CEP(カテゴリーエントリーポイント)は、購買者が商品を買う・使うと考える場面で、ブランドを記憶から呼び起こす手がかりのことです。より多くの場面と結びついたブランドほど購買時に思い浮かびやすく、メンタルアベイラビリティが高い状態にあると考えられます。
自社ブランドがどの場面で選ばれ、どの場面で競合に後れを取っているかを数値で把握すれば、広告で描く場面や、販促・店頭で打ち出す訴求軸を決める判断材料とすることができます。 本記事では、CEP調査の設計と調査票の作成、CEPの具体的な指標となるMMS・MPen・NSの3指標を算出する手順、場面ごとの強みと弱みの読み方について解説します。
消費者が何かを購入する場面において、直面する状況に応じて記憶から候補を検索し、想起されたブランドを最初の購入検討候補とします。
メンタルアベイラビリティは、購買場面において特定ブランドが想起されやすい状態のことを指します。多くの購買者の記憶の中で、より多様なCEPと結びついているブランドほど、この値は高くなります。
一方、フィジカルアベイラビリティは、購買者がブランドを容易に発見・購入できる状態を指します。具体的には以下の3要素で構成されます。
記憶から想起されても店頭に在庫がなければ代替ブランドへ流出し、逆に棚を占有していても購買文脈で想起されなければ選択肢にすら入りません。双方のアベイラビリティが成り立つ場面で購買行動が発生します。
アンケート形式のCEP調査が直接測定するのは、メンタルアベイラビリティの側です。フィジカルアベイラビリティについては、購入場所や購入時の障壁を別途質問し、流通データや店頭調査の数値と突き合わせて検証します。
CEPの測定と一般的なブランド認知率調査との相違点は、想起の文脈を指定するかどうかです。
従来の認知率調査が文脈を問わず「知っているか」を網羅的に尋ねるのに対し、CEP調査は特定の利用場面を提示した上で想起されるブランドを測定します。
そのため、全体の知名度が高い大手ブランドであっても、特定の場面では想起されないといったケースも生じます。
CEPの概念体系やブランド・エクイティとの関係は、ブランド・エクイティを把握してカテゴリーエントリーポイント(CEP)の幅を広げるを参照してください。
CEPと2つのアベイラビリティで確認する内容
|
観点 |
意味 |
調査で確認する内容 |
主なデータ |
|---|---|---|---|
|
CEP |
商品を買う・使うと考える場面や動機 |
どの場面がどれくらい起きているか |
アンケート(場面の経験) |
|
メンタルアベイラビリティ |
購買場面でブランドが思い浮かびやすい状態 |
CEPごとに結びつくブランド |
アンケート(CEPとブランドの結びつき) |
|
フィジカルアベイラビリティ |
ブランドを見つけて買いやすい状態 ・購入場所にある (流通網) ・見つけやすい (視認性) ・品ぞろえ (適切なSKU) |
購入場所にある: 購入場所、取り扱いがなく買えなかった経験 見つけやすい: 売り場やECで見つからなかった経験 品ぞろえ: 希望する種類や容量がなかった経験 |
購入場所にある: アンケート、流通データ 見つけやすい: アンケート、売り場の調査 品ぞろえ: アンケート、販売データ |
CEP調査では、回答者が各CEPに対して選択したブランドを「場面とブランドの結びつき」として集計します。
回答者1名が1つのCEPで1つのブランドを選択した状態を1件と定義するため、同一回答者が3つのCEPで同じブランドを選択した場合は3件と計上されます。
この結びつきの総数および該当人数を基に算出するのが、次の3つの指標です。
これら3指標は自社の結びつき総数を媒介として相互に連動します。「自社と結びついた人数」に「NS」を乗じた積は、自社の結びつき総数と一致します。
結びつき総数が拮抗しているブランド同士であっても、MPenとNSに分解して評価することで、多くの人に浅く想起されているのか、あるいは限られた層に多文脈で深く想起されているのかという構造的な違いを把握できます。
MMSの解釈にあたっては、POSデータ等に基づく売上シェアとの混同を避けます。MMSの分母はあくまで調査で設計された指定ブランド群の想起総数であり、測定枠組みの内部における相対比率を示します。
