倉庫スタッフ)
- 「残業時間が多い支店と少ない支店で差がありすぎる。人員配置を見直してほしい」
- 「評価制度が不透明。何をすれば昇給するのかわからない」(給与満足度が低い層から)
これらの結果から、大手物流L社は、「長距離ドライバーの長時間労働の是正」と「倉庫スタッフの待遇・環境改善」が、離職防止の最優先課題であることをデータで確認しました。また、職種を問わず評価制度の透明性を求めているという回答結果。支店による残業時間のバラつきと合わせて、透明性や平等性に関心が高いことがわかりました。
QiQUMOの活用ポイント──離職率低減に直結する施策立案を支援
L社がQiQUMOを導入して特に効果を実感されたポイントは以下の3点です。
① 職種別課題の"優先順位付け"をデータで実現
マトリクス設問により、職種・項目ごとの満足度を即座に比較。長距離ドライバーの「労働時間の適切さ」と倉庫スタッフの「給与水準」が圧倒的に低いことが判明したため、この2点に予算とリソースを集中投下する意思決定を速やかに行うことができました。
② リアルな"残業実態"把握でシフト改善の根拠に
数値入力で回答された「1ヶ月あたりの残業時間」データは、労働基準法遵守の観点からも重要なデータとなりました。特に残業が集中する特定の支店や部門を特定できたため、より公平なシフト組みや人員配置の見直しの根拠データとして活用できています。
③ 離職予備軍への"個別アプローチ"を支援
自動レポート機能を利用し、全項目で「満足度1〜2」と回答した従業員(離職予備軍)を匿名で特定。この層が多く存在する部署や職種に対し、重点的に管理職との面談を実施したり、福利厚生プラン(例:仮眠室の整備、食事補助)の見直しを行ったりと、ターゲットを絞った効果的な離職防止策に反映することが可能になりました。
今後の活用──従業員の声が経営判断の軸に
L社では、今回の調査結果に基づき、長距離ドライバーの勤務間インターバル確保に向けたシステム導入や、倉庫休憩室のリニューアルを順次進めることで社内のコンセンサスが得られているとのこと。
アンケートの有用性が確認できたことで、今後は、新規採用された従業員の定着率調査など、他の人事課題に対してもQiQUMOを活用し、従業員の声が経営判断の軸となる仕組みを定着させていく構えです。
QiQUMOによる労働環境改善調査で実現する、持続可能なBtoB物流企業運営
大手BtoB物流企業のL社は、QiQUMOを導入することで、職種間、項目間で異なっていた従業員の満足度と残業実態を定量的に把握し、離職率低減に直結する施策を迅速に立案できました。
匿名性を担保しつつ、現場の"生の声"を収集・可視化するQiQUMOは、人材確保が難しくなっている物流業界において、持続可能な労働環境構築を実現するための強力なツールとなるでしょう。
- 職種別課題の特定: 勤務形態の設問とマトリクス評価を組み合わせ、職種ごとのボトルネック(例:労働時間、給与、環境)を明確に抽出します。
- 残業実態の正確な把握: 数値入力で現場の残業実態を把握し、残業抑制策やシフト改善の客観的な根拠データを提供できます。
- 離職防止の効率化: 満足度の低い層を自動レポートで抽出し、限られたリソースの中で、重点的な面談や福利厚生見直しに繋げることが可能です。
もし貴社でも「ドライバーや現場スタッフの満足度を正確に把握したい」「職種間の不満を可視化して離職率を下げたい」とお考えでしたら、ぜひQiQUMOの導入をご検討ください。従業員満足度向上への投資は、必ずや持続可能な企業成長へと繋がるはずです。

