ウエイトバック集計とは|簡単解説

ウエイトバック集計の語句解説

ウエイトバック集計のカンタン語句解説

ウエイトバック集計とは、アンケート調査の結果を集計する手法で、『weighted tabulation:ウェイト付き集計』とも呼ばれます。回収された標本(サンプル)の構成割合と、母集団の構成割合とに差がある時に、できるだけ偏りのない調査結果を出すために使用されます。

ウエイトバック集計の概要

ウエイトは『Weight:重さ、重量』を意味し、回答結果に重みを加味する集計方法と言いかえることができます。国勢調査など確実なデータに合わせてこの集計方法が用いられるケースがよくあります。

集計の例

全校生徒1000人の学校で、給食の満足度に関するアンケート調査を行い、500人の生徒から回答があった場合を例にウエイトバック集計を説明します。

全校生徒1000人の男女比は男子生徒600人、女子生徒400人です。アンケートの回答数500人の内訳は男子生徒250人、女子生徒250人でした。

 全校生徒数アンケート回答数給食の量に満足していますか?満足度
男子600250はい50人、いいえ200人20%
女子400250はい200人、いいえ50人80%
合計1000500はい250人、いいえ250人50%

生徒総数は男子:女子=3:2ですが、アンケート回答者数は男子:女子=1:1となりました。

「給食の量(ボリューム)に満足していますか?」という質問に対して、このアンケート結果そのままでは、実際の生徒割合に比べて、女子の意見が多く反映された結果となってしまいます。

アンケート結果を学校の公平な縮図としてとらえるためには、生徒全体の男女比と、アンケート回答の男女比が同様になるように、集計し直すことが必要です。

集計の計算方法

ウエイトバック集計の流れは、まず補正する項目と、どう補正するのかを決定します。なお今回のケースでは、男女比率が補正する項目にあたります。

次に、本来あるべきアンケート回収の男女比に割り戻すための係数(ウエイトバック値)を求め、最後にウェイトバック値を使って調査結果を補正します。

アンケート回答数500件を、全校の男女比に合わせて3:2の比率になるように調整をすると、

男性:300(補正後の値) ÷ 250(補正前の値) = ウエイトバック値1.2

女性:200(補正後の値) ÷ 250(補正前の値) = ウエイトバック値0.8

ウエイトバック集計を行ったデータは以下の通りです。

 全校生徒数アンケート回答数給食の量に満足していますか?満足度
男子600300はい60人、いいえ240人20%
女子400200はい160人、いいえ40人80%
合計1000500はい220人、いいえ280人44%

全校生徒の男女比を考慮したウエイトバック集計を行なうことで、満足度は50%から44%に変わり、より実態に即したデータを算出することが出来ました。

ウエイトバック集計を行う際に注意したいコト

ウエイトバック集計は、正確なアンケート結果を得るために効果的な手法ですが、次のような場合には注意が必要です。

アンケート回答数が少ない場合

アンケート回答数が少ない場合には、ひとりの意見が必要以上に過大評価される危険性があるため、ウエイトバック集計は適していないと言えます。一定数以上のサンプルを確保出来無い場合は、ウエイトバック集計を行うことで調査の精度を下げてしまう可能性があります。

母集団の構成比率が、正確に把握できない場合

実際のアンケート調査やマーケティングリサーチの現場では、母集団の構成比が分かっていない場合も多くあります。信頼できる母集団データがない場合は、ウエイト値を算出することが難しいため、ウェイトバック集計を行なうことが出来ません。

定性調査

ウェイトバック集計は、理由や意見など数値化できない回答を、言葉や文章で回答してもらう定性調査には不向きです。収集されたデータが数値化され、調査結果を統計学的に分析することができる定量調査に効果的です。

ウエイトバック値が大きくなってしまう場合

「ウエイトバックの許容範囲は何倍までか?」についてはケースバイケースですが、ウェイトバック値の適正は、上限2がひとつの目安と考えられています。

それ以上の数値になると、1人の回答が3倍、4倍の大きさで捉えられることとなりますので、あまりにも大きいウェイトバック値の場合は、集計方法を見直すべきかもしれません。

調査設計の段階でウエイトバック集計をする必要がないように、サンプル割付という方法で、アンケートの回答者比率を母集団属性の割合に一致させる工夫をしたり、あらかじめサンプルサイズにゆとりをもっておくなど、調査精度を下げないよう調整しましょう。

ウエイトバック集計の語句解説まとめ

マーケティングリサーチにおいてウエイトバック集計は、アンケート調査結果の偏りを補正し、実態に即したデータを得るための優れた集計手法です。ウエイトバック集計を正しく理解することで、全体の結果を正しく反映した公平なアンケート調査を行いましょう。

マーケティングリサーチについて、さらに知りたい方はクロス・マーケティングのページもご覧ください。

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