これら3指標が捉えるのはメンタルアベイラビリティに限定されるため、フィジカルアベイラビリティの検証には別途、購入接点や店頭状況を追跡する設問設計が必要です。
CEP調査の設計段階では、調査票を作成する前に「調査目的」「比較対象ブランド」「対象者条件」「CEP候補」の4要素を確定させます。
これらの定義が変わると算出される3指標(MPen、NS、MMS)の数値も連動して変動するため、前提条件を固定しておく必要があります。
調査目的は、調査結果に基づいてどのような意思決定を行うかという観点から逆算して定めます。
主な決定事項には以下が挙げられます。
意思決定の内容に応じて、選定すべきCEPの粒度や比較対象となる競合ブランド群が決まります。
比較対象には、購買者が実際の購買行動において代替候補として検討する競合ブランドを選定します。
MMSは調査内に提示した全ブランドの想起総数を分母として算出するため、選定したブランド群の顔ぶれが変われば自社のシェア値も変動します。
時系列で数値を追跡する場合は、毎回同一のブランドリストを提示して測定条件を統一する必要があります。
調査対象者は、自社ブランドの利用者に限定せず、カテゴリー全体の購買者から抽出します。
自社利用者のみに絞り込んだ場合、自社ブランドとの接点を持たない層が標本から排除され、MPenが見かけ上高く偏るリスクがあるためです。
競合利用者を含む母集団を設定することで、自社ブランドが未だリーチしていない層における連想の欠落状況まで正確に把握できます。
抽出条件は、「過去3か月以内に当該カテゴリーの商品を自身で購入した者」のように、直近の期間と能動的な購買行動を組み合わせて定義するのが一般的です。
サンプルサイズについては、比較対象とするブランド数、分析でクロス集計を行う属性層(年代・性別など)の細分度、要求される統計的精度に基づいて算出します。
CEP候補は、購買者の声から集めるのが出発点です。購入や使用のきっかけを尋ねる自由回答、購入者へのインタビュー、販売現場の担当者からの聞き取りが主な情報源になります。
社内で想定した場面だけで候補を作った場合、購買者にとって身近な場面が抜けやすい点に注意してください。
集めた場面を7つの観点で分類すると、偏りや抜けを確認しやすくなります。
CEP候補を分類する7つの観点
|
観点 |
問いの例 |
|---|---|
|
いつ(When) |
どの時間帯、曜日、季節に購入・使用するか |
|
どこで(Where) |
どのような場所や空間で使用するか |
|
何をしながら(While) |
どのような行動の前・最中・後に利用するか |
|
何と一緒に(with What) |
どんな商品と組み合わせて使うか |
|
なぜ(Why) |
どんな目的や理由で買う・使うか |
|
どんな気分で(hoW feeling) |
使う前にどんな気分か、使った後にどんな気分になりたいか |
|
誰と・誰のために(with/for Whom) |
誰と一緒に使うか、誰のために買うか |
分類後、意味的に重複する文脈を統合・集約し、調査票に投入する候補項目を絞り込みます。
CEPの記述表現(ワーディング)は、回答者が自己の経験に照らし合わせて迷わず判定できる具体性に整えます。作成における基準は以下の3点です。
提示するCEPの項目数に決まった基準はありません。マトリクス形式で「CEPの数 × ブランドの数」を回答してもらうため、項目を増やしすぎると回答者の負担が重くなります。
そのため、調査票の段階で無理に網羅しようとせず、集計後のデータ分析を通して重点的に扱う場面を絞り込んでいく進め方が現実的です。
設定した目的・対象者・CEP候補を踏まえ、具体的な設問形式へ展開する作成手順について説明します。入浴剤ブランドの想定事例を用い、設問構成の背景から配信前に行う点検項目まで順を追って確認していきます。
調査票の作成から集計値の算出までのプロセスを入浴剤ブランドAを例に説明します 。
ブランドAの担当者が、次期広告コミュニケーションで描写すべき入浴場面を特定するためにCEP調査を実施するというケースを想定します。
比較対象には、自社Aおよび競合のB・Cの計3ブランドを設定します 。各ブランドのポジショニングと商品特性は以下の通りです。
対象者のスクリーニング条件は「過去3か月以内に自身で入浴剤を購入した者」と定義します。
提示するCEP候補は、購入者の定性データから7つの観点で整理した6項目を設定します。
調査票は、対象者条件の判定から購入環境の追跡まで、全6問で構成します。
調査票の構成例
|
設問 |
尋ねる内容 |
回答形式 |
分析での使い道 |
|
Q1 対象者の確認 |
過去3か月以内に入浴剤を自分で購入したか |
単一選択 |
対象者の条件をそろえる |
|
Q2 ブランドの純粋想起(任意) |
入浴剤のブランドとして思い浮かぶもの |
自由入力 |
ブランド一覧を見せない状態での想起を把握する |
|
Q3 場面の経験 |
過去1か月に、6つの場面で入浴したことがあるか |
マトリクス(単一選択) |
場面の起こりやすさ(経験率)を把握する |
|
Q4 CEPとブランドの結びつき |
6つの場面で思い浮かぶブランド |
マトリクス(複数選択) |
3指標とCEP別の結果を算出する |
|
Q5 ブランドの認知・購入経験 |
3ブランドの認知と購入経験 |
マトリクス(単一選択) |
ブランドと結びつきがない人の内訳を確認する |
|
Q6 購入環境 |
購入場所、売り場で見つからなかった経験など |
単一選択、複数選択 |
売り場の課題を確認する |
各設問の出力データを分析工程のどの変数に紐づけるかを事前に定義しておくことで、集計段階における変数不足を防ぎます。
Q5で尋ねる認知や購入経験の設問は、ブランド認知・利用実態把握調査の作り方とブランド認知・利用実態把握調査の作り方、3つのポイントで詳しく解説しています。
Q4は、メンタルアベイラビリティの3指標を算出するための中心設問です。
行に6つのCEP、列に3ブランドおよび排他選択肢である「あてはまるブランドはない」を配置したマトリクス形式で測定します。
Q4の設問文の例
|
次のような場面で入浴剤を使うとしたら、思い浮かぶブランドをすべて選んでください。思い浮かぶブランドがない場合は、「あてはまるブランドはない」を選んでください。 |
1つの場面で選べるブランドの数に上限はありません。「あてはまるブランドはない」は、ほかのブランドと同時に選べない設定にします。
Q4の結果は、ブランドの一覧を見たうえで判断してもらった値です。一覧を見せずに思い浮かぶブランドを書いてもらう純粋想起とは、測っている内容が異なります。
純粋想起も知りたい場合は、Q2のように一覧を見せる前の位置に自由入力の設問を置きます。Q4の後に尋ねると、直前に見たブランド名が回答に影響するためです。
ブランドの呼び方は、Q3からQ5まで同じ表記にそろえます。
調査配信に先立ち、次の4点について検証を行います 。
これら点検の完了後に対象者への配信を行い、回収データの集計・加工フェーズへ移行します 。
MMS・MPen・NSの3指標の計算に必要なのは、ブランドごとの結びつき総数と、1つ以上のCEPでブランドと結びついている人数の2つです。
3指標の算出は回答者単位のデータ(ローデータ)から2つの数値を取り出して求められます。
ケースの回答者数は、計算を追いやすいように100人としています。
Q4の回答は、各CEPでブランドが選ばれた場合を1、選ばれなかった場合を0とします。「あてはまるブランドはない」を選んだCEPは、3ブランドとも0として扱います。
続いて求めるのが、ブランドごとに6つのCEPの値を合計した、回答者ごとの選択CEP数です。
加工後の回答データ(100人のうち5人分)
|
回答者ID |
A:CEP1 |
A:CEP2 |
A:CEP3 |
A:CEP4 |
A:CEP5 |
A:CEP6 |
A選択数 |
B選択数 |
C選択数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
|
R013 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
6 |
0 |
1 |
|
R014 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
2 |
|
R015 |
1 |
0 |
1 |
0 |
0 |
1 |
3 |
0 |
0 |
|
R016 |
1 |
0 |
1 |
0 |
0 |
1 |
3 |
1 |
0 |
|
R017 |
0 |
0 |
1 |
0 |
0 |
1 |
2 |
0 |
2 |
たとえばR015はCEP1・CEP3・CEP6の3つでAを選んでおり、Aの選択CEP数は3になります。B・Cの選択CEP数も、同じ方法で6つの値を合計した数です。
未回答や表示されなかった項目は、選ばなかった0と区別して記録してください。
3指標の算出には、ローデータ(4-1で算出した回答者ごとの選択CEP数)からブランド別の結びつき総数と人数の数値を求めます。
Excelでは、前者をSUM関数、後者をCOUNTIF関数で処理できます。Aの選択CEP数がT列の2〜101行目にある場合の計算式は次の通りです。
「結びつき総数」と「1つ以上結びついている人数」
|
項目 |
内訳 |
計算式 |
|
結びつき総数 |
100人分の選択CEP数を合計した値 |
=SUM(T2:T101) |
|
1つ以上結びついている人数 |
選択CEP数が1以上の回答者数 |
=COUNTIF(T2:T101,">=1") |
2つの数値の違いは、選択CEP数ごとに人数を数えるとわかりやすくなります。
選択CEP数ごとの人数(回答者100人)
|
選択CEP数 |
A |
B |
C |
|---|---|---|---|
|
0(結びつきなし) |
60 |
40 |
20 |
|
1 |
6 |
24 |
29 |
|
2 |
10 |
18 |
28 |
|
3 |
11 |
12 |
17 |
|
4 |
6 |
6 |
6 |
|
5 |
5 |
0 |
0 |
|
6 |
2 |
0 |
0 |
|
合計(回答者数) |
100 |
100 |
100 |
|
1つ以上結びついている人数 |
40人 |
60人 |
80人 |
|
結びつき総数 |
120件 |
120件 |
160件 |
Aの場合、1つ以上結びついている人数は、選択CEP数が0の60人を除いた40人です。
結びつき総数は「選択CEP数×人数」の合計で、1×6+2×10+3×11+4×6+5×5+6×2=120件になります。B・Cも同じ方法で求められます。
CEP別集計
|
CEP |
A |
B |
C |
CEP計 |
|---|---|---|---|---|
|
CEP1 |
24 |
30 |
35 |
89 |
|
CEP2 |
12 |
38 |
30 |
80 |
|
CEP3 |
28 |
12 |
30 |
70 |
|
CEP4 |
10 |
18 |
25 |
53 |
|
CEP5 |
8 |
10 |
22 |
40 |
|
CEP6 |
38 |
12 |
18 |
68 |
|
ブランド計 |
120 |
120 |
160 |
400 |
上の表でブランドAの各CEPの数値を足すと120になります。しかし、この120は人数ではなく結びつき総数(延べ件数)を示します。
同一回答者が複数のCEPで同じブランドを選択している場合、CEPごとの人数を合算すると同一人物を重複して数えてしまうためです。重複を除いた実際の人数は40人にとどまります。
ブランド別の結びつき総数と人数がそろえば、3指標は割り算で求められます。ケースでは、全ブランドの結びつき総数が400件で、AとBが120件ずつ、Cが160件です。
ケースの3指標
|
ブランド |
結びつき総数 |
1つ以上結びつく人数 |
MMS |
MPen |
NS |
|---|---|---|---|---|---|
|
A |
120件 |
40人 |
30% |
40% |
3.0 |
|
B |
120件 |
60人 |
30% |
60% |
2.0 |
|
C |
160件 |
80人 |
40% |
80% |
2.0 |
Aの場合、MMSは120÷400×100で30%、MPenは40÷100×100で40%、NSは120÷40で3.0になります。
人数の列では、同じ回答者が複数のブランドに数えられるため、40 + 60 + 80=180人は、ブランド間の重複を含む延べ人数です。
分析の順序は、3指標によるブランド全体の把握が先で、CEP別の結果による場面ごとの検討が後です。
数値の高低だけで施策を決めず、認知や購入経験、商品の特徴と組み合わせて判断します。
AとBは、結びつき総数がどちらも120件で、MMSも同じ30%です。
一方、結びつきの内訳を見ると、Aは40人が平均3つの場面で、Bは60人が平均2つの場面でブランドと結びついています。
同じMMSを持つAとBの比較
ブランドAに着目し、「結びつきあり」の人数と「ブランド認知」の有無、Aの購入経験の数値をカウントした結果が以下の表です。
Aとの結びつきの有無別の認知・購入経験(回答者100人)
|
区分 |
人数 |
Aを知っている |
Aの購入経験あり |
|---|---|---|---|
|
Aと結びつきあり |
40人 |
40人 |
28人 |
|
Aと結びつきなし |
60人 |
31人 |
6人 |
Aと結びつきがない60人をQ5の回答で分けると、Aを知っている人が31人、知らない人が29人という内訳です。
Aを知っている31人には、購入経験がある6人も含まれます。ブランド名を知っていても、6つの場面のいずれでもAを思い浮かべない層が一定数いるという結果です。
名前を知っている層に向けては、入浴の場面とブランドを同時に見せる広告が検討の対象になります。
Aを知らない29人については、場面との結びつき以前に、広告の到達やブランドの見分けやすさを確かめる必要があります。
それに対し、Bの課題として考えられるのは、1人あたりの場面の少なさです。
CEP別の選択数を比べる際に注意したいのが、ブランドごとの結びつき総数の違いです。
結びつき総数が多いブランドは、全場面を通じて多く選ばれていますが、場面別の選択数では順位が逆転する場合もあります。
規模の差を除いて比べる方法が、実際の選択数と期待値の比較です。期待値は、ブランドの規模とCEPの選ばれやすさから見込まれる選択数で、次の手順で求めます。
CEP3を例に計算してみます。CEP3の結びつき総数は、A・B・Cの28件、12件、30件を合わせた70件です。
CEP3での計算例
|
ブランド |
ブランドの 結びつき総数 |
CEP3の 結びつき総数 |
全体の 結びつき総数 |
期待値 |
実際の 選択数 |
差 |
|---|---|---|---|---|---|---|
|
A |
120 |
70 |
400 |
120×70÷400=21.0 |
28 |
(28−21.0)÷100×100=+7.0 |
|
C |
160 |
70 |
400 |
160×70÷400=28.0 |
30 |
(30−28.0)÷100×100=+2.0 |
CEP3では、Cの選択数30人がAの28人を上回ります。ところが期待値との差はAが+7.0ポイント、Cが+2.0ポイントで、規模の差を除くと「寝る前の場面」に強みを持つのはAのほうです。
回答者が100人のため、ここでのポイントは人数の差と同じ数字になります。回答者数が異なる調査では、人数の差と一致しない点に注意してください。
CEP1・2・4・5・6についても、CEP3と同じ手順で期待値との差を計算します。
CEPごとに変わるのは、各ブランドの実際の選択数と、3ブランドの選択数を合計したCEP計になります。
たとえば、CEP1のCEP計は24 + 30 + 35=89件。ブランドAの期待値と差は、次の計算で求められます。
B・Cも、各ブランドの結びつき総数と実際の選択数から求めます。
CEP別の選択数と期待値との差
|
CEP |
経験率 |
A |
B |
C |
|---|---|---|---|---|
|
CEP1 仕事や家事で疲れた日の夜 |
82% |
24(-2.7) |
30(+3.3) |
35(-0.6) |
|
CEP2 寒さで体が冷えたとき |
61% |
12(-12.0) |
38(+14.0) |
30(-2.0) |
|
CEP3 寝る前に気持ちを落ち着けたいとき |
58% |
28(+7.0) |
12(-9.0) |
30(+2.0) |
|
CEP4 運動や外出で汗をかいたあと |
44% |
10(-5.9) |
18(+2.1) |
25(+3.8) |
|
CEP5 子どもと一緒に入浴するとき |
21% |
8(-4.0) |
10(-2.0) |
22(+6.0) |
|
CEP6 自分へのごほうびに少し贅沢をしたいとき |
37% |
38(+17.6) |
12(-8.4) |
18(-9.2) |
表のA・B・Cの数値は選択数(人)で、カッコ内が期待値との差、経験率は過去1か月にその場面で入浴した人の割合です。
Aの強みはCEP3(+7.0)とCEP6(+17.6)、弱みはCEP2(-12.0)とCEP4(-5.9)です。ほかに、Bの強みはCEP2、CはCEP5で、BのCEP3・CEP6、CのCEP6が弱みに当たります。
期待値との差だけでは、広告で扱う場面は決まりません。場面を絞り込む際は、3つの観点で候補を確認します。
ブランドAの候補を3つの観点で整理すると、次のようになります。
Aの候補場面を3つの観点で確認
|
CEP |
Aの期待値との差 |
商品の対応可能性 |
競合の強さ |
経験率 |
判断 |
|---|---|---|---|---|---|
|
CEP3 寝る前 |
+7.0 |
合う(香りによるリラクゼーション) |
強みを持つ競合なし |
58% |
第一候補 |
|
CEP6 ごほうび |
+17.6 |
合う(香りを楽しむ入浴) |
強みを持つ競合なし |
37% |
経験率が低く、優先度は下がる |
|
CEP2 寒さ |
-12.0 |
結びつきにくい |
Bが+14.0で強い |
61% |
優先度は下がる |
|
CEP1 疲れた日の夜 |
-2.7 |
要確認 |
強みを持つブランドなし |
82% |
確認後に候補として残す |
CEP6は、Aの期待値との差が最も大きく、すでに結びつきが築けている場面です。新たに結びつきを築く場面には含めず、現在の強みを保つ対象として扱います。購入機会の多さで比べても、経験率37%のCEP6より、58%のCEP3が上回ります。CEP3にはAの+7.0ポイントの強みもあります。
CEP3は強みを持つ競合がおらず、香りによるリラクゼーションというAの商品の特徴とも合うため、広告で扱う場面の第一候補です。
反対に、Aの期待値との差が最も低いCEP2は、Bが+14.0ポイントの強みを持ち、Aの商品の特徴とも結びつきにくいため、優先度は下がります。
数値が低い場面を、一律に伸ばす余地のある場面と判断しない点に注意が必要です。
CEP1は経験率が82%と最も高く、強みを持つブランドもないため、Aの商品が疲れた日の入浴に応えられるかを確かめたうえで検討する候補として残せます。
MMSは、自社の結びつき総数が増えても、競合全体の結びつき総数の増加率が自社の増加率を上回ると下がります。比較するのは、増加件数ではなく増加率です。
たとえば、2回目の調査でAの結びつき総数が120件から132件に増え、Bは120件のまま、Cが160件から208件に増えたとします。
MMSの変化の例(初回→2回目)
|
時点 |
Aの結びつき |
Bの結びつき |
Cの結びつき |
全体 |
AのMMS |
|---|---|---|---|---|---|
|
初回 |
120件 |
120件 |
160件 |
400件 |
30.0% |
|
2回目 |
132件 |
120件 |
208件 |
460件 |
28.7% |
Aの増加率は10.0%、競合B・Cの合計は280件から328件へ増えて約17.1%です。
全ブランドの結びつき総数は460件となり、AのMMSは132÷460×100で約28.7%と、初回の30.0%から低下する計算になります。
また、NSは、結びつきの少ない人が減るだけでも上がります。
ケースのAには1つの場面だけで結びついている人が6人おり、仮に6人全員の結びつきがなくなった場合の結びつき総数は114件、結びつく人数は34人となります。
NSの変化の例(初回→2回目)
|
時点 |
Aの結びつき総数 |
結びつく人数 |
MPen |
NS |
|---|---|---|---|---|
|
初回 |
120件 |
40人 |
40% |
3.0 |
|
2回目 |
114件 |
34人 |
34% |
約3.4 |
この場合、NSは見かけ上3.0から約3.4へと上がりますが、実態としてはMPenが40%から34%へ低下し、想起者の裾野そのものが狭まっています。
このように、平均値であるNSの上昇だけで好転と判断せず、MPenや結びつき総数の推移とあわせて変化の内訳を確かめる視点が求められます。
3指標には一律の合格基準が存在しないため、評価を下す際は単独の絶対値を見るのではなく、同一条件で測定した競合ブランドや自社の過去推移との相対比較を基準とします。
購買行動が起きるためには、メンタルアベイラビリティ(買う場面でそのブランドが思い浮かぶこと)と並び、フィジカルアベイラビリティ(その場で見つけて手に取れること)の2つの条件がそろっている必要があります。
アンケート調査では、配荷率や欠品率といった流通側の数値を直接把握することは難しいものの、買い手が利用した購入チャネルや買い物の際に直面した障壁を尋ねることで、フィジカルアベイラビリティの状況を判断する1つの材料となります。
入浴剤の場合、3要素ごとの確認項目は次のとおりです。
場面と品ぞろえの組み合わせも確認の対象です。
たとえば、自分へのごほうびの場面でAを思い浮かべた人が少し贅沢な詰め合わせを求めていても、売り場に1回分の個包装しかなければ、購入は別のブランドに流れます。
購入環境の設問で基準にするのは、直近1回の購入です。1回の購入に絞ると、場面・場所・ブランドを対応させて尋ねられます。
尋ねる内容の例は次の3つです。
選択肢を3要素に1つずつ対応させておくのは、集計後に課題を要素ごとに整理するためです。
アンケートでわかるのは回答者の記憶に基づく購入環境であり、実際の取り扱い店舗数や欠品の状況までは確定できません。実態の確認には、流通データや在庫の記録、売り場の調査との照合が必要です。
A.決まった頻度はありません。メンタルアベイラビリティは短期間で大きく変わりにくいため、間隔を詰めて測ると、調査ごとの誤差と実際の変化を見分けにくくなります。
広告キャンペーンの前後や、年度ごとのマーケティング計画を見直す時期など、施策の判断に合わせて実施時期を決めると、結果を活用しやすくなります。
A.使えます。業務上の課題に直面した場面で、候補となる企業やサービスを思い浮かべる構造はBtoBでも共通しています。
ただし、BtoBでは1件の購入に複数の担当者が関わり、購入の頻度も低い点が異なります。対象者は一定期間内に選定や比較検討に関わった担当者とし、期間はBtoCより長めに設定する必要があります。
CEPの項目は、システムの入れ替え時期や取引先から要望を受けたときなど、業務上のきっかけを中心に組み立てます。
A.ブランドイメージ調査では、高品質、親しみやすいといった属性語を示し、各ブランドにあてはまるかを尋ねます。一方、CEP調査で示すのは購入や使用の場面です。
イメージ調査からはブランドがどう評価されているかがわかるものの、購買の場面で思い出されるかどうかまでは判断できません。
両方を同じ調査で尋ねておくと、場面との結びつきが弱い理由を、ブランドの評価から検討する材料が得られます。
A.役立ちます。自社ブランドの結びつきは測れないものの、カテゴリーの購買者を対象に競合ブランドとCEPの結びつきを測れば、どの場面がどのブランドに押さえられているかを把握できます。
経験率が高く、強みを持つブランドがない場面は、新商品が最初に狙う場面の候補です。発売後に同じ条件で調査すると、新ブランドがどの場面から結びつきを築いているかを追えます。
CEP調査の要点は、場面ごとにブランドとの結びつきを尋ね、回答者単位のデータからMMS・MPen・NSを算出することです。
3指標を結びつく人の広さと場面の多さに分けて読み、CEP別の期待値との差と組み合わせると、広告で扱う場面の候補を絞り込めます。
初回の調査で作る成果物は、次の3つです。
購入環境の設問と流通データの照合を組み合わせれば、広告の課題と売り場の課題を分けて検討できます。
QiQUMOを使えば、調査票の作成から回答の回収、データの出力までを自社で進められ、同じ条件で測定を続けることも可能です